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古いトースターを使いこなすグルメな夫

トースターでパンを焼くのは、誰がやっても同じように焼けるはずだと思っていた。
それは誤りであった。
古いトースターでパンを焼く手順を嬉々として説明するグルメな夫は、インドネシアでは使ったことのなかったトースターを、日本に来てから使い始めた。どのように焼いたらベストのチーズトーストが焼けるかを試行錯誤し、研究に研究を重ねていた、ということを私は今になって知った。
私は大学時代から使っているトースターの使い方について疑問を持ったことはない。適当にタイマーを回せば焼ける、くらいの気持ちである。今のトースターには強火と弱火の切り替えができるようになっているが、少しでも速く焼くため、常に強火設定。しかし、グルメな夫はパンを焼いている途中に強火から弱火に変えるのだという。実に信じがたいことだが、グルメな夫ならありうる。
グルメな夫が焼くのはいつもチーズトーストだが、チーズののせ方にもこだわりがあるのだと言う。これも信じがたいことだが、グルメな夫ならありうる。いわく、
「パンのみみにチーズをのせるのは、そこが焦げやすいからだよ。」
トーストの端にチーズがのっていることにさえ意味があったのだ。グルメの面目躍如である。

チーズは少しでよい私用のトースト。パンの両端にチーズがのっている。
チーズたっぷりのグルメな夫用のトースト。パンのみみを丁寧にチーズでカバーしている。

トーストと一緒に飲むのは、波照間島の黒砂糖を入れた甘いコーヒー。
グルメな夫は小さなコーヒーカップにコーヒーを注ぎ、その味をじっくり堪能する。私は特大のマグカップにコーヒーをいれ、豪快に飲む。
うん、実に我家風だ。


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