グルメな夫、帰国して辛くない料理をつくる
日本に戻ると、グルメな夫は野菜料理がことごとく辛い、という悩みから解放された。
辛くない野菜料理を自分で作ると言っても、単に唐辛子を使わなければよいというものではないらしい。味が物足りなくなるのである。しかし、日本にはインドネシア料理で使う唐辛子にかわる「辛くない唐辛子」がある。グルメな夫が「辛くない唐辛子」と呼んでいるのは、ピーマン、パプリカ、シシトウ、万願寺唐辛子、甘長唐辛子と言う卓矣の野菜である。
インドネシアでよくオセン・オセン(野菜の甘辛炒め煮)の材料となるのがパレ(pare ゴーヤ)である。輪切りにして軽く塩でもんでしばらく置くと味がマイルドになる。パレと一緒に料理するものでいちばん一般的なのはテンペ(インドネシアの大豆発酵食品)だが、日本では油揚げ(薄揚げ/京揚げ)を使う。そのほか、オセン・オセンを美味しくする必須の食材である海老を入れ、「辛くない唐辛子」といっしょに甘辛く炒めればよい。
グルメな夫が日本で好んで使う食材がシメジである。グルメな夫のオセン・オセンにはたいていシメジが入っている。インドネシアでこれまで見かけたキノコはマッシュルームしかない。インドネシアにはない食材を入れるのもグルメな夫の楽しみのようだ。
プチュル(pecel 茹で野菜のピーナツソースかけ)の固形ピーナツソースは辛くないのを手に入れた。お湯で溶かしてドロドロのソースをつくる。好きな野菜で作れるが、もやしや厚揚げがあるとプチュルらしくなる。オヨメサンでもつくれるインドネシア料理の筆頭。
それにしても、辛くないインドネシア料理をつくって日本に帰ってきた気分、とは奇妙な話である。
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