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グルメな夫、日本の雨季に絶望する
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不思議なことに、我が家以外でこのようなそうめんに出会ったことはない。
四季が移り変わる日本の気候は本当に過酷だ。体が慣れないので、夫はしょっちゅう体をこわしている。その中でも梅雨は特に大変だ。なんといっても太陽がでない。日本に来て最初の梅雨は1か月間雨と曇りが続いた。何日たっても太陽がでないので、夫は冥界に来たような感じだったという。ついには背中に赤いものが現れ、皮膚科に行った。
「要するにカビですね。」
と医者は言った。なんと、太陽のないジメジメの日々で、夫の体にカビがはえたのだ。治療法はひたすら太陽の光にあたること。少しでも晴れると夫はベランダで日向ぼっこをするようになった。インドネシアにも雨季があるが、毎日午前中は晴れている。太陽がでないわけではない。だから、太陽が出ない日本の雨季は、夫にとって現実離れした世界なのだ。
以来30年たち、また梅雨がやって来た。今年は食べ物が腐った。グルメな夫にとって衝撃だったのはご飯が腐ったこと。そのご飯を見た私。
「ありゃ、ねぐさなった。」
ご飯が悪くなると嫌なにおいがする。富山弁ではこれを「ねぐさい」と言う。子どものころ、冷蔵庫はなく、ご飯がねぐさくなるのはよくあることだった。もちろん捨てない。洗ってお粥にする。インドネシアではインディカ米が一般的で、ぱさぱさしているので、余ったご飯はカラカラになる。煎餅のようにして干す。それを油であげるとKARAKというおいしい揚げ煎餅になる。これが好物だというインドネシア人は多いらしい。グルメな夫にとって過酷なのは、日本ではKARAKをつくることさえできないことだ。
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