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『はだしの花嫁』(1962年・松竹・番匠義彰)

ラピュタ阿佐ヶ谷「蔵出し!松竹レアもの祭」で、番匠義彰監督の傑作コメディ『はだしの花嫁』(1962年)を堪能。今回は、東京の酒問屋・佐野周二さんの娘・鰐淵晴子さんが、女性週刊誌の編集者で、流行作家・南原宏治さんと、新連載「海を渡る花嫁」の取材旅行へ。

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戦友・三井弘次さんの住む松山を訪ねようとしていた佐野周二さん。彼を追いかけて、神戸のマダム・月丘夢路さんが神戸からの別府航路に乗船。そこで、佐野周二さんは娘・鰐淵晴子さんとバッタリ!

とまあ、いつものように大混戦で、たくさんの登場人物が、出たり入ったり。で、もう一人のヒロインが倍賞千恵子さん。鰐淵晴子さんと倍賞千恵子さんが、恋をするのは電源開発の技師・寺嶋達夫さん。

この三角関係を、南原宏治さんが小説「海を渡る花嫁」に仕立ててゆくが、さらに倍賞千恵子さんの許婚者の四国新聞記者・早川保さん、鰐淵晴子さんに岡惚れしている雑誌社の同僚・山本豊三さんが嫉妬して… 話はどんどんややこしくなる。いつものように、こじれるだけ、こじれて、クライマックスに見事に、全てストンと纏まる。番匠コメディの真骨頂! あれよあれよの展開で、ハラハラドキドキ、笑ってるうちに大団円!

鰐淵晴子さんも、倍賞千恵子さんも、とにかく可愛い! 瀬戸内海の波光のように、キラキラと輝いている。

寺嶋達夫さんの実家が、上野の天ぷら屋さんで、母・高橋とよさん、板前・世志凡太さんなど、適材適所のキャスティングも嬉しや!

瀬戸内の美しい風景、東京下町の人情、佐野周二さんの老いらくの恋、気の良い船長・三井弘次さん。新旧世代のさまざまなエピソードが、パタパタと纏っていく壮快さ!

ラストの連絡線での「瀬戸の嫁入り」シーンには、まだ「瀬戸の花嫁」という歌が誕生する10年前なのに、小柳ルミ子さんのヒット曲を感じてしまう!

ある意味「駅前シリーズ」より安定していて、とにかく面白い。多くの方が未体験の松竹名物「花嫁シリーズ」全作上映、放映、ソフト化を、われ、切望す!

よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。