見出し画像

『妖星ゴラス』(1962年・東宝・本多猪四郎)

6月10日(金)娯楽映画研究所シアター第二部は、東宝特撮映画の最高峰の一つ『妖星ゴラス』(1962年・本多猪四郎)をスクリーン投影。今回は4ch(オリジナル)サウンドでヘッドホンで爆音再生。石井歓さんの音楽が素晴らしく、ぐるぐる回る。特に「俺ら宇宙のパイロット」のヘリコプターによる東京空撮シーン。音楽とヴォーカルの分離の仕方が、いかにも1960年代初めのステレオ設計。分離しているのがかえって立体音響っぽい。長らくモノミックスで聞いていたので、余計に新鮮。

Blu-rayは4Kほどではないがそれなりに美しく、パノラミックな円谷特撮はプロジェクター投影に相応しい。特に南極基地建設シーンは、ミニチュアワークの極北。ミニチュアのパノラマの中に入り込みたい! と幼き日に思った夢が叶ったような楽しさ。

地球の6000倍の黒色矮星・妖星ゴラス発見→隼号の遭難→爆破計画か?・地球移動計画か?→世界中を飛び回る上原謙さん&池辺良さん&志村喬さん→久保明さんたち若手パイロットのドラマ→南極基地建設→怪獣マグマの出現→ゴラス接近のスペクタクル

いつも思うけど、1979年9月から1982年2月にかけての一年半のドラマを88分にまとめ上げてしまう、木村武脚本・本多猪四郎監督の手腕に惚れ惚れする。急ぎ足ではなく、それぞれのドラマをしっかりと描きながら、ディザスターに立ち向かう人間の叡智の勝利のカタルシスがある。

今日、井上泰幸展を再訪するので、特撮美術に注視しようと投影したのだが、結局は、ドラマに釘付けになってしまう。今回リリースのBlu-ray2枚組「東宝 怪獣・特撮」には映像特典として『妖星ゴラス』の特撮ラッシュフィルムが収録されていて、当時の現場の空気を体感することができる。


よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。