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娯楽映画研究所ダイアリー 2021年10月25日(月)〜10月31日

2021年10月25日(月)佐藤利明の娯楽映画研究所
「渡辺プロと娯楽映画」〜ロカビリーマダム年代記〜

10月25日(月) 『新・忍びの者』(1963年12月28日・大映京都・森一生)・『悪名太鼓』(1964年8月8日・大映京都・森一生)

 今回のカツライスは森一生監督二本立。まず市川雷蔵のシリーズ第3作『新・忍びの者』(1963年12月28日・大映京都・森一生)。左翼のセシル・B・デミル、山本薩夫監督の娯楽映画作家としての手腕が堪能できた。しかし山本薩夫監督は「忍びの者」が巻き起こした忍者ブームで、忍者ごっこをした子供が亡くなったことに責任を感じて自ら降板。そこで大映京都のベテラン、森一生が引き継いでの忍者スペクタクルとなった。脚本は第一作からの高岩肇。

 続きましては、勝新太郎さん&田宮二郎さんのシリーズ第9作『悪名太鼓』(1964年8月8日・大映京都・森一生)。こちらも森一生監督。脚本家が、依田義賢から若手・藤本義一にバトンタッチ。一見、これまで通りだが、作品の方向性も含めてリニューアルされている。清次(田宮二郎)が、八尾から河内太鼓を、北九州の狼王会に貸し出すために、トラックで八尾を後にする。それまでレギュラー出演していた清次の義姉・お照(藤尾礼子)は今回未出演、代わりに清次と結婚約束をした河内のお徳(若松和子)が登場。

10月26日(火) 『現代っ子』(1963年・日活・中平康)・『忍びの者 霧隠才蔵』(1964年7月11日・大映京都・田中徳三)

KADOKAWAの文芸サイト「カドブン」に、「市川雷蔵と勝新太郎」(中川右介・KADOKAWA)の書評【「市川雷蔵と勝新太郎」カツライスの昭和を体感する】を執筆。当時のポスターとともに、「カツライス」についての原稿がアップされました。

 サンシャイン劇場、劇団SET第59回本公演「太秦ラプソディ〜看板女優と七人の名無し〜」面白かった! 映画を愛し、時代劇に生命をかけた撮影所の大部屋俳優たちの文字通りの「狂詩曲」。三宅裕司さん監督、小倉久寛さんの大部屋俳優。軽演劇の面白さを大事にしながら映像が浮かんでくるような芝居としての構成。満員の観客と一緒に泣き笑い!

 今宵は、市川好郎『現代っ子』(1963年・日活・中平康)と、市川雷蔵『忍びの者 霧隠才蔵』(1964年7月11日・大映京都・田中徳三)の、ダブル市川の二本立。前者はデジタル・ライナーノーツを書くため。

 さて、前作で石川五右衛門の復讐劇は決着したので、雷蔵は霧隠才蔵を演じることに。お話は前作『新・忍びの者』から10数年後、大坂冬の陣から始まる。なのである意味、お話は続いている。

10月27日(水)

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 久しぶりのかつしかFM。「ヨルスタ!」になってからは、初出演。パーソナリティの大越真理子さんとは「かつコレ」フィナーレ以来、半年ぶり。寅さん埴輪を発掘した学芸員・谷口榮さんとは、長年の友人でもあります。「世紀の楽団 唄ふ映画スタア 岸井明」から「月に告ぐ」「世紀の楽団」をお聴き頂きました。29日(金)渋谷JZ brat「キネマティック・トーキング・ルーム」の告知もさせて頂きました!

10月28日(木) 『艦隊を追って』(1936年・RKO・マーク・サンドリッチ)・『悪名幟』(1965年5月1日・大映京都・田中徳三)

今宵は、久々にフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの5作目『艦隊を追って』(1936年・RKO・マーク・サンドリッチ)。やっぱりミュージカルはいいねぇ!"I'm Putting All My Eggs in One Basket"

「悪名」連投。シリーズ第10作『悪名幟』(1965年5月1日・大映京都・田中徳三)は久々の2代目水谷八重子さん登場!原点回帰を目指しての大阪篇。

10月29日(金) 帰ってきた!キネマティック・トーキング・ルーム

 久しぶりのキネマティック・トーキング・ルーム。沢山のお客様に、楽しんで頂いたようで、良かったです!高泉淳子さん、有田純弘さん、Brent Nusseyさん、ありがとうございました!また、やりましょう!

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「大忠臣蔵」第32話「紅蓮の隅田川密議」に、なななんと『限りなき前進』(1937年)の小杉勇さん登場!映画監督としては、今回も出演の堀部安兵衛=渡哲也さんのデビュー作『あばれ騎士道』(1965年)の監督であります。こういう映像に出会った瞬間、生きてて良かった!と思いますなぁ。

10月30日(土) 『モーリタニアン 黒塗りの記録』(2021年・米・ケヴィン・マクドナルド)・『忍者武芸帳』(1967年・創造社・大島渚)・『地球へ2千万マイル』(1957年・コロムビア・ネイサン・ジュラン)

 今日は、日本橋でジョディ・フォスター🆚カンバーバッチ! 『モーリタニアン 黒塗りの記録』(2021年・米・ケヴィン・マクドナルド)を観ます!

 いゃあ力作でありました。モハメドゥ・ウルド・スラヒの著書「グアンタナモ収容所 地獄からの手記」をもとに、かの悪名高きグアンタナモ収容所に、911の時のアルカイダのリクルーターという嫌疑で、起訴されず8年間も拘束された、モーリタニア人・青年モハメドゥ(タハール・ラヒム)を弁護する弁護士たちの苦闘の記録。

 ジョディ・フォスターが、実在の弁護士・ナンシー・ホランダーを、当然のことながら見事に演じている。一方、政府からの厳命でモバメドゥを死刑にするべく任命された軍の弁護士・スチュアート・カウチ中佐を、ベネディクト・カンバーバッチが好演。

 ブッシュ政権下、ラムズフェルドの命令で、えげつない拷問による自白の強要がなされた話は、知っていたが、物語が進むにつれて、その描写に心底恐怖を覚えた。目を背けたくなる描写が続くが、ジョディ・フォスター、カンバーバッチ、それぞれの立場から、この真実を知ってゆくクライマックスは、ストレートな描写だが感動的。トゥルーストーリーならではのヘビーな映画だけど、エンドロールに救われる。

 終盤のモバメドゥの法廷証言が本当に感動的。しかしブッシュやラムズフェルド、無茶なことをしたな!と怒りに打ち震える。

 いろいろひと段落したので、白戸三平先生追悼で、大島渚監督『忍者武芸帳』(1967年・創造社)を久しぶりに!

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 続きましては、カラーで蘇る金星竜イーマ。レイ・ハリーハウゼン特撮の醍醐味! 『地球へ2千万マイル』(1957年・コロムビア・ネイサン・ジュラン)。金星竜イーマ、イタリアを襲撃す!ハリーハウゼンの特撮が冴える!


10月31日(日) 『忍びの者 続・霧隠才蔵』

 市川雷蔵さんの忍者がとにかくカッコいい!水中アクションは007の先取り!『忍びの者 続・霧隠才蔵』を観て、才蔵が大御所(小沢栄太郎)暗殺に成功したところで、ネットで荻上チキさんのTBS選挙速報を観たら、映画のカタルシスが現実にはならず。まぁ、家康が死んでも徳川政権は揺るがなかかったわけで。それでも自民が各所で苦戦してるのは前進か…






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