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50周年を迎えた「横浜都市デザイン」を振返る

 大学などで都市計画・都市デザイン・社会工学などを専攻した方々は、授業の中で「横浜の都市デザイン」を聞いたことがあるのではないでしょうか。
 また、みなとみらい21地区など横浜の都心部を訪れた方々は、意識する・しないにかかわらず、例外なく何らかの「横浜都市デザインの作品」を目にしているはずです。

「横浜都市デザイン50周年記念事業」

  今から半世紀前、1960年代後半の都市問題に対処するため、1971年に横浜市役所「都市デザイン担当」が設置されて始まった横浜の都市デザイン行政は、2021年に50周年を迎えました。
 先日からこの50年を振り返る一連の「横浜都市デザイン50周年記念事業」が始まりました。

 第1弾として、横浜市庁舎(※)2階プレゼンテーションスペースでプレ展示が開催されています。
 今後も2週間ごとに展示品を入れ替えて、1970年代から2010年代まで10年ごとの内容を展示していくとのことです。
※ 横浜市庁舎は、みなとみらい線馬車道駅直結、JR・横浜市営地下鉄桜木町駅徒歩3分です

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【プレ展示】
 都市デザインの取組を10年ごとにご紹介し、その変遷や考え方、街の魅力の背後にある工夫をトリビアとして伝えます。
場所:新市庁舎2階プレゼンテーションスペース
日程:
1970年代:令和3年10月19日(火)-10月31日( 日)
1980年代:令和3年11月2日(火) - 11月14日(日)
1990年代:令和3年11月16日(火)- 11月29日(月)
2000年代:令和4年1月8日(土)- 1月20日(木)
2010年代:令和4年1月22日(土)- 2月2日(水)

50年前の横浜そして都市デザイン担当

 今でこそ横浜市は公共施設が整備され、「住みたい街」ランキングの常連ですが、50年前といえば1年に数万人~十万人も人口が増加し、小中学校が不足、道路は渋滞し鉄道混雑は殺人的、都心部は米軍による接収の後遺症が残り、財政不足に汲々とするなど、大変な時期でした。
 その50年前の横浜市に「都市デザイン(アーバンデザイン)」の風を吹き込み、実践した技術職員たちがいました。
 横浜の都市づくりを牽引した(故)田村明氏が率いる企画調整局(当初は企画調整室:1968発足)の活動(※)のひとつとして、「都市デザイン」が始まっています。


※ 横浜市の都市デザイン室では、発足間もない1970年代から「都市デザインは運動であり活動である」と言っていました。「実践としての都市デザイン」を重視していたように思います。

 この企画調整局では、タスクが以下のように設定され、都市デザインが位置づけられていました。
1 「プロジェクトー公的事業のプロデュース」
……都心部強化事業(現在のみなとみらい地区)など六大事業
2 「コントロールー様々な開発に対する適切な規制と誘導」
……市街化調整区域の指定や、横浜市独自の宅地開発要綱など
3 「都市デザイン一都市空間の例の向上と個性の形成」
……楽しく歩ける歩行者空間や広場づくり,整った町並み形成,歴史を生かしたまちづくりなどによる個性ある都市空澗づくり

 「楽しく歩ける歩行者空間や広場づくり,整った町並み形成,歴史を生かしたまちづくりなどによる個性ある都市空澗づくり」といえば、今では、どの自治体の基本計画にも出てきそうな取組ですが、50年前はほぼ「日本で初めての取組」だったのですね。
 この「横浜都市デザイン」を本格的に始めたのは、田村明氏から招聘された、岩崎駿介氏(横浜市都市デザインチーム 初代リーダー)と、国吉直行氏(元 都市デザイン室長、横浜市立大学客員教授)の2名による都市デザイン専門家チームであり、1971年に発足しています。
 また、2009年12月に56歳で急逝した北沢猛氏(東大教授)も、1977年に横浜市に入り都市デザインチームに所属し活躍しました。

都市デザインを「知る」講演会 第1回 
~岩崎・国吉両氏の対談が実現~

 このたび、このレジェンドのお二人、岩崎・国吉両氏の対談が実現することになりました!
 【 都市デザインを「知る」講演会 第1回 】(テーマ:『横浜都市デザイン~個性あるまちなみの原点を探る~』)として、2021年10月30日 (土)午後にオンライン配信で開催されます。

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 この講演会は全6回を予定しているとのことで、第2回は『身近な地域資源をいかしたまちづくり~水と緑のまちづくり~』をテーマに令和3年12月17日に開催予定です。

【 第2回 】
テーマ:『身近な地域資源をいかしたまちづくり~水と緑のまちづくり~』
日時:令和3年12月17日(金曜日)18時半~21時

 *オンライン配信のみの開催
登壇者:宮澤好氏(元横浜市都市デザイン室)、吉村伸一氏(吉村伸一流域設計室)
ファシリテーター:滝澤恭平氏(水辺総研)

また、今後の講演会テーマは以下のように想定しているとのことです。

●歴史を生かしたまちづくり
●みなとみらい21地区や港北ニュータウン等のグランドデザイン
●官民の創造的協働

展覧会、シンポジウムなどの開催

 この他、「横浜都市デザインの50年を俯瞰し、その取組や、取組の中で共有してきた価値観や思想を、都市デザインを知らない方にも、わかりやすくお伝えする大規模な展覧会を開催します。」とのことで、シンポジウム、ワークショップの開催も予定しているようです。

 詳しくは「都市デザイン50周年」のサイトを御覧ください。https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/design/ud50th.html

 一連の「都市デザイン50周年」イベントは目が離せない内容になっていますね。

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