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人材が激減する理容業界で結果を出す!

4月22日(木) に第3回ブランディング事例共有会を開催しました。発表者を紹介します。発表者は株式会社OICHOC代表取締役の八幡清信さんです。

八幡さん率いる株式会社OICHOCは、ブランドデザインを提供する会社で、
“FUNをデザインし、FANをつくっていく”をブランドスローガンに活動しています。創業21年目で、目下2030年に向けて次の3つのビジョンを掲げている。

1.小さなブランドを世界に発信し、日本を元気にする。
2.世界の課題をデザインで解決する。
3.デザインで世の中をよくする人を増やす。

ブランド・マネージャー認定協会トレーナーでもあり、南三陸ネギ応援プロジェクトなどを手掛け、当協会主催の2018年度ブランディング事例コンテストの大賞を受賞しました。

また、以前とある業界紙で「200年後の理容業界を描いた近未来アクションSF『バーバー山本』」を連載していたとのこと。

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ということで、八幡さんの事例発表の内容を簡単ではありますが、こちらでご紹介します。

ブランディングにより得られた成果(概要)

クライアントは埼玉県新座市にあるヘアーサロン寿。主に男性客をターゲットに経営する理容室において、新たに「OTOKO DESIGN」というブランドを立ち上げたところ、次のような成果が得られた。

・新規顧客数(前年比)1.5倍
・新規顧客(1ヶ月)100名
・採用問い合わせ(前年比)3倍

人材が激減する理容業界でどのようなプロセスでブランドづくりを行ったのかについて説明する。

クライアントの課題と理容業界の現状

理容所数全国に約120,000施設あるが年々減少。また、理容専門学校の卒業者数は2020年で約500人と、美容学校の約15,000人と比べて非常に少なく、慢性的な人材不足に陥っている。原因は待遇面の低さに起因する職業としての魅力の乏しさで、理容師の年収は119位(129職中)と低い。よって若い理容師の奪い合いの状況が続いている。

▼ヘアーサロン寿の状況(ブランディング実施前)
・新規客4%、既存客95%
・採用問い合わせ1名/年
・40代以上の「育毛コース」推し

経営理念の見直しからチームブランディングを開始

これらの状況を踏まえて、ブランディング際しては①新規集客UP、②採用問い合わせUP、③顧客単価UPを目標に定め、まずはチームブランディングでブランドのコンセプト作りから着手した。

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ブランディングに際しては、二代目であるチーフデザイナーを中心に経営理念の見直しからスタート。ミッション、ビジョン、バリューについて、経営者、ヘアスタイリスト、広報担当者、パートスタッフなど一丸となって意見を出し合った。

「寿の魅力とは何か?」というテーマでは、「育毛技術」「アイロンパーマ」「チーム力」…などいろいろな意見が上がり、これらの意見を3C分析で絞り込んだ。その結果、次の3つに絞り込まれた。

①オトコ度を上げるデザインパーマ(海外セラブスタイル)
②パーマの持ちの良さ
③新しい自分との出会い(最先端感)

ちなみにこのプロセスにおいては「右脳×左脳」で考えることが重要で、左脳(ロジック)だけで考えるとうまく落とし込めない。そのような視点からひっかかったトピックが、「定期的に社員でヘアスタイル発信地LAを訪問し、最新のヘアスタイルを学んでいる」という点だった。これはオンリーワンの魅力である。

ブランド・アイデンティティの策定

では、クライアントはなぜわざわざ海外まで行ってリサーチするのか? それは「オトコ度を上げる」ためであり、デキる男のステータス感を演出するため。その結果、男としての自信が付く。その自信をつけるために海外で学んでいるのだと考えた。

またそのタイミングでパートスタッフから「寿が提供しているのは“自分と言うブランド”では?」というキラリと光る意見が出され、寿のオンリーワンの魅力は育毛技術の高さでも、家族のようなチーム力でもなく“オトコを上げてくれるデザイン力”と定まり、「自分ブランドを高め、プレミアムな男をつくる洗練されたデザイナー」というブランド・アイデンティティが完成した。

一方、ブランディングに際してはブランド・パーソナリティーも設定した。
それが「完璧主義でデキる男それがKOTOBUKI」というもの。具体的にはサッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドをイメージ。
続いて、「誰のためのブランドなのか?」を明確にするためペルソナも〈建築会社経営者ちょっとした紙の乱れも気になる高い美意識の持ち主〉と設定。ここまでのプロセスで得られた成果は明文・図案化し、「ブランドデザインブック」としてまとめてスタッフに配布・共有した。

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ブランド要素とブランド体験の創造

コンセプトが固まったので、次はブランドネーム、ロゴなどのブランド要素、Webサイト、動画などのブランド体験を作るフェーズへ。

①ブランド名とロゴマーク
はじめに「OTOKO DESING」といブランド名とロゴを作り商標も取得。ブランドの位置づけとしては、「ヘアーサロン寿」(ショップブランド)があり、その下に「OTOKO DESING」(サービスブランド)を設定した。

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②WEBサイト
続いてOTOKO DESIGNの世界観を可視化するラグジュアリーなキービジュアルを作り、otoko-desing.comドメインも取得。さらに「オトコを上げろ。」というキャッチコピーも完成した。あわせてコピーライターがブランドメッセージを開発した。
Webサイトのデザインにおいては、旧サイトは育毛のビフォーアフターが並ぶものだったが、ブランディングに際してはモデル写真を配するなどスタイリッシュなデザインに仕上げた。

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③店舗
また、Webサイトだけでなく店舗のインテリアのリニューアルも実施。大量の商品が陳列され、和と洋が入り乱れた統一感のない店内を、クラシカルな佇まいへと改装。ファサードには「OTOKO DESIGN」のロゴを掲げ、商品の陳列も整理し、撮影した写真で店内を飾った。

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④メニュー名
「OTOKO DESIGN」の立ち上げに刺しては、カットやパーマなどのメニューも一新。クライアントが得意とするLA直輸入のフェードカットを前面に押し出した。フェードカットはミリ単位の長さ調整を行う特殊なカットのこと。

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⑤その他ブランド要素
その他に名刺やブランドブックなどをデザイン。ブランドブックは利用学校のサロン説明会で配布することで、求職者にアピールする狙い。また、ユニフォームも統一感のあるものにリデザインした。

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ブランディングにより得られた成果(詳細)
このようにひとつひとつ丁寧にブランディングを行った結果…

・新規顧客(前年比)1.5倍
・顧客単価(前年比)1.15倍
・商品売上(前年比)1.5倍
・指名率(前年比)1.3倍
・採用問い合わせ(前年比)3倍 ※求人広告なし。問い合わせのみ。そこから1名を採用
・パブリシティとして雑誌『Lightning』(発行部数8万部)に掲載
・コロナ禍においても1か月で100人の新規顧客が来店


八幡さん。発表ありがとうございました。理容業界(いわゆる床屋さん)でここまで革新的な取り組みは聞いたことがありません。新たなカテゴリーを作ったとも言える革新的な取り組みは、感動的でした。


※この内容は、第3回ブランディング事例共有会の発表の一部をまとめたものです。ブランディング事例共有会では、チャレンジし、試行錯誤し、奮闘している実践事例の発表より、このプロセスから受け取る気づきやアイデアはもとより、元気と勇気をもらえます。

次回は、6月24日(木)16時~に開催ですので、お知り合いの方をお誘い合わせの上、ご参加ください。※参加費無料

■第4回 ブランディング事例共有会 ※参加費無料
https://form.k3r.jp/brand_manager/seminar04

ぜひ、ご参加ください。お目にかかれれば、うれしいです!


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