見出し画像

書籍『アファメーション』を通じて学んだ事 ~前編~

 前回、認知科学の理論をベースにしたコーチングを学んでいる件について書かせていただきました(もしよろしければ。↓こちらになります↓) 

 この中で、コーチングとは?という点についても触れさせていただきましたが、このコーチングという言葉を作ったコーチングの祖と言われているのがルー・タイス氏という方で、彼が作ったメソッドに基づいたコーチングプログラムは、NASAや米国国防総省(陸軍・海軍・空軍・海兵隊)を始め、連邦政府諸機関が公式に採用していたり、米国各州政府、全米の警察、刑務所、小学校・中学校、主要な大学でも教育プログラムに採用されています。

 そのルー・タイス氏の著書である「アファメーション(原題:Smart Talk For Achieving Your Potential)」には、当然そのコーチングプログラムのエッセンスが存分に詰め込まれているのですが、そのプログラムの秀逸性として、端的に言うと、ゴールセッティングと、やりたいことをやる「want to」の思考を作り上げるところである、と紹介されており、その中で重要になってくるのが、本のタイトルにもなっている「アファメーション」 ということになるわけです。
 コーチングの学びとして、本著を読んでいる中で、当然自己理解を高めるための整理としてという意味合いもあるのですが、それと同じくらい、その中から得られる学び、気づきを発信させていただくことが、きっと誰かの役に立つのではないかということでnoteを書いてみよう!と思った次第です。


アファメーションとは何か

 タイトルにもなっている「アファメーション」ですが、書籍の中では、アファメーションという言葉については、以下のように紹介されています。

アファメーションという言葉は、持って生まれた潜在能力、思い描いている理想、望まれる結果を自分に信じ込ませ、効果的な目標設定を行うことを意味します。頭の中にある理想や結果を、あなたの生活の中で実際に起こっているかのように思い描きます。

プロローグより抜粋

 このアファメーションは、私たちの人生や職場環境を改善する5段階(5ステップ)のプロセス、すなわち、

  • ステップ1:ビジョン・使命・価値観・動機・態度を明らかにする

  • ステップ2:創造的な思考、ポジティブなセルフトークを取り入れる

  • ステップ3:ターゲットを定義し、目標の刷り込みを行う

  • ステップ4:行動を起こし、方向を正す

  • ステップ5:人を育て、組織を改善する

の5つのプロセス全てに必要になるものだと述べられています。

 本書の中ではこの5ステップのプロセスについての説明を通しての学びと実践としてこのようなことをやるとよいよ!というような具体的な取り組みの内容が紹介されており、各ステップで非常に多くの学びがあり、ページを開く度に心にしみる言葉が多く(とは言え、日本語訳の都合上、少しわかりづらい日本語になっている箇所もあったように感じたので、原書と並行して読んでも良いかなと思いました。また、原書の方にしかないエピソードもあり、個人的にはそのエピソードはそれはそれで非序に大きな学びがありましたが、今回はスコープ外と言うことで、また機会があれば別途ご紹介したいと思います。)、付箋を貼りながら読んでたらとんでもない感じになってしまいました・・・(苦笑)

(一応色分けには自分なりの意味があったりしますw)

 冒頭もお伝えした通り、この本の内容を解説する、というよりは、各ステップの説明の中から、特に印象的だった内容、そこからの気づきや学びについて、いくつかをご紹介するという感じで進めていきたいと思います。
 それを読んで頂いた事がきっかけで、本書を読んでみようかなと手にとっていただける方が一人でもいらっしゃったら、個人的にはそれがめちゃくちゃ嬉しかったりします。
 では、早速ステップ1からスタートします(前編ではステップ1、2のみ。後編でステップ3〜5について書きたいと思います)

ステップ1:人生を変える「言葉の法則」

「目的地」に生きる

 ステップ1については3章立てで説明されていますが、第1章の冒頭からいきなりズバっとこんな言葉が出てきます。

何を達成するかは、ほとんどの場合、何を信じるかによって決まります。

第一章「現在地」と「目的地」より抜粋

 精神論的な話では全くなく、私たちの信念や価値観というものは大凡、過去の自らのパラダイムによって決まっており、本書の言葉を借りるのであれば、「現在の現実(現状)は固定されていない」のです。
 
 1954年まで、誰もが不可能だと思っていた「1マイルを4分未満で走る」という行為に対して、ロジャー・バニスタ氏がその壁を破った、その後の4年間で、「4分の壁」は40回以上も破られた。というエピソードが紹介されていますが、似たような話はいくつもあるように思います。
 つまり、不可能かどうかというものも、「私たちの認知」そのものが決めていたわけで、私たちの認知、すなわち「信じる事」「考え方」を変えることで「行動や結果が変わる」という事です。
 
 「目的地」を決め、それを信じる事ができれば、行動や結果が変わり、目的地に到達できる。というわけですが、昔から、会社の目標設定において、「設定した目標が達成できるかどうかは、目標設定で9割決まる。」論者である自分からすると、「本当にそれ!」っていうポイントだったのと同時に、「絶対に無理だと思うことを成し遂げることでしか、スタンダードはズレない」ということについて、説明がされており、何回読み直しても、めちゃくちゃ刺さりまくりポイントが多いのがこの1章だったりします。

自分の人生の主導権を握る

 第三章の中で、「建設的なモチベーション」と「制限的なモチベーション」という話が紹介されます。それぞれの定義としては、

  • 建設的モチベーション:「そうしたい」「そうすることを選ぶ」「それが好きだ」という気持ちに基づいたもの

  • 制限的モチベーション:「しなければならない」という気持ちに基づいたもの

 詳細についてはここで触れませんが、この話の中で、このような文章があります。

自分にとって何が最善かを考えましょう。「しなければ」と自分に言い聞かせる代わりに、「私はこれを選ぶ、これがしたい、これをやる」と言いましょう。そうすることで、自分の人生の主導権を握るのです。

第三章 「したい」vs「しなければ」より引用

 コーチングスクールでの学びの中でも、やりたければやればいい。この世に「しなければならない」なんてものは存在しないんだ。ただ、決めたからには自分に責任を持つ。ただ、それだけなんだ。ということがあるのですが、本書を初めて読んだ時は、この文章の言葉としての意味はわかっても、理解する。というところまでは達していなかったのですが、スクールでの学び、新たなチャレンジのスタート、ゴールに向けたハンドルを切っている今、改めて本書を読んだ時に、この言葉の重みがものすごく感じられるようになりました。

 自分の人生の主導権を握る。という態度がどういうものなのか?ということについても本書は教えてくれます。「態度」というのは、私たちが目標を設定した時に表面に現れる、潜在意識による感情的反応のことであり、これは行動、方向性、創造性、モチベーションに影響を与えるものである。と本書では定義されますが、単純に「ポジティブな思考にこだわる」だけでは不完全である、と言われています。
 
 私たちは1日24時間で無意識的なものも含めて3万回〜5万回、自分に対して話しかけている(これを「セルフトーク」と言います)と言われてますが、その8割〜9割がネガティブな内容であると言われてます(これについての詳しい話はまた別の機会にすることにします)が、まさにこのネガティブさから生まれるネガティブな態度が、私たちの能力発揮を妨げるわけです。

 このネガティブな態度を変える方法についても本書では説明がされるのですが、自分の態度が目標の達成に大きく寄与する。という話は、言われてみたらその通りだし、当たり前なのですが、はたして私たちはベースとして、外部要因、変えられないもの、変えにくいものに自分が出来ない要因を求める癖があるように思います。「世の中こんなものだ」なんて言葉もその一つですし、「誰々のせいで〜、何々のせいで〜」などという言葉は日常的に無数使われているように思います。
 
 変えるべきは世の中でも他人でもなく、自分自身の態度である。という学びはとても意義が深いものであると思います。

ステップ2:一瞬で自分を変える「アファメーション」の法則

「知性とは正しく推量する技術だ」

 ステップ2も3章立てで説明されています。この章では先ほど軽く説明したセルフトークによって、どのように自己イメージが作られるのかについて、そして新しい自己イメージはどう作ればいいのかについて説明されます。

 直前で述べていた「変えるべきは〜」のところにも繋がる話が、第四章で触れられています。

「知性とは正しく推量する技術だ。推測力を高めるためにすることすべてが、私たちをより知的にする」
(中略)
現代社会の情報の海にのまれ、私たちは知識を失ってきました。そして、あまりにも膨大な知識を詰め込むことで、知恵が失われました。

第四章 創造的な思考プロセスをつくりなさい より抜粋

 私たちの頭の中には、さまざまな知識・情報が保存されていると思いますが、人生がうまくいってない時、それは環境のせいではなく、私たちの頭の中にある。ということを説明してくれます。
 仏教概念の「空の思想」にも繋がる話なのかもしれませんが、私たちが生きている世界は全て情報世界であって、物理世界はそれに包摂されているわけです。即ち、全ては私たちの「認知」によって形成されているという話なので、何かしら決断したり、選択するとき、参照している頭の中の知識・情報が、行きたい目的地に対して効果的なものでなければ、その目的からは遠ざかってしまう。
 では、正しい情報、というのはどうすれば選択できるのか?という問いが出てくると思いますが、それに対しては、創造的潜在意識の有効的な活用がそれを可能にし、後は「自分を信じること」をすればよい。という話が展開されるわけです。

「現在の思考が未来を決める」

 ステップ2を通じて、どのように新しい自己イメージを作るのか、つまりどうしたら自己イメージを変えられるのか、について説明がされていくのですが、それは「セルフトークをコントロールすることによって」であり、建設的なセルフトークのことを「アファメーション(スマートトーク)」と呼ぶのだ。と言うわけです。 
 私が得意なことと苦手なこと、好きなものと嫌いなもの、これらの自己イメージは、実際にそうなのか、想像したものなのかの区別なく、形成されているものですが、これらは私の私に対する信念を基につくられたものです。この信念というものは、セルフトークに通して獲得・形成されていくのですが、本書の中でこのような記載があります。

私たちは真実に従って考え行動する。
ただしそれは、自分が信じる真実である。

第六章 ポジティブなアファメーションと自己イメージ より抜粋

 私たちは言葉で考えたことが鮮明なイメージとなり、それが感情を呼び起こすと言われています(Word→Picture→Emotionという順番なんだよ!というのがコーチングの学びの中で出てくるのですが、それはまた別途。)が、つまるところ、思考と感情が、脳の中で「真実」として記録されるということを説明したのが上記文章であり、セルフトークが自己イメージの基礎となることを補強している説明でもあります。
 ただ、セルフトークを変え、自己イメージを変えていくだけで、自分の望む未来が手に入るなんてそんな都合のいい話があるか?と思う方もいらっしゃると思います。

 本書の中で説明されているのですが、事故を起こしやすい人というのは、事故を起こすことを考えている人、つまり自分が事故を起こしやすいと考えると、自ら事故を呼んでしまう。そんな話があるそうなのです。
 潜在意識がセルフトークの内容を受け入れ、行動をコントロールする。というわけです。
 たしかに小さい子供に自転車の練習をしていて、歩道の縁石に当たらないように、「注意して!そこに縁石があるよ!」と子供に伝えると、子供はその注意された場所に意識を向けてしまいます。そうすると潜在意識が「その縁石に突っ込め」と告げる結果、真っ直ぐに縁石に乗り上げる・ぶつかってしまう。というわけです(これは私も子供に自転車を教えてた時に似たような経験があったので、その時の理由が、我が子の習得姿勢に問題があったわけではなく、脳のカラクリだったのかーと、めちゃくちゃ腹落ちしました)。つまり、「"望む"ことではなく、"考える"ことが現実になる」ので
す。

前編の終わりに

 気づいたら5000文字以上の長文になってしまい、なんで3部作にしなかったんだ。と今更反省しているわけですが、前後半でいくと決めたからにはそれで行きたいと思いますが、ここまで読み進めていただいた方には本当に感謝いたします。
 近日中に後編も上げたいと思いますので、後半の3ステップ分は前置きなく、一気にいきたいと思っております。
 改めて、読みづらい文章にお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?