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農業用トラクターは楽し。第3部 立ちはだかる農地法


■農地を守るはずの農地法が、逆に不耕作地を増やす皮肉

昔の農業は、全て手作業のようなものだから、外部に払う経費はあまりない・だから農協に米を収めれば、それは収入となった。
だが、トラクターや田植え機、稲を刈るコンバインなどの機械化が進むと農作業は楽なるが、それに比例して経費がどんどん掛かってくる。
だから、地域では「これじゃまるで、農機具屋の為に田圃をしているようなものだ」との声もよくささやかれた。

結局、農業だけで生活するのは、よほど大規模でなければほぼ不可能である。だから会社勤めをしながら、先祖代々の農地を守るために農作業をし、今度のボーナスは農機具代の支払いに充てようということになる。
その他、農地の税金の何倍もの「農業用水」の負担金ものしかかってくる。

そんな訳で、生活の為の農業としては成り立たなくなったが、見方を変えれば健康のための農事は十分成り立つ。
農事をやれば、野菜や米は新鮮なものが食卓に並ぶ。育成する楽しみにもなる。
だから地方都市においても、街中に住む人で定年退職後は農事をやりたいと思う人は多い。

だが、そこに立ちはだかるのが農地法である。農地を農地として100坪とか200坪だけ希望者に譲渡は出来ないのである。
① 農地取得後の農地面積の合計が50アール(約1500坪。北海道は2ヘクタール)であること。
② 農機具等がちゃんとあること。
③ 農地取得者が、必要な農作業に常時従事(原則150日以上)すること。

これは農地を農地として守っていくという考えだが、その考えは大昔の考えに基づいて、今なおそれを引きづっている。
考えの根底に、農家の長男は農地を引き継ぎ、家業の農業を引き継ぐものという前提があったが、今や時代が変わったのである。世界における日本の立場も急速に変わっている。でも時代に取り残されたような農地法は、そのまま残っている。

耕作するのに人手がかかり、農機具代や肥料にお金が掛かり、それでいて収益がないとならば、「こんなアホなこと、やっていられるか!」となり、耕作を放棄する。すると草ボウボウとなる。
すると近所の田畑の持ち主から「あんたとこの田圃から草の種が飛んで来て、オラの田圃にも草が生え困る。だから草を刈ってくれ」と言われる。

何の収益もないのだが、ただ農地を維持するために、その草刈にまたお金が掛かる。
そうこうしているうちに、高齢となると「もう、自分ではどうしようもないから、あんたそんなに言われるなら、どうでもしてくれ」となる。

そして草ボウボウの不耕作地が増える。でも売るに売れない。この悪循環が進行していく。

大局的な対策の方法はいくつか考えられるが、私は政治家ではないから、それは政治家に委ねたい。

では、農業や農作物が全くダメかというと、そうではない。好例が長野県にある。
それを次号で書いてみたい。

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