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ゼロファイター世界を翔ける男  第4章 死の宣告 ハワイでの捕虜生活 



第4章 死の宣告 ハワイでの捕虜生活


1・軍医師からの死の宣告

「飯は要らん。俺は死ぬことに決めた」と言ってから、どのくらい眠ったのだろう。激痛で現実に引き戻された菅原は、船のベッドで寝ている自分に気が付いた。
枕もとに、以前から親切にしてくれていたアーサー・クラークという軍医中尉がきていた。時間は経ち、既に2食を抜いていた。クラークは語りかけてきた。

「君は、死ぬ気になっているようだが、なぜなのか。日本兵は捕虜になった場合、死を選ぶということだが、それは愚かなことだ。アメリカでは全力で戦ったあと、やむを得ず捕虜になった兵士は英雄として処遇され、捕虜期間中の給与は全額支給されるし、進級もする。日本はこの戦争には敗戦するのだから、君らが日本に生きて帰るのに、何の支障もなくなるはずだ。君らは全力つくして戦ったのだ。なんら恥じることはない。君らが戦場で血を流して戦っているときも、国では偉いといわれる連中のなかには、不正をして自分の懐をこやすことに狂奔しているものが大勢いる。まぁ、アメリカにもそんな連中がいないわけではないが、とにかく彼らに対して、君らは何ら恥ずることはないではないか。戦争の終わった日本に威張って帰れ」

菅原は無言で聞いていた。
次の日の朝、夜明けとともに再びクラーク軍医はやってきた。彼はコーヒーをすすりながら、昨日の話しの続きをはじめた。

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