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グライダーで飛翔 その2 スカイスポーツを実感

グライダーのことを滑空機という。つまり自分では動力を持たず、空中を滑空するだけだ。では空に上がるのには、どうするか。それには2つ方法がある。

1つ目は、飛行機に曳航してもらって、上空に上がり、曳航索を切り離す方法。
これだと、好きな高度、好きな場所まで曳航してもらえる。

2つ目は、滑走路の端にあるロープ・ウインチを回して引っ張ってもらい、決められたポイントでロープを切り離して、上がる方法。
これと同じ理屈になるが、アメリカではウインチを回す代わりに、自動車でけん引することもある。


飛行機に曳航されて上空に舞い上がる


グライダーは、曳航している飛行機の後方乱気流に入らないように 
適切な位置で後続する。
自動車で曳航されて上空に上がる。
日本では自動車で曳く例は少なく、地上に固定されたウインチで引き上げる。

いずれにしても切り離された後は、空気に対して滑空しているので、地上に向かって降下していることになる。だから長い時間空中を滑空することができない。
逆に言えば、高度を上げれば長時間滑空していることができる。
では、動力を持たないグライダーが、どうやって高度をあげるのか?・・・、それはサーマルと言う上昇気流を捕まえて、その気流に乗り、高度を稼ぐのである。

サーマルの規模が大きければ楽だが、小さいとすぐにそのサーマルの外側に出てしまう。だからパイロットはサーマルから出ないように旋回を続け、高度を稼ぐのである。
すると、空気に対しては降下しているのだが、それを上回る上昇気流が機体を持ち上げてくれるので、高度が上がるのである。

仮に直径1000m幅のサーマルが飛び石のようにあちこちにあれば、それを繋いで一旦下がった高度を再び高度を上げ、広範囲を飛ぶことも出来る。


サーマルを上手に捉まえて上昇を繰り返し、
野外飛行(クロスカントリー)するイメージイラスト


曳航索を切り離した瞬間、グライダーは無音の世界に入る。それは大空を自由自在に飛ぶ鳥になった気分であり、まさにスカイスポーツと思った。

大海原を、セール(帆)だけで滑るように走るヨットを「セールボート」と呼び、帆走することをセーリングと呼ぶ。
同様に、グライダーは風だけで飛ぶのでセールプレーンと呼び、グライダーが飛翔することをソアリングと呼ぶ。プレーンとは機体の意である。

さて、1981年秋に約1週間にわたる1回目のグライダートレーニングを終えた私は、よく1982年5月に2回目のトレーニングを受けるため、アメリカに飛んだ。

今度こそ、技術をさらに上げ、試験に合格するぞと意気込み、グライダー場に着いた私を、スタッフは「おお、よく来てくれた。待っていたよ」と歓迎してくれた。主任インストラクターは髭もじゃの逞しい男だが、私はその笑顔をみて、嬉しく思った。

フライトの感覚はすぐに取り戻した。すると周りの状況が良く見えてくる。ふと横を見ると、翼が長く、いかにも滑空性能の良さそうなグライダーが目に入った。

このような上級滑空機をソアラと呼ぶ。昔トヨタ自動車のスポーティ乗用車に「ソアラ」といいうのがあったが、そのネーミングはここか命名したのである。

スタッフに「このソアラで単独飛行したいのですが、可能ですか」と訊くと、答えはイエスだった。ただ機体使用料金は若干高いとのことだった。

練習機はインストラクターとの二人乗りで、滑空性能もそれほど良くはない。でもソアラは1人乗りで、翼も長く、滑空性能は格段に良い。


2人乗りの練習機
前席に学生(私)、後席にインストラクターが乘る。


滑空性能の良い上級滑空機のソアラ

インストラクターのOKを貰った私は、そのソアラで空中に舞い上がった。この頃になると、上昇気流のサーマルのこともある程度分かるようになっていた。
そしてそのサーマルの中を旋回しながら高度を上げ、30分以上飛翔を続けた。さすがはソアラだけあって、滑空性は良い。

でも、同じところをクルクルと旋回しているから目が回るほどではないが、飽きて来たのと、腹が減ってきた。その時「あ~ぁ、ランチボックスを持ってくれば、もう少し飛んでいられるのになぁ~」と思ったが、一旦降りようと決め、着陸した。

するとスタッフの女性が、「トシ、貴方は30分以上飛行していたのだから、Bバッジの対象になる」と言って、その証明である「Bバッジ」をカードに書き込み、それにインストラクターがサインしてくれた。
その女性は、離陸時刻と着陸時刻の両方を記録していたのである。

Bバッジという制度があることを、その時初めて知った。


名刺サイズのBバッジ
30分以上飛んだ人に発行される

以下次回へ続く
#グライダー #スカイスポーツ #ソアラ

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