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「比較広告」を面白くするのは無理ゲーという話

(画像はSlackアプリ「ほうむくん」です。)

比較広告で良く引用されるCMとしては2014年頃のペプシ vs コカ・コーラがあります(*1)。

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ZOZOは2018年に機能性肌着ZOZOHEATとユニクロのヒートテックの比較広告をやりました(*2)。

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日本で面白い比較広告は作れるか
正直なところ、日本で面白い比較広告を作るのは難しいです。なぜなら景表法(景品表示法)があり、優劣を強調して消費者を誤認させるのがご法度だからです。

景表法アウトあるある
「ZOZOHEATの方が暖かいと分かりました」― いかにも使いがちなこの一文、景表法ではほぼアウトです。
① その外部機関の検査、1回だけじゃないですか?100回検査して1回でも逆の結果(又はイーブンの結果)が出たら虚偽表現なのでは?
実はペプシ/コカ・コーラのCMは、「勝った」という過去形なのがキモです。このCMは、過去実際に行ったアンケート調査の説明表現です。
② その検査、生地など原材料で比較検査してませんか?生地のカットや縫い方で最終完成品の機能レベルは変わりますし、もし数値が違えば虚偽表現になりそうです。

結局、比較広告で法令遵守を大切にすると「この試験でZOZOHEATは〇〇、ヒートテックは××という数値が出ました。」というだけの詰まらないコピーしか作れません。単に「比べた」だけです。せっかくの新商品なのに...。

景表法は比較広告に冷たい
なぜ景表法は比較広告という手法に冷たいのでしょうか?それは比較広告が「他社が築いたブランド価値(=他人のフンドシ)を利用して自社製品を広告する」手法だからです。

つまり、比較広告という手法は硬直的な法的な枠を自らに課す、という悪手です。これではマーケチームが可哀そうです。

どうすれば良かったのか
ではZOZOはどうすべきだったのか?法務だけの話ではなくなりますが、答えはシンプルで、ZOZOHEATの一番伝えたい魅力を、率直に訴求することを考えるべきだったのです。だって、ZOZOHEATという商品の一番の魅力は「ヒートテックに比べると良い」ではないのですから...。その上で、競合商品ヒートテックとの比較・選択はお客様の判断に委ねれば良かったのです。

こういう、やるべきことをしっかりやる、という当たり前の学びを当社法務部では日々繰り返しています。

(ちなみに今は私が法務責任者なので今後当社ではこのような広告手法はやらないはずです...!)

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