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第2期絵本ゼミ 第2回のふりかえり

10月9日(日)13:00~ オンライン受講

昔話のまとめ

前回に続いて昔話・昔話絵本についての講義を受講する。

第2回目めに検討するポイントは5つ。

1・昔話と残酷性: 昔話は残酷か。残酷な話は子どもに聞かせてはいけないのか。

2・昔話の絵はどこまで描くべきか

3・昔話絵本における絵と言葉の関係は

4・昔話にはなぜ3度のくり返しが多いのか

5・昔話の主人公に末っ子が多いのはなぜ

~チーム4で検討した絵本~

*『うりこひめとあまんじゃく』

堀尾青史/文 赤羽末吉/絵 BL出版 発行:2020年4月


『梨の子 ペリーナ』イタリアのむかしばなし

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イタロ・カルヴィーノ/作  酒井 駒子/絵 訳: 関口 英子 BL出版 発行:2020年8月

*『やまなしもぎ』

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平野直/再話 太田大八/画 福音館書店 発行:1977年11月

1・・昔話と残酷性:昔話は残酷か・・。

 昔話には食うか食われるかの自然界の厳しさや、悪い行いの罰に対して正しい行いには素晴らしい報いがあるという善悪の明確な判断を、残酷な話を通して子どもたに伝えたいというメッセージが背景に隠されている。
『ベーシック絵本入門』生田美秋/石井光恵/藤本朝巳/著 ミネルヴァ書房 p79 引用
また、残酷な昔話を子どもに聞かせることを過度に心配しなくてよいと安心できるように昔話研究者や心理学者の文章を引用しながら『昔話 昔話絵本の世界』の中で藤本朝巳は語っている。
昔話が残酷なのは現実が残酷だからである。私たちは現実そのものが実は厳しく残酷であることをついわすれがちになってしまうが、昔話はそのような現実を題材に使っているだけで、しかもその題材から子どもに何かを伝えようとしている。
 昔話の特徴である、抽象性により実態を抜いて出来事を語る(図形的に語る)ので残酷な印象を残すことはない。また、「人生を踏み出すとき、誰もこわさを克服して生きていく」と『昔話の扉をひらこう』小澤俊夫/著で、記されている。今回チーム4で検討した3冊の絵本はどれも物語の途中で怖い出来事や課題が待っているが最後は課題を克服してハッピーエンドで終わるため読み終わった満足感を感じることができた。
主人公が幸せになれば子どもたちもお話しの世界を安心して終わることができる。

*昔話の残酷性を学び、現実社会の理不尽なことに対面したとき、愛情もって語られてきた昔話の中で苦難を乗り越えた主人公の姿は子どもたちの成長の助けとなるような大きな力を感じた。

*『スーホの白い馬』 悲しいお話しだが、結末にホッとできるのが子どもの本として成立する魅力である。

*「Promise of the Happiness」幸福の約束
子供絵本として成り立つには幸福で終わらなければならない。
どんなに悲惨な物語(ex スーホの白い馬・戦争・ブリキのたいこ・)であったとしてもこれから生きていく子供たちに生きるに値する瞬間が来ると背中を押す、救いがあること、光をもっておくということが子どもの本の条件である。

中村 ちよ (著), 北条 文緒 (著), Fred Inglis (著) 紀伊國屋書店 発行:1990年7月

2・昔話の絵はどこまで描くべきか

 『昔話絵本を考える』では松岡享子さんがホフマンの『七わのカラス』の違和感を読み解いている。今日の講義では具体的に『七わのカラス』語りと昔話絵本との違いを学んだ。『七羽のカラス』は七人の息子と一人の娘のお話しで、語りでは”娘”がお話しの中心として浮き上がるが、七人の息子と娘の八人の子どもが同時に描かれたことで娘は八人の中の一人との印象が薄れてしまっている。主人公だけを描き、お話しから興味をそらさないようにする配慮が必要である。細かい描写はさけ人物にも背景にも個性を与えないという特徴をもつ昔話に絵が描かれることで具体的になってしまう。挿絵があることにより人物や出来事が子ども自身の想像力においてではなく画家の想像力によって形を与えられてしまうという難しさがある。昔話は語りがよいという所以でもある。
 しかし、子どもの知っている世界からかけ離れている場合絵が想像の手がかりを与えてくれるというよさもある。          

3・昔話絵本における絵と言葉の関係は・・

 すぐれた絵本の絵は子どもたちの経験や認識力をよくふまえ彼らの表象や想像力をいきいきとひきだす力がる。赤羽末吉が描いた『みるなのくら』では昔話の第一人者である小澤俊夫も絵が言葉を語っていることから言葉を省いたというページがある。今回検討した『梨の子ぺリーナ』では、言葉(テキスト)は前のページに全て書かれているのだが、最後の一文「ようやく梨の木にでくわすと、ペリーナは枝によじのぼり木の上でぐっすりねむりました」が次のページに見開きで梨の木で眠るペリーナが描かれ、美しい絵に惹きこまれ昔話絵本の魅力を感じる。

4・昔話にはなぜ、3度の繰り返しが多いのか・・

 小澤俊夫氏著書の『こんにちは、昔話です』では、昔ばなしの3の法則について書かれている。                 
〇子どもは繰り返しがすきである。        
〇試練とは、一回でできるものではない。    
〇1回から2回、3回と成長していく姿     
〇人間の体に一番乗りやすいリズムである(ex ホップ・ステップ・ジャンプ)               
〇素数・聖数である。 
 『昔話の扉をひらこう』にも3回の繰り返しについて書かれている。 昔話は出来事も3回繰り返すのですが、「同じ場面は同じ言葉で語る」というどの国にも共通する大きな特徴をもっています。(P97 引用) また、一回目と二回目はほとんど同じ言葉で繰り返されるのですが、三回目は少し異なりしかも重要なことが起こります。これは聴き手の子どもたちにとって一回目と二回目に同じことが続いたことで、もう知っていることをもとにして、次のことを類推するという科学的な思考の第一歩にもなります。(p97引用) 
 持ち寄った昔話絵本では3という数字がどのように使われているのか記してみる。                       『やまなしもぎ』では、3人息子がやまなしを取りにいく時に、3本のまっかみちから行く道を選ぶ、3本のささは「ゆけっちゃ かさかさ」「ゆくなっちゃ がさがさ」と選んだ道を暗示する言葉を繰り返す。
『梨の子ペリーナ』ではペリーナを助けてくれるおばあさんがくれたものは肉の油が3ポンド、パンが3ポンド、モロコシの穂が3ポンドで、出会う者(試練)は3人の女、3匹の犬である。手にした宝箱がペリーナの邪魔をするために発することばは「〇〇この子を△△しておしまい」と、3度繰り返されている。

5・昔話の主人公に末っ子が多いのはなぜか・・

 誰もが、はじめは末っ子だった。そして子どもは社会の末っ子である。これから歩んでいく人生がどんなものなのか、全く知りません。不安があったり、さみしかったりすることがあるでしょう。昔話を語り伝えてきた人たちはみんなで末っ子を応援してきたのではないでしょうか。
-『昔話の扉をひらこう』小澤俊夫/著 暮らしの手帖社 p5引用-

『やまなしもぎ』兄のたろう・じろうとぬまのぬしに喰われてしまったが、末っ子のさぶろうのおかげでたすかることができた。

昔話の学習を終えて

*昔話を読むときに、その国の風土・背景・歴史・画家・翻訳家などについて調べてみるとより物語の理解が深まる。

*昔話の本質を見極め、どのような絵本を選びどのようにして手渡していくのかを見極めていくことが大切であると感じた講座であった・*

《科学絵本》

次回、第3回での講義となる。

科学絵本とは

認識絵本の中で、とくに科学分野のテーマを扱った本を科学絵本とよぶ。   科学絵本が扱うテーマは、子どもにとって身近な動物や昆虫の生態や植物の植生などの自然、さらには乗り物や建築物など人間が作ったもののしくみなどさまざまな種類がある。
科学絵本がなぜあるのか? 子どもの好奇心に応えるためである。

〈図鑑と科学絵本の違い〉

「図」は系図「What?これなあに?」に答えるもの            代表:『絵本図鑑シリーズ』福音館書店
「鑑」はよく見る、ひとつのものを詳しくみる。「Why?どうして、なぜ」に答えるもの。
「科学絵本」物語が組み込まれ、子どもにわかりやすい絵で感動をめざす
(感動とは・・見せて、知って、心がうごく)
-『ベーシック絵本入門』竹内美紀 ミネルヴァ書房 p104 引用-

チーム4の持ちより絵本

1.『どろだんご』                  

たなか よしゆき/ぶん のさか ゆうさく/え 福音館書店 1989年

2『あしたのてんきは はれ?くもり?あめ?』

野沢勇作/作 根本順吉/監修 福音館書店 1993年4月

3-1『ぼく、だんごむし』

得田之久/文 たかはしきよし/絵 福音館書店 発行:2005年

3-2『まるまるだんごむし』しぜんにタッチ!

著者名:監修/須田孫七 写真/榎本功 ひさかたチャイルド

3-3『やあ、であえたね だんごむし』

今森光彦/文・写真 アリス館 発行2002年5月


*子どもたちのこれ何?に答え、行動、感動につながる科学絵本。数多くある科学絵本の中からどんな絵本を検討していくのかとても楽しみだ。*




                 


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