バイナリーオプションは迷宮の入り口|通常のFXの方が簡単と言える理由や違いは?

最近、バイナリーオプションで勝ててないという方が何人か私のところに相談にやってきます。

バイナリーオプションと言えば

「上か下の二択なのでFXより簡単」
「初心者でも楽に稼げる」

という謳い文句でおなじみの”ギャンブル”ですね。

私はこのバイナリーオプションという存在に強烈な疑問を持っています。

相場というものに触れたことがない人からすればFXもバイナリーオプションも大して変わらないものに見えているのだと思いますが、私の実感としてはFXとバイナリーオプションは全くの別物です。

一言で言うと

FX・・・ひたすらロジックの積み上げ
バイナリーオプション・・・運否天賦

という違いがありますね。

何がそんなに通常のFXとバイナリーオプションで違うのかというと、バイナリーオプションというものは

①時間指定の必要がある
②1分足チャートで取引するのが”実質的な最適解”
③ペイアウトの控除率が悪い

という特徴を持っています。特徴というよりは「制約」「足枷せ」といった表現の方が正しいですね。

逆に言うとこれらのバイナリーオプションにおける制約を加味しなくても良いのが通常のFXと言えます。

なぜバイナリーオプションが通常のFXと違って単なるギャンブルになってしまうのか?ということをそれぞれの特徴から詳しくお話していきたいと思います。

バイナリーオプションは勝てない理由①時間指定の必要がある

バイナリーオプションは

「15分後に今の価格より上にあるか下にあるか」

という風に時間指定を加味して相場を予想する必要があるわけですが、私からするとこれがそもそも不可能に近いことだと思っています。

この時間指定というやつはバイナリーオプションの最大の特徴、いわば存在意義と言っても差し支えないものだと思いますが、そもそもそれ自体に疑問があるということです。

まず、テクニカル分析というのは基本的に

「特定の時間経過後の値動き」

というのを想定したツールではありません。

未来を予測するツールではありますが、それは「○○分後の値動き」という風にタイミングを正確に予測するものではないのです。

つまり、バイナリーオプションにおける「時間指定」というのはテクニカル分析そのものの有効性の前提を根底から覆す足枷せとなってしまうのです。

全てのテクニカル分析が無意味なものとなるからこそ、バイナリーオプションにおいては

「このインジケーターでサインが出たらエントリーで勝率90%以上!」

のように眉唾な手法が蔓延るのです。

まあこういう怪しいツールやインジケーターが蔓延るというのは通常のFXも同じなんですが、FXは過去相場を見ることでその再現性を疑うことが出来る選択肢がある点ではまだマシです。

通常のFXにおいては特定の未来を指定せずに王道のテクニカル分析をしていくわけですが、これは

「長期の大きな流れに身を委ねて時間経過で取っていく」

という、ある程度ゆったりした戦略が可能なのです。

例えば長期的なトレンドが「上昇」であることを把握していれば、あとは「いつ上昇トレンドに回帰するか」というタイミングの問題になってきます。

FXにおいても15分足や5分足、場合によっては1分足をといった下位足を見ることもありますが、それは単に

「なるべくすぐに含み益になるようなポイントでエントリーしたい」

という風にエントリータイミングの問題でしかありません。まず長期足の大まかな流れを把握することが「第一ボタン」なわけです。

それでもタイミングを外してしまうということも当然あります。相場というのは自分の思ったタイミングで動き出すことの方が少ないです。

ただ、多少下位足でのエントリータイミングを間違えたとしても長期足という「第一ボタン」の掛け違いさえしていなければ、時間が経つことでやがて長期のトレンドに回帰して「相場に助けられる」ことが出来るわけです。

これがバイナリーオプションのように細かい時間指定が必要だと「長期足の流れに回帰する前」に勝負が決してしまって、決済後に思惑通りに進むということにもなりかねません。

私の中で「時間指定」が必要なバイナリーオプションというのは、何と言うか麻雀で「テンパイ即リーチ」をしているような感覚とでも言えばいいでしょうか。

麻雀はリーチをすると手を変えることも捨てる牌を選ぶことも出来なくなり、ただひたすら当たり牌が来るまで全部捨てるという風に戦略が固定化されてしまいます。

時間指定で上か下かを予想するバイナリーオプションというのは個人的にはこの感覚に近く、その時々の相場の値動きに合わせて柔軟に立ち回ることが出来ないというのは致命的です。

バイナリーオプションは勝てない理由②1分足の細かい挙動を取る難しさ

バイナリーオプションというのは基本的には1分足チャートを見て行くことになります。

別に理論上はどの時間足でやっても良いはずですが、「時間指定」という制限が付くことで実質的に1分足オンリーでのトレードを強いられます。

なぜなら、「15分先指定」のトレードが一番チャンスがある(ように見える)からです。

それに、わざわざ15分指定より長い時間指定をして当てられるのであれば、それこそ「通常のFX」をやった方が効率的に儲かるからです。
時間が長引くほど長期のトレンドの影響を受けて大きく伸びやすいですからね。

そもそもバイナリーオプションという手段を選択するのは

「通常のFXは長期足の分析をしなくちゃならないから難しい」

というのが一番の理由にあるはずですから、短期の売買をすること自体がバイナリーオプションそのもののアイデンティティのはずです。

なので、実質的に

「1分足チャートで15分取引」

というのがバイナリーオプションにおける”最適解”になってくるのです。

ところが、この1分足チャートというのは挙動が読みづらく、ちょっとしたことで上にも下にも行ってしまいます。

これは私自身も「1分足チャートのスキャルピング」をやったことがあるのでその難しさというのはよくわかります。

ましてやこれを「時間指定」で上か下かを予想するなどほぼ不可能なことだと思います。

少なくとも

「1分足チャートを見てとにかくエントリーしまくってトータルで勝つ」

という”乱射エントリー”では、相場において「勝つべくして勝つ」という境地には絶対に至ることは出来ません。

バイナリーオプションは勝てない理由③ペイアウトの控除率が悪い

バイナリーオプションというのはどれだけ伸びても勝って得られる金額は掛け金に対しての固定倍率で一定です。

ギャンブルで言う「控除率」というやつですが、バイナリーオプションでは勝った時の払い出し金額が掛け金に対して平均1.7~1.9倍となっております。

つまり、勝った時のプラスと負けた時のマイナスのトータルの期待値は必ずマイナスになります。

そもそもが根拠に乏しいギャンブルなわけですから、1勝1敗のトレードを繰り返していると確実に資金が減っていくわけです。

これに対して通常のFXにも「スプレッド」というのがありますが、FXの場合は「大きく伸びるところ」を狙えばスプレッドの不利分をカバーできるという特徴があります。

本当にあった怖い話「バイナリー教材を売っているのにバイナリーに詳しくない」

私はココナラというサイトでトレード手法の有料販売をしており、その中の購入者の一人に「バイナリー教材を売っている人」というのがいました。

ココナラというサイトは購入者のプロフィールページのようなものがあって、そこでその人がどんな商品を販売しているかというのを見ることが出来るんですね。

私の手法の1つに

「水平線を引いてそこのブレイクアウト失敗をトリガーに逆張り」

というものがあって、これはトレンドが出ていないレンジ相場で逆張りするというバイナリーオプションの基本戦略には一定の親和性があると思われます(私はバイナリーでこのトレードをやったことがないですが・・・)。

なので、その時は

「もしかしたら自分のバイナリー教材をブラッシュアップするためにこの教材を買ったのかな」

と考えて特段そのことを追求しませんでした。

そしてある程度時間が経ってから、バイナリーをやっているという別の方がその水平線のトレード教材を購入されたので、その際に

「そういえば前、バイナリー教材売っている人でこの教材買った人がいたからその人にバイナリーでの使用感を聞いてみよう」

と、連絡をしてみたのです。

すると、帰ってきた答えが

「すいません、バイナリー詳しくないんでちょっとよくわからないです」

というものだったのです。

「え?バイナリー教材売ってるのに詳しくないの?」

と軽く衝撃を受け、このことがあってからバイナリーオプションというものやそれを教えている人間に強烈な疑問を抱くようになったのです。

どうもバイナリーを誰かに教わった経験のある色々な方の話を聞くと「詳しいことを聞こうとするとはぐらかされる」という人が非常に多いそうで、その話も踏まえるとこういう

「自分ではバイナリーで稼げていないのにバイナリー教材を売っている人」

というのがむしろ普通なようです。

私が思うに、これは無責任だとか人間性の問題というよりは単に

「バイナリーオプションで稼げるということ自体がそもそも幻」

というのが真実のような気がしています。

だからこそ詳しく聞かれたらはぐらかすしかなかったり、答えに詰まってしまうのだと思います。

簡単に思えることは難しく、難しそうに思えることは実際はそうでもない

世の中に

「誰でも簡単に出来そうなこと」

というのはたくさん存在しますが、実際にやってみると全然簡単じゃないというのが常でしょう。

YouTuber、配信者、アフィリエイト、ネットワークビジネス、バイナリーオプション・・・

勧誘や広告などでは「いかに簡単か」という偏った情報だけを選択的に提供してきますが、実際にやってみると現実は全く違ったりします。

人間誰しも

「簡単に稼げるもの」

を求めてしまいがちで、そういう意味ではバイナリーオプションに魅入られてしまうというのも仕方のないことなのだと思います。

ただ、その逆で

「難しそうだと思ってたけど実際にやってみたらそうでもなかった」

というのもまた真実です。

小学生の時中学生や高校生がやたら大人に見えて怖かったり憧れたりしたものですが、実際に自分が中学生や高校生になっても全然子供のままだったというのは誰しもあることでしょう。

つまるところ、どうやら”真実”というのは大衆が抱くイメージの逆にあるようです。

実際、私自身もFXを始める前は

「FXなんて難しそうだから絶対自分には無理」

と思っていました。

「通常のFXは難しいからやめた方が良い」

というのがバイナリーオプション界隈では”常套句”になっていて、それが真実と思い込んでしまっているのでしょう。

ただ、バイナリーオプションに魅入られてしまうことそれ自体が迷宮の入り口だということに少しでも多くの人が気が付いてくれたら幸いです。

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