小池都政 虚像と実像~第1部 都職員アンケート(4)【都政新報2020年1月17日号】
人事・組織/知事の一挙手一投足に揺れる
小池都政1期目の人事・組織では、条例局長からの「降格」や3カ月の超短期の異動、女性活躍が象徴的だった。小池知事は過去のインタビューで「適材適所」と強調し、「任命権者として組織を活性化し、一人ひとりのやる気、また組織を律していくという面で総合的な判断が必要」と説明したが、職員からは批判が集中。知事の評価が低迷する要因となっている。
本庁課長級(40代)は「信賞必罰かもしれないが、庁内的には明らかな左遷。不安感を高めている」と指摘。出先部長級(40代)は「あからさまな懲罰人事により職員を萎縮させた」と評し、役職を問わず懸念が寄せられた。
他方、小池知事は19年、古参の側近を退任させ、村山寛司元副知事を特別秘書(政策担当)に任用。知事補佐担当などとともに「インナー」を形成している。
庁内的には当初、内部事情をよく知る元首脳のかじ取りに期待する声も上がっていたが、アンケートでは村山特別秘書の起用については70%が「評価できない」と答えた。
本庁部長級以上(50代)は「考えられる中では最悪の選択。偏った情報しか小池知事に入っていないのか。庁内で最も大きな失望感が生じたニュースだった。過去の人を登用して改革は断念したのか。この一点で自分は次の選挙で投票しない」と辛辣(しんらつ)にコメント。別の本庁部長級以上(50代)は「下命のプロセスが不明&ブラックボックス。側近の過度な忖度(そんたく)に拍車がかかり、泥沼状態。知事の覚えの良き人材ばかり処遇されるため歯止めがきかない」と手厳しい。
「知事に近い一部の幹部職員を過度に重用している感じはするが、新規施策は世の中の流れに沿ったもの。都庁職員が能力的についていっていない感はある」(50代、本庁課長級)と理解を示す職員がいる一方、「SS(特別秘書)の起用は現場を大混乱させている。本来はボトムアップで計画を練り上げるべきだが、目玉政策をどうすべきかに主眼が置かれ、計画の意味をなしていない。職員の長時間労働にも拍車がかかり、SS一人のために無駄な時間、経費、労力が費やされている」(40代・本庁課長代理級)など、あからさまな嘆きも聞かれた。
指揮命令系統の在り方に対する疑問の声も聞かれた。「知事補佐官や特別秘書などの存在により、指揮命令系統が分かりづらくなっている。先進的な施策で評価できるものもあるが、トップダウン型のものが多く、ボトムアップも大切にしてほしい」(40代、本庁課長級)。
宮地美陽子特別秘書(政務担当)については、「調整と指示が多く、知事本人の意図によるものか疑わしいことがある」(40代・本庁課長代理級)という声も上がった。