小池都政 虚像と実像~第1部 都職員アンケート(3)【都政新報2020年1月14日号】

政策/「都民受け」に実務者の苦労

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 小池都政1期目では、築地市場の移転や五輪準備などが重要課題となった。また、都独自の取り組みとしては、受動喫煙防止条例や待機児童対策などで存在感も見せている。アンケートでは1期目の各政策について、「評価できる」「評価できない」の二択で聞いた。 

■八方美人

 際立って評価が低かったのが市場移転延期だ。小池知事は2016年の知事選で、市場移転を「立ち止まって考える」と宣言したが、その後、盛り土の欠落がクローズアップされるなど、2年遅れでの開場となった。
 土壌汚染対策の追加や環2開通の遅れを含め、知事の「総合的な判断」について、86・5%が「築地は守る、豊洲は生かす」という基本方針には89・7%が「評価しない」と回答。築地まちづくりも同じく批判が多い。
 本庁課長代理級(40代)は「2年の時間と無用な費用を投じただけであり、市場業者の寿命が縮んだ。それ以前のプロセスがあたかも間違っていたかのような印象操作は都政を傷つけただけ」とし、最終的には「方針を踏襲しただけ。築地を守る取り組みは何ら行っていない」と批判。本庁課長級(40代)は「二つの市場が成り立つことはあり得ない。聞こえの良い言葉で世論を動かした責任は重い」と厳しい。
 市場の地下空間の存在が露見するなど、都側の手続きに瑕(か)疵(し)があったことは事実で、知事の発信力は大きかったが、本質論ではなかったことから、本庁課長代理級(50代)は「盛り土をしなかった理由を整理もせず、処分が先行し、『自分が良く見られよう』としているのが良く分かる。八方美人的な発想」と断じた。別の本庁課長級(50代)は「知事就任前からオリ・パラに向けて環2を何とか間に合わせようとした所管の思いと努力を無駄にした罪は重い」と憤りを見せ、「レトリックや屁理屈で逃げた感が否めない」と切り捨てた。

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