区児相始動~取り組みと課題を追う(2)/引き継ぎ/対面で虐待リスク確認を

 昨年8月、厚生労働省の講堂で開かれた全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議。国は虐待の危険性が高い家庭が他自治体に転出した際、転居前と後の児相職員が対面で引き継ぐよう強く求めた。この引き継ぎ方法は現在、全児相が順守する「全国ルール」となっており、2018年に目黒区で起きた女児虐待死事件がルール化の契機となった。
 同事件では、香川県から同区に引っ越した親子のケースを県児相から都の品川児相が引き継ぐ際、情報伝達が不十分だったことが都の報告書で指摘されている。県児相が転居前に児童福祉司による指導を解除したと電話で伝えたことで都児相は緊急性の高い案件と判断せず、女児が虐待死するまで親との関係づくりを重視した。
 虐待に詳しい都幹部は「都児相は引き継ぎ時点の情報に最後までとらわれてしまい、女児を救えなかった。改めて引き継ぎの重要性を認識した」と振り返る。

ここから先は

773字 / 1画像

¥ 100