小池都政 虚像と実像~第1部 都職員アンケート(5)【都政新報2020年1月21日号】

対議会/不毛な対立に内心辟易

スクリーンショット (1119)

 小池都政では議会との関係も様変わりした。2017年の都議選では、小池知事が特別顧問を務める都民ファーストの会が最大会派となり、議会運営を支える構図だ。公明党は小池知事の国政進出以降、与党から離れ、「是々非々」のスタンスに。ただ、キャスティングボートを握っており、存在感が強い状態は変わっていない。これに対し、自民党は政策にコミットできる立ち位置から大きく後退。野党として執行機関側の批判を強める場面も増えている。
 職員アンケートで議会との関係について聞くと、「都政が安定した」には89・2%が「思わない」と答えた。その一方、「論戦が活発になった」にも74・9%が「思わない」と回答。都民ファと自民が対立するなど、政策の論戦と言うよりは、政局による混乱と受け止めている様子がうかがえた。本庁課長級(50代)は「余計ないさかいが増えて、議論すべきことが脇に置かれている」と評する。
 第1党の都民ファに対しては、熟練度に対して厳しい指摘が多い。
 「都民ファは個々の議員は優れた人もいるが、会派としては未熟」(50代・本庁部長級以上)、「都民ファには荒唐無稽な質問をしようとする議員も多い。予特の混乱を見ても、与党として実力不足」(40代・本庁課長代理級)
 一方、野党に苦言を呈する職員も。「自民の大人げの無さが職員の残業などの負担を過大にしている」(50代・出先部長級以上)
 会派間の対立に困惑する傾向は強く、「自民はまるで国会の野党のように『反対のための反対』をしているように思える。都民ファは政党の体をなしていないし、議員個々の不勉強が目に余る」(60代・その他部長級以上)、「自民党がいたずらに(知事を)攻撃して議会に混乱をもたらしている。一方で都民ファも最大会派として議会をまとめようという努力を欠いている」(40代・本庁課長代理)
 他方、公明に対する見方も複雑だ。本庁課長代理級(40代)は「公明党が与党として突出し、自民党が野党として行動しており、理事者側として対応が大変」と吐露。出先課長級(50代)は「知事選に向けて住宅政策本部を独立させるなど、職員が振り回されている」とコメントした。
 ただ、出先部長級以上(50代)は「これまでは自民が安定していたため、予定調和が目に余った。小池都政への評価はゼロに近いが、小池知事誕生の思わぬ副産物として、自民との政策議論が活発になった」と評した上で、「会派としての成熟度は別として、都民ファも新しい風を吹き込んだことは間違いなく、混沌(こんとん)としているからこそ活性化されている面はある」と前向きに捉える見方も出ている。
 そのほか、「築地の有償所管替えを(当初予算ではなく)補正予算にねじ込んだのは議会軽視の批判を免れない。反発必至が予想されたはずなのに、なぜわざわざやったのか理解できない」と理事者側の対応に疑問を呈する意見も聞かれた。

ここから先は

879字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!