【都知事選】【都議補選】選管奮闘記~コロナ禍 もう一つの選挙戦

 新型コロナウイルスの感染リスクがくすぶり続ける中、7月5日に投開票される都知事選と都議補選。石原・猪瀬・舛添氏と3代続けて任期途中で辞任する知事が相次いだ中、9年ぶりに任期満了に伴う知事選となる。都や区市町村の選挙管理委員会からは「落ち着いて選挙準備ができる」との声が上がる一方、感染リスクと背中合わせの異例の選挙戦となる。知事選を各選管はどう戦うのか、開票まで8回シリーズで追う。

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(1)経験と教訓/試行錯誤トラブル【2020年6月12日号】

 「感染状況が悪化する中での区長選で、試行錯誤の繰り返しだった」─。目黒区選挙管理委員会事務局の担当者はこう振り返る。同区長選は政府の緊急事態宣言発出直後の4月12日が告示日で、都内では発出後初の選挙だった。このため、各区市町選管から選挙運営のヒントにしようと注目が集まった。
 同区は直前に首長選挙を実施した熊本県や長野県松本市、大阪府大東市などの選管と情報交換し、用紙記入時に使用する筆記用具の持参を呼び掛けた。区選管は「公職選挙法では投票所への筆記具などの持ち込み制限の規定はないが、感染防止のため、持参に向けた周知をこれまで以上に強化した」と話す。
 また、感染防止のため、投票所内に設置する消毒液や、運営業務に従事する職員が使用するマスク・ビニール手袋などを急きょ手配。投票所の看板に活用していた雨除け用のビニールカバーを活用し、受付時のビニールカーテンとして活用するなどの対策も行った。
 一方で反省点もあった。受け付け係員ら投票所職員がマスク着用で対応したが、投票用紙記入の補助で区民に近づいたところ、不快に感じる人もいたという。都知事選に向けては「フェイスシールドの活用などを検討する」と話す。

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