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臓器くじ、死にたくないなら実施する方が得

臓器くじ(サバイバル・ロッタリー Survival lottery)について、ようやく納得のいく答えを出すことができた。

臓器くじの実施には賛成

先に結論を書くと、タイトルの通り臓器くじの実施には『賛成』する。理由は『臓器くじを実施する方が死ぬ確率は低くなるから』だ。

次にその導出過程を示す。

導出過程

初めに、臓器くじの内容について現在のWikipediaの記事から引用する。

・公平なくじで健康な人をランダムに一人選び、殺す。
・その人の臓器を全て取り出し、臓器移植が必要な人々に配る。
・くじにひいきなどの不正行為が起こる余地はない。
・移植技術は完璧である。手術は絶対に失敗せず、適合性などの問題も解決されている。
・人を殺す以外に臓器を得る手段がない。死体移植や人工臓器は何らかの理由で(たとえば成功率が低いなど)使えない。
引用元:臓器くじ - Wikipedia

臓器くじを実施する場合、臓器移植が必要な傷病で死ななくなる代わりに、健康なときに臓器くじで当たりを引いて死ぬリスクがある。

臓器くじを実施しない場合、臓器移植が必要な傷病に見舞われた時点で死亡が確定する。

以上を踏まえた上で、以下の通り定義する。

全人口:k
全人口の内の要臓器移植者数:l
臓器くじの当たり本数:m
当たり1本につき救える人数:n
k, l, m, nは自然数とする。

要臓器移植者になる確率 P1:
P1=l/k ……①

臓器くじで当たりを引く確率 P2:
P2={1-(P1)}*{m/(k-l)}
={1-(l/k)}*{m/(k-l)}
={(k-l)/k}*{m/(k-l)}
=m/k ……②

nの範囲:
当たりを引いた人数よりも多くの人が助かることが前提なので、
2<=n ……③

mの範囲:
n=l/m
③より、
2<=l/m
m<=l/2
当たりは必ず1本以上あると仮定して、
1<=m<=l/2 ……④

P1とP2の比較:
②および④より、
1/k<=m/k<=l/2k ……⑤
①および⑤より、
m/k<=l/2k<l/k
m/k<l/k
P2<P1 ……⑥

⑥より、P1とP2は常にP2<P1を満たす。

余談

最初は臓器くじに当たって死にたくないからという理由で反対の立場だったが、臓器くじを実施しない場合は臓器移植が必要な怪我や病気が死に直結することを見落としていたので、上記の通り考え直した。

自己犠牲の精神なんぞは毛頭ないし、最大多数の最大幸福にも興味はない。ただ自分にとって得な方を選んだ結果である。

とはいえ、この答えはあくまで臓器くじの前提が全て成立する場合の話だ。実際のところ、今回引用した臓器くじの前提の中には1つ重大な欠陥がある。

現実でこのまま実施してしまうと臓器くじという仕組み自体が破綻しかねないほどの欠陥なので、そこまで考慮するならば一転して反対に回るしかない。それについては次回のnoteで書こうと思う。