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【日誌】風が吹けば蚊はこない。

京都から東京へ。そして東京から京都へ向かう道中からー。

久しぶりに東京へ行くと、何も変わらない街がそこにはあった。梅雨時期の都会というのは、いつの日もあまりよろしくない、と感じつつ車を走らせるとそこかしこで工事をしていることに気づいた。

オリンピックだ。綺麗な建物が地面から突然ニョキっと生えたように建っている。整えられた街並みが自分にとっては気持ちの良いものではなかったけれど、開発とはおっちゃんたちの夢なのだろう。きっと今頃は思い切り疲れ切って布団で寝てるに違いない。そんな風に思えば幾分かマシだった。

土砂崩れのあった熱海には大切なお家がある。大切な先輩が大事にしているお家だ。お風呂を借り、お布団を借り、これまでに何回も何回もお世話になった。山が崩れた当日の夕方、少しでも家の様子を伺うチャンスはないかと思い、現場へ直行した。

*今日この時点で、家は土砂の直撃を免れていたことがわかっています

家に行く途中の車通りの少ない小道や逢染橋。その手前までしか車は進めなかった。様々な車両が往来し、まるで大規模な工事現場のようだ。警察官、消防士、土建屋、地元の消防団など、総出で取り掛かっていた。何人かに話しかけたけれど、お家がどうなっているかは全体像を把握できていないのでわかりませんと言われた。そう答えた後に、尋ねた全員が「大丈夫ですか」と声をかけてくれた。

気持ちを汲んでくれたのだと思う。僕は元気よく答えたいと思い「はい、大丈夫です!」と言った。

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消防士の方が思い出したかのように近づいてきて「その家に人はいないんだよね」と僕に尋ねた。僕は「はい。いませんでした!」と答えた。また家までの道が復活した後に、お家を見に行きたいと思う。


今日は風の吹く夜だ。車のドアを全開にして、寝転ぶ。車の中を、肌の上を、風が通り抜けていくのがなんとも気持ち良い。それにこれだけ強い風の前では蚊は俺の身体を刺しにこない。ダブルで嬉しい夜風にありがとう。

列島を開拓しまくったおっちゃんたち。おっちゃんたちはマジにすげー。これから補助金やら何やらの制度をバッチリ使って、行政と土建屋とでコミュニケーション取りまくって、崩れた土地をより強固にして家を建てまくるんだろう。そのパワー、マジですげー。

そのパワーでいつか、「俺たちが選ぶ、超うまい味噌汁教室」なんてのもやってみてほしい。おっちゃんが言うなら俺めっちゃ興味あるもんな。


かむきとおる
please say yes!日誌より


嘉向徹28歳、11月24日生まれのサジタリウス。推薦で受かった大学を入学前に自主退学。以来、数々の職業的なものを転々とし、目下人生勉強中。好きな言葉「朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」。心身ともに至って健康。愛車のハンドル握り今日もゆく。