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デジタル庁がマイクロソフトに「ベンダーロックイン」させ(られてい)る件

デジタル庁が公開した、「政府相互運用性フレームワーク」を流し読みした際、ファイルがMS Officeの「.docx」や「.pptx」形式で公開されていることに気が付きました。

これにまつわる重要な問題、デジタル庁、分かってないっすよ。

*それ以前に、Zipファイルを解凍したら文字化けでしたが(自分はLinux環境)。

文書ファイル形式について、デジタル庁は下記のように書いています。

また、多くの情報で構成されるため、マークダウンで公開してほしいなどの要望があるのは理解しています。現在は文書作成時の用語の揺らぎの確認等を行うためにワープロで文書を作成しているので、今後の課題にさせてください。Githubでの公開も今後は考えていきたいです。

政府相互運用性フレームワーク(GIF)を公表しました!

「ワープロで文書を作成している」ではなく、「MicrosoftのOfficeで作成している」の間違いですね。(わざとごまかした?)

*因みに、マークダウン(Markdown)で、というのは、昨今技術者の中で人気というか流行りのテキストベースのアレです(自分もGithubでは普通に使ってますが)が、「行政文書やこういうのをマークダウンで公開して欲しい」、というのは極論中の極論であって、そんなのをまともに受ける必要すらありません。(スタバで俺Mac使ってるぜ風にアピールするのと何もかわらない単なる「今どきマークダウンだろ」みたいなレベルの話し。そもそも標準すらも定まってない曖昧なしろもの

で、何が問題なのか、というのですが、この問題、10年以上前(いつ頃かは後で確認)に世界的に問題になって大きな動きがあったのです。

ちょっと今時間が取れないので、詳細は省きますが、マイクロソフトの独占問題が絡んで、EUやら米国で、マイクロソフトの息の掛っていない、中立的な「Open Document Format」が必要だよね、と。

結論から言うと、OpenDocumentという、Office互換のファイル形式があるのです。それも、世界的に国際標準となって、各国の行政機関でも使われることを想定したものです。

デジタル庁の人は、これ知らんのでしょうか。

ちょっと今時間が取れないので、ウィキペディアから引用します。

互換性が無い
 複数のデータ形式は互換性がない。特定の製品で作成したデータは、基本的に他社の製品では使用することができない。
仕様が非公開
 データ形式は公開されていないため、第三者が相互変換のためのツールを作成するなどの対策を行うことや対応するシステムを開発することは困難である。
 このことは、既に広く使われている製品を選択せざるを得ない状況を生み、特定製品に依存するシステムを生むため、営業戦略において効果的であった。実際、MS-DOS全盛時代において表計算ソフトLotus 1-2-3、日本国内でワープロソフト一太郎を普及させ、Windows全盛期においてはオフィススイート製品の分野においてMicrosoft Officeの独占に近い状態をもたらした一因ともなっている。
 このように、特定ベンダによって独占されたファイル形式に依存すること(ベンダロックイン)は、コンピュータの環境が変わると過去のドキュメントの参照や編集ができなくなるなど、知的資産としてのドキュメントの存在意義を低下させる上に、電子文書の活用を妨げるものでもあった。
また、Microsoft Officeが提供されていないオペレーティングシステム(Linuxなど)の普及に伴い、Microsoft Officeとデータを交換できるオフィススイート向けファイル形式も必要とされていた。
 要するに情報化社会において、(法学的にはともかく)コンプライアンスを遵守しライセンスに従わなければならないならば、プロプライエタリなフォーマットで作られたデータは、サポートの終了などによりゴミになってしまうか、ライセンス違反を犯すか、という多大なリスクとなっていた。
 よって、特定ベンダに独占されないオープンなファイル形式(オープンフォーマット)の要求、オフィススイート共通のドキュメントファイル形式を策定する動きが起こり、特定のベンダーに依存しないオフィススイートのためのファイル形式として、OASISのオフィス文書のためのオープン文書形式技術委員会によって策定された

https://ja.wikipedia.org/wiki/OpenDocument

つまり、行政がMSのOffice形式で公開するということは、MSにベンダーロックインされているということですし、受け取り側にもベンダーロックインを強いることになるのです。

一企業のプロプラエタリーなデータ形式を採用し、それを国が推していることになってしまう。つまり、国が一企業のもの(MS Office)の市場独占に加担することになる、ということ。

だから、国などは特に、プロプラエタリーなファイル形式に依存するのではなく、オープンスタンダードなファイル形式を使う、というのが世界的な流れ。(だから対抗してMSも無理やりECMAを通したけれど)

国ならば、ベンダーニュートラルを意識しなければならないのは当然でしょう。

そういう時の為に、OpenDocumentという、Office互換のファイル形式があるのです。LibreOffice、というオープンソースでフリー(自由で無料)のOffice互換ソフトウェアもある。

デジタル庁も、口では「標準化」やら「国際標準を使うように」と言っておきながら、当の自分達がそういうのに鈍感ってさ、こういうのなんていうんだっけ。

なお、内容については、「デジタル庁の『政府相互運用性フレームワーク』なるものを流し読み>20年遅れだよ、ホントに」で書きました。

以上です。

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