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記事抜粋129

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[1] 日中自動車メーカーのASEAN争奪戦:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

  1. 前回は、日本のハイコンテクスト文化そのものの質が低下してんじゃないかって話をしたが(元々、問題をはらんでもいたと思うが。)、今回は、前回略したところを。

  2. 2024年ーーというか、ここから数年の間、自動車産業の重要なテーマの一つは「ASEANマーケットの覇者になるのは誰」かだ。・・・

  3. まあ、そうでしょうね。

  4. しかしASEANはすでに風雲急を呼ぶ状態になっている。すでにあちこちのメディアで「日本のメーカーはASEANでもBEVに出遅れて、なす術もなくマーケットを奪われている」という「オワリの守」たちの大合唱が始まっている。 まあ、彼らはBEVをいっぱい作りさえすしかしASEANはすでに風雲急を呼ぶ状態になっている。すでにあちこちのメディアで「日本のメーカーはASEANでもBEVに出遅れて、なす術もなくマーケットを奪われている」という「オワリの守」たちの大合唱が始まっている。 まあ、彼らはBEVをいっぱい作りさえすれば覇者になれるという単純な世界観の中にいるので、話は簡単でいいが、もちろん、そういう話ではない。作っても売れなければどうにもならない。現実的に見て、BEVでビジネスが回っているのは、テスラとBYDだけで、他は死屍累々。「保守的では生き残れない。リスクを取って飛ぶ覚悟が必要だ」と外野は簡単にいうが、そういう決断をした各社はアニマルスピリットに殉死する勢いである。減価償却で首が締まっていく中国やフォルクスワーゲンを見よと。

  5. 中国は1強を生み出すまでにけっこう犠牲も出す -- そういうスタイルだ。フォルクスワーゲンだが、そもそも電池がわかっていないのに慌てて軸足を置いたってところで非常に危ういとは思っている。

  6. だからBEVなんてダメだという話をしているのではない。世に「天の時・地の利・人の和」という言葉があるが、時期と製品とサービスの仕掛け時を見定め、ユーザーのニーズに寄り添ってこそ勝機がある。テスラはアーリーアダプター向けのプレミアムBEVで商機をつかんだが、そこからアーリーマジョリティへの転換はどうもうまくいっていない。 今さらアーリーアダプター向けのサイバートラックを出しても、戦線にほとんど影響はない。うわさのモデル2がしっかりとアーリーマジョリティの心をつかめなければ、勢い込んで積み上げたギガファクトリーの巨額の先行投資によって、中国メーカー同様減価償却で首が締まって行く道が待っている。すでに投資を終えて、ルビコン河を渡ってしまった以上、テスラとしては存続をかけてモデル2を成功させるしかない。

  7. Teslaは、$25,000のBEVはいったんあきらめたものの、アーリーマジョリティの獲得にも動かなければ今以上の成長は無いわけだからそりゃルビコン川渡るわね。それには電池コスト低減しかないわけだからMaxwellプロエスに手を出したわけだが。まあ、何回も書いているように俺はそれがソリューションではないと思っているけれども。

  8. ではBYDはどうなのか、そこをひも解いて行くことが、結局のところASEANの行く末の話につながってくると筆者は思っている。

  9. 俺は日系メーカーのASEAN BEV市場における勝敗はたいして気にしていない。新車販売シェア30%を目指すとしても、残り70%は部分的にでもICVであり、ここの原油消費量を半減すれば35%の削減効果であり、BEVシェア30%よりも削減効果は大きいのであり、日系メーカーはすでに解決策を持っているからだ。

  10. 中国には、日系メーカーがコスト的に難しいBEVセクタで活躍してもらったほうがトータルで最大の原油消費量削減効果が出ると考えている。

  11. 中国企業の競争力の裏側 15年5月に、中国の習近平政権は「中国製造2025」を唱え、経済発展を担う10分野について、国家ぐるみの重点政策を打ち出した。次世代情報技術や航空宇宙、高度医療などと合わせて、新エネルギー自動車もこの枠に取り上げられ、急速に発展を遂げたのはご存じの通りである。それが今「中国躍進論」として各方面で取り上げられている。

  12. 後述するようにやり方には眉を顰められるようなところも有ったものの、たいしたもんだと思います。中国だって豊かにならなイカンからね。きれいごとでなく世界経済の規模を拡大するという観点から必要なことだと思う。

  13. 「中国を馬鹿にするのではなく、リスペクトしつつ、正々堂々と戦うべき」という意見も耳にするが、事はそんなに呑気な領域にはすでにない。 例えば、資源の領域で中国が何をやっているかといえば、グローバルな環境基準を意に介さず、土壌や河川を汚染しながらローコスト化を図ることだ。かつて中国の7色の川の写真がネットに出回ったことをご記憶の方もいるだろう。 環境に正しく配慮した開発をする国の企業は、価格的に勝負にならない。今でこそレアアースは中国が寡占しているが、そういうダンピング政策が始まる前は、世界各地でレアアースの採掘は事業化されていた。環境コストを無視した中国メーカーのダンピングでそれらは廃業に追い込まれただけのことだ。悪貨が良貨を駆逐するのは常である。

  14. まあ、確かにそうだが、中国が自らの病を自ら直す必要性に気づけばいいだけのこと。

  15. バッテリーもそうだ。「中国でクルマを売りたければ、中国で製造せよ。中国でクルマを製造したければ中国に現地法人を立ち上げよ。中国で法人を作りたければ、現地法人と合弁企業を作り、現地が50%以上の資本比率にせよ」という具合で、WTOのルール上真っ黒である。ついでにいえば、中国でBEVを生産したければ、中国メーカーからバッテリーを買えというルールもあった。そのおかげで、世界の自動車メーカーと合弁企業を作った中国の自動車メーカーは技術移転(要するに知財泥棒)と人材の引き抜きを徹底的に行い、不平等規制を背景にBYDやCATLを世界屈指のバッテリーメーカーに育て上げた。 「ちゃんと人に高い給料を払わないから引き抜かれるのだ」としたり顔で言う人がいるが、そうやって引き抜かれる人は何百人、何千人の中の生き残りにあたる。数多くの新入社員に均等に教育を行い、その成果として出来上がった人材を、結果が出てから単品で攫(さら)われたのでは、企業は人を教育する意欲がなくなる。誰も人を育てず、銭ゲバで完成品を引っこ抜く争いに明け暮れれば、やがて人材が払底するのは自明の理である。

  16. 俺も元々電池屋ではないので詳しい事情は知らんが(エレクトロニクスをやっている最中に2年ほど電池に浮気したことは有るが)、そういうところは無きにしもあらずだろうとは感じる。

  17. もっとも、俺の場合、2014年から「しゃーないから電池で食ってくか」となって以後、①完全に三元系にシフトするのでなくLFPを維持すること、②HEVに誘導することなど、別に中国に金をもらってやろうとしていたわけではなく、「原油価格が日本経済の与件」であるからやっていたにすぎん。むしろ、中国の知りたがっていた負極の技術(特にパウダーテクノロジーだが)などは聞かれても教えなかった -- まあ、シリコン系については別の考えが有ったからでも有るが。

  18. あるいは労働対価の問題もある。米国では22年から、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)という法律が施行された。「新疆ウイグル自治区からの輸入品が強制労働で生産されたものではない」と企業が明白に証拠を示すことができない限り、同自治区が関与する産品輸入を原則禁止する法律である。 この法案の成立に主導的役割を果たしたのは米上下院の超党派の議員連盟で、つまり少なくとも米議会は、この強制労働が実際に存在し、法的に規制されるべきものとするだけの根拠があると思っている。もちろんわれわれにはその詳細は知る由もないが、そこらの与太話とは明らかに違う検証フェイズを経た結論であることは確かだ。 中国のルール破りは数え上げればキリがない。なんなら本が一冊書けてしまうが、要するに中国企業の競争力の裏側には、こうした世界のルールを逸脱した行為があるのだ。

  19. まあ、無きにしも非ずだが。

  20. 米国も「てめえの都合」押し付けるところは有るんじゃないの?

  21. 欧州もルールを変えといて平気な顔で無かったことにするんじゃないの?

  22. ところで、香港問題が注目されたときに俺は「中国国内問題であるかせいぜい英中二国間問題である香港より、ウィグルやチベットが今後争点になりやすいだろう。」と書いたが(BBCがウィグル問題を記事にする前だ)、別にそこに誘導しようという気はなく単に個人的な予想として書いたまでだ。世界情勢に無関心では俺個人も巻き込まれることが有ると身にしみてわかったためだ -- まあ、それでも2014年に旧ソビエト連邦であるカザフスタンに行ったのはこの上ない転機だったが(まあ、ここじゃ研究はできんだろうなとは思ったが(笑)。)。

  23. ちなみに中東がウイグルに視察に行ったときに強制労働報道にはちょっと違和感が有ると感じたそうだ。

  24. 俺も何も問題が無いとまでは思わんが、BBC報道には「香港の腹いせ」の面もあったと思う。

  25. WTO加盟の意味 と書くとそうやって他国を非難するのではなく、戦って打ち勝てという意見が降ってくる。それなら簡単な話で、米国は第七艦隊を派遣して砲艦外交で中国に不平等条約でも飲ませてやれば良いだけのこと。19世紀のスタンダードに戻ればなんということはない。かつての欧米列強はそれを反省し、そういう手段を使わないで発展するためのルールを作った。その大事なルール破りを非難せず、ルールを守らない相手のやり方に合わせて、真っ向から実力勝負するということはそういうことになる。 だからこそWTOができた。以下外務省のサイトから抜粋する。

  26. WTOとは WTO(世界貿易機関:World Trade Organization)は、ウルグアイ・ラウンド交渉の結果1994年に設立が合意され、1995年1月1日に設立された国際機関です。WTO協定(WTO設立協定及びその付属協定)は、貿易に関連する様々な国際ルールを定めています。WTOはこうした協定の実施・運用を行うと同時に新たな貿易課題への取り組みを行い、多角的貿易体制の中核を担っています。

  27. WTO協定(WTO設立協定及びその附属協定) いわゆる「WTO協定」とは、「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(通称:WTO設立協定)」及びその附属書に含まれている協定の集合体。 附属書1~3については、WTO設立協定と不可分の一部を成しており、一括受諾の対象。従って、WTO加盟国となるためには、WTO設立協定と附属書1~3の全ての受諾が必要。 附属書4については、一括受諾の対象ではなく、WTO加盟国であってもこれらの協定を受諾しなければならない義務はない。これらの協定は、受諾国の間でのみ効力を有する。 1947年に作成された「関税及び貿易に関する一般協定(通称:1947年のガット)」は、WTO協定附属書1A(A)「1994年の関税及び貿易に関する一般協定(通称:1994年のガット)」の一部として新たに生まれ変わり、現在に至っている。<マラケシュ協定の付属書省略>

  28. ガットからWTOへ 1930年代の不況後、世界経済のブロック化が進み各国が保護主義的貿易政策を設けたことが、第二次世界大戦の一因となったという反省から、1947年にガット(関税及び貿易に関する一般協定)が作成され、ガット体制が1948年に発足しました(日本は1955年に加入)。貿易における無差別原則(最恵国待遇、内国民待遇)等の基本的ルールを規定したガットは、多角的貿易体制の基礎を築き、貿易の自由化の促進を通じて日本経済を含む世界経済の成長に貢献してきました。 ガットは国際機関ではなく、暫定的な組織として運営されてきました。しかし、1986年に開始されたウルグアイ・ラウンド交渉において、貿易ルールの大幅な拡充が行われるとともに、これらを運営するため、より強固な基盤をもつ国際機関を設立する必要性が強く認識されるようになり、1994年のウルグアイ・ラウンド交渉の妥結の際にWTOの設立が合意されました。

  29. 長すぎるので省略した付属書を補足すれば、4つの原則がある。関税及び貿易に関する一般協定のためのものであり、輸出入に関わる規制の話である。各項目に筆者による簡単な解説を付けるが、あくまでもその項の言わんとすることをまとめただけのものである。正確な情報を求める向きは「外務省+WTO」で検索して、付属書を読んでもらいたい。

  30. 最恵国待遇原則 貿易に際し、一番良い待遇の国の条件に全ての国の待遇をそろえること

  31. 内国民待遇原則 貿易に際し、内国民と同じ待遇を外国に与えること

  32. 数量限定の一般的廃止の原則 貿易に際し、関税などを例外として他に制限を設けてはならない

  33. 合法的な内国産業保護手段としての関税に係る原則 内国産業の保護を目的とする関税は認めるが最低限のものとする

  34. そして、この1~3に関してはWTOに加盟するなら必ず批准しなければならない。つまりこれを守らずにWTOに加盟することは許されない。そして中国は2001年にWTOに加盟したにもかかわらず、このルールに違反しつつ、ルールを守る国との貿易を極端に有利に進めてきたのである。 というところで上に挙げた中国国内でのクルマの販売に対する条件の数々をみれば、第2項と第3項に完全に反している。しかも後にテスラだけ合弁会社の設立を免除したことに際しては見方によっては第1項に違反する。テスラ以外のメーカーにも合弁の解消を認めない限りそういう見解になる。 そういう保護主義的貿易政策を設けたことが、第二次世界大戦の一因となったという反省からスタートしたはずのWTO体制を、中国は完全に破壊してしまった。人類の叡智への反乱である。 それによって、米国は明らかに保護主義的でWTOルールを逸脱した「インフレ抑制法」を施行したし、欧州もまた同様な「国境炭素税」を画策しているほか、フランスは独自に恣意的ともいえる補助金基準の改定を行って、輸送距離の長い輸入BEVには補助金対象外にすることを検討中である。 米国は18年に、この中国製造2025のアンチWTO主義を咎(とが)め、WTOルールの順守について中国政府に強い申し入れを要求してきたが、一向に守られない。業を煮やした米欧は、相手がそうならとばかりに、まずは制裁課税を発動させ、次いで自らもルールを破る決断をした。人類は悲惨な戦争からの貴重な学びとしてWTOルールを定めたにも関わらず、いまそれは全部なきモノとして、一触即発の状態に移行しようとしている。

  35. まあ、鶏と卵の関係のようでも有るが、21世紀も相変わらず戦争の世紀になってしまいましたがね。

  36. 中国の矛盾は必ず表面化する さて、ASEANでの日中の対立構造もこれと全く同じである。とすれば、日本はどう戦うべきか、中国同様の戦略は取れない。日本が時間をかけて構築してきた企業ガバナンスを全て元の木阿弥にしてしまうからだ。

  37. 俺は戦う必要も無いと思っている。たぶん、当事者の日系自動車メーカーですらそう思ってはいない。ノーガードでいいとかそういう極端な話ではない。俺は日系自動車メーカーは「段階的戦術変更」のできる日本では数少ない人種のいる生態圏だと思っている。たぶん、キッシンジャー(俺はこいつも中国と予めデキてた♡と思っているが)のおかげなんだが。

  38. 米国が強く反発できるのは強大な軍事力と、世界No.1の国内市場があるからだ。軍事的にも経済的にもいつでもファイティングポーズが取れる。「米国マーケットから締め出される覚悟はできているのか?」という恫喝(どうかつ)である。

  39. 日本のエレクトロニクス屋さんがよくご存じなようにね(笑)。

  40. 欧州は、ルールを変える。もちろん自国に都合の良い方向へだ。そしてルールを変えることに躊躇(ためら)いも自省もない。

  41. 日本の金融屋はよくご存じだろう。

  42. しかし、おそらく日本はどちらもできない。日本の市場を閉したところで、相手の痛みはさほど大きくないし、ましてや軍事力に訴えるのは国内事情的にも不可能。ルールをめぐる制空権で戦うにしても、建前論だけで終われない。「結局、相手を排除するためじゃないか」という身もふたもない事実に自省モードが発動してしまう。

  43. いや、別のモードが有るし、トヨタはうまくやっていると思う。

  44. しかし、日本にとって幸いなことに、現在中国では人口の何倍もの不動産物件の開発に投資してしまった過剰投資の後始末と、その救済のために金融機関に政府が融資を強いたことによる金融機関の債務危機、加えて地方自治体の資金調達に関する融資平台の巨額隠れ債務など、満身創痍(まんしんそうい)状態にあり、深刻な経済崩壊が進行中だ。今後は、巨額の政府助成金で企業の競争力に下駄をはかせることはできなくなる。中国国内の環境汚染の深刻化もひどい。元を糺(ただ)せばわれわれだって、そういうことには無頓着な経済発展を遂げてきた。しかし水俣病やイタイイタイ病、四日市喘息など、公害に起因する健康被害を経て、環境対策を怠ると大きなツケが後で回ってくることを、経験上痛感したのだ。その結果として現在のガバナンスが出来上がっている。 結局のところ無理は長くは続けられない。短期的にはともかく、サステイナブルな国家の発展、ひいては企業の発展のために必要だからこそ、ガバナンスが強化されてきたのである。

  45. 中国もそれが必要だと気づけばやるでしょう。モデルは有るのだから対策を立てるのはそう難しくない。

  46. つまりASEANでは、現在進行形で、中国流のガバナンスを無視した発展と、日本流のガバナンスを守る発展の衝突が起きており、それはやがて結果が出るはずだ。

  47. 俺は、中国のASEAN事業は既に顕在化している問題を参考にしつつうまくやってもらいたいと考えているけどね。特にBEVに関してはアジアの原油消費量削減という大きな目的が有る。

  48. 対中国BEVビジネスなど小さな問題なのだ。

  49. 非常に消極的に見えるかもしれないが、日本の自動車メーカーは、ここ数年じっと耐えることである。それは何もしないということではない。今のビジネスできちんと利益が上げられる製品をしっかり出して、耐えるための資本を確保することだ。

  50. そのために消費税増税ってのは受け入れられんけどね:税率10%でさらに拡大 消費税1兆円を還付|全商連[全国商工新聞] (zenshoren.or.jp)の表1参照。

  51. ソビエトの崩壊を思い起こすまでもなく、中国は矛盾を抱えて全力疾走しているので、いずれそれは必ず表面化する。そこまで耐え切る体力をまず付けることだと思う。ツケをため続けている以上、彼らの崩壊は必ず来る。その時まで、ASEAN各国との共感をどう作っていくかが重要なキーになるだろう。

  52. 強くなりすぎてチョーシに乗った中国ももちろん歓迎しないものの(笑)、俺は中国の経済崩壊も望まんがね。

[2] 車載電池の主要部材で存在感が高まる中国企業 | 中国EV・車載電池企業の海外戦略 - 特集 - 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ (jetro.go.jp)

  1. リチウムイオン電池(LIB)用部材の世界市場は、新エネルギー車(NEV)の急速な普及、蓄電システムの需要増などを背景に拡大を続けている。

  2. ところで、俺はナトリウムイオン電池に関しては、⓪現在の稼ぎ頭である黒鉛/LFP電池と競合させるのではなく、①高電位負極として安全性の懸念を解消し、SCiBのナトリウムイオン版として市場を獲得し(ただ、俺はやりたくない。実験では絶対ナトリウム金属使うから・・・。あぁ、悩ましい。)、②高電位負極は水系電解液にも使用して、当面は価格が高くてもいいから、安全でまあまあエネルギー密度の高い定置型蓄電池として使用することでリチウムの枯渇を先に延ばすことを考えてもらいたいと思っているのだが。

  3. フランスが起死回生の一手としてナトリウムイオン電池の先兵となるならともかく、なぜ中国が稼ぎ頭のLFPとわざわざ共食いさせなければならんのか?念のためにやっておくのはかまわんが、できれば戦略の変更を検討してもらいたい。

  4. 本稿では、車載を含む畜電池部材の成長を牽引する中国企業の投資動向、海外での市場開拓、資源確保、課題などについて考察する。LIBはエネルギー密度が高く、最も実用化されている二次電池として、主に電極に使う正極材や負極材、電極を絶縁するセパレーター(隔膜)、リチウムイオンの伝導性を持つ電解液の4部材で構成されている。矢野経済信息諮詢(上海)がまとめた4部材の世界市場における国別出荷量シェアをみると、中国は2018年から2021年にかけてそれぞれ10~20ポイント拡大し、正極材、負極材、電解液の3部材で8割超、セパレーターでも7割を超える状況となっている(表1参照)。日本は2位を維持しているものの、いずれもシェアは縮小傾向にある。

  5. まあ、圧倒的だ、中国。中国市場が世界最大の市場であることが最大のドライビングフォースだ。ASEANでも成功すればもう一つ中国市場と同じくらいの市場ができることになる。ここでも中国は圧倒的優位にある。

  6. で、俺はASEANでのBEVシフト推進を中国に期待している。

  7. 部材メーカーに相次ぐ増産計画 これら中国の電池部材メーカーが世界市場を席巻している背景には、中国の旺盛なNEV需要などを見込んだ多額の設備投資による大量生産がある。矢野経済信息諮詢(上海)のまとめによると、中国企業のLIB主要4部材関連の投資額(計画を含む)は2020年に653億元(約1兆3,060億元、1元=約20円)だったが、2021年には前年比5.8倍の3,790億元、2022年には8,082億元に急増した(表2参照)。

  8. 中国の設備投資を過剰と見ている輩もいるが、現在の新車販売シェアは中国国内で27%だ。中国国内でもこれを50%に上げる必要は有るし、中国と総人口では同じ規模のASEANでもBDVシフトを進めなければならない。特に過剰とは思わない。問題なのはいい加減な企業が増えること。だいぶ減ったが、次から次へと出てくる。きりがない。

  9. 以下、数学的に美しい構造の文章ではないが(米国人よりだいぶマシだと思うが、中国人にもちょっとこういうところが有る。)、数字を見るとそうおかしくもないとわかるだろう。

  10. 例えば、大手セパレーターメーカーの深セン市星源材質科技(星源材質)は2023年2月、江蘇省南通市で手掛けるプロジェクトの1期目が稼働したと明らかにした。総投資は110億元(約2,200億円)で、3期に分けて整備する。完成すれば、湿式セパレーターの生産能力は年間30億平方メートル、乾式セパレーターは16億平方メートルに達する見込みだ。星源材質は2003年9月に設立された車載電池向け大手部材メーカーで、2016年12月に深セン証券取引所に上場している。生産拠点は本社を置く広東省深セン市のほか、安徽省合肥市、江蘇省常州市、江蘇省南通市、広東省仏山市、スウェーデンなどに構え、研究開発センターは深センのほかに、日本(大阪)、ドイツに設置している。同社は2027年にセパレーターの生産能力が160億平方メートル、世界シェアを約3割にする目標を掲げている。

  11. 2023年に入っても、中国電池部材メーカー各社の生産拡大は続いている。中国工業情報化部の発表によると、2023年1~6月の国内生産量は、正極材が約100万トン(前年同期の生産量は73万トン)、負極材が67万トン(同55万トン)、電解液が44万トン(同34万トン)、セパレーターが68億平方メートル(同56億平方メートル)となり、前年同期比でいずれも2割を超える大幅増となった。

  12. 海外に活路を見いだす中国企業 中国電池部材メーカーは、国内の激しい競争で磨いたマーケティング力、商品の価格競争力などを武器に、海外市場開拓を進めており、中でも韓国、東南アジア、欧州市場などには積極的に展開している。

  13. 北米は難しくなったからね。

  14. 欧州は抵抗しているが、ドイツなどではユーザーはわりと受け入れる構えだと聞いたことが有る。

  15. 深セン証券取引所上場企業のニッケル大手、中偉新材料(CNGR)は2023年6月、韓国の鉄鋼大手ポスコと、NEV用電池材料を生産する合弁会社2社を共同設立すると発表した。いずれも韓国の慶尚北道・浦項市に設置する予定で、1社目は同年8月に設立し、正極材の中間素材となる前駆体を製造する。プロジェクトの総投資額は1兆969億6,000万ウォン(約1,097億円、1ウォン=約0.1円)で、CNGR傘下の香港子会社が8割、ポスコ傘下の電池素材メーカーであるポスコフューチャーエムが2割を出資する。前駆体の年間生産能力は前期で3万6,000トン(投資額5,790億9,000万ウォン)、後期で7万4,000トン(同5,178億7,000万ウォン)と合計11万トンに達する見通しだ。2社目は硫酸ニッケルの製錬を行う予定で、総投資額のうちCNGRが4割、ポスコが6割を出資する予定である(2023年6月29日付ビジネス短信参照)。韓国大手電池メーカー向けに部材供給するための投資が多いとみられる。

  16. 韓国はニッケル枯渇に向けて驀進してくれとるわ・・・。まあ、いいや。全固体電池が出れば駆逐されてくれるでしょう。

  17. 同じく中国に近く、今後の成長が期待される東南アジアへの進出も活発だ。星源材質は2023年11月、マレーシア北部ペナン州で東南アジア初のセパレーター工場の着工式を行った。第1期の投資額は50億元で、LIB向け湿式セパレーターと塗布型セパレーターの生産能力は年間20億平方メートルに上る見込みだ。同社はマレーシア進出の目的について、東南アジアではNEVや蓄電池など関連産業が急速に発展しており、サプライチェーン上の企業が相次いで進出する中、現地生産力の向上を通じて、国外市場の新規開拓やシェアの拡大に寄与するとしている(2023年8月31日付ビジネス短信参照)。

  18. ASEANでのセパレータ事業は従来品でいいから、儲かったら次世代品にも取り組んでくれんかね。

  19. また、中国電池部材メーカーは欧州での投資も強化している。寧波杉杉は2023年9月、フィンランドに負極材の生産拠点を設けると発表した。最大投資額は12億8,000万ユーロで、負極材の生産能力は年間10万トンに達する見込み。2期に分けて建設され、各期の生産能力はいずれも5万トンで、工期は24カ月の予定だ。世界の大手LIBメーカーが相次いで欧州で工場を設けており、納入先に近い生産拠点の整備には、新規開拓と安定的な供給を図る目的がある。同社の負極材出荷量は2022年に20万トンを突破し、原料となる人造系黒鉛の出荷は世界最大規模となっている。車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)をはじめ、LGエナジーソリューション、BYDなどに供給しているという。

  20. 人造黒鉛の焼成コストも大幅に下げたようだが、ハードカーボンをナトリウムイオン電池用ではなくリチウムイオン電池用に開発しなおしてくれんかな・・・。

  21. 海外資源の調達を強化 中国電池部材メーカーが海外進出するもう1つの狙いは、LIB向けのコバルト、ニッケル、リチウムなど重要な鉱物資源を獲得し、強固なサプライチェーンを築くことである。非鉄金属業界団体の中国有色金属工業協会が2023年3月末に公表した「2022年中国リチウム産業報告白書」によると、中国が2022年に海外から輸入したリチア輝石(リチウムの原料)は約284万トンで、リチウム原料の海外依存度が約55%に上った(「上海証券報」2023年3月31日)。リチウム大手の江西贛鋒鋰業(ガンフォン・リチウム)は2023年6月、アルゼンチン北西部フフイ州のカウチャリ・オラロス塩湖でのリチウム開発事業で、炭酸リチウムの生産を開始したと発表した。1期目の生産能力は年間4万トン(炭酸リチウム換算、LCE)、2期目は最低でも2万トン(LCE)の計画だ。カウチャリ・オラロス塩湖のリチウム埋蔵量は約2,458万トン(LCE)に達し、世界で最大規模のプロジェクトの1つで、ガンフォン・リチウムは同プロジェクトの46.7%の権益を所有し(1期目生産分では販売権の76%を持つ)、主導権も握る。同社は、アルゼンチンで4つのリチウム開発プロジェクトを抱えている。総投資額は27億ドルに達し、総生産能力は年間10万トン(LCE)を上回る見通しだ(2023年6月20日付ビジネス短信参照)。上海証券取引所の上場企業であるコバルト大手、浙江華友钴業は2023年12月、シンガポールの100%子会社を通じ、インドネシアで車載電池向けニッケル・コバルト混合水酸化物(MHP)を年間12万トン生産するプロジェクトを進める方針を明らかにした。総投資額は約38億4,215万ドル。うち同社は73.2%を出資するほか、ブラジル資源大手バーレ傘下のバーレ・インドネシアが18.3%、米国のフォードが8.5%をそれぞれ出資する。インドネシア東南スラウェシ州にあるポマラ鉱山の開発でMHPの原材料を加工・調達し、工期は3年の予定だ。

  22. まあ、NCMなんだろうけど。全固体用に残しといてくれんかな・・・。

  23. 電池部材メーカーが直面する課題 中国電池部材メーカーは、LIBの需要拡大を見込んで大規模な生産増強を進めた結果、一部の原材料では需給バランスが悪化している。さらに、コバルトやニッケルを使わないリン酸鉄リチウム電池の普及も、これらの資源価格を押し下げた。「証券日報」によると、中国産炭酸リチウムの平均単価は2023年12月5日、1トン当たり12万7,000元に下落し、多くのメーカーの製造原価である10万元に迫っている。2022年12月の単価は約60万元だったことと比較すると、1年間で8割近くも暴落したことになる(「証券日報」2023年12月6日)。原材料価格の急落は、電池部材メーカーの収益を圧迫している。中国金融サービス大手の万得数据(Wind)がまとめた2023年1~9月期の企業決算情報では、中国のA株市場に上場している電池部材メーカー77社のうち、前年同期に比べて売上高が縮小した企業数は45社で、拡大した32社より多かった。また、赤字企業も50社と、黒字企業の27社を上回った。

  24. まあ、電池メーカー、BEVメーカーにとってはいいニュースだから。

  25. 中国の電池部材メーカーにとって大きな課題の1つは、次世代電池といわれる「全固体電池」関連の新素材開発が急ピッチで進んでいることである。全固体電池は既存のLIB開発の延長線にあるものではない。液体の電解質やセパレーターがなく、正極材や負極材に使用される材料も新たに開発しなければならない。全固定電池が量産化を実現すれば、中国の電池部材メーカーが持つコスト面での優位性などは一変する可能性がある。自動車の電動化、コネクテッド化などが進められている中、次世代電池の本命ともされる全固定電池の開発競争はこれから本格化する。

  26. 材料が大きく変わるわけでもないが、粉体仕様は変えなしゃーないわな。

[3] 中国NEVの2024年展望、BYD・テスラに異業種が挑む | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

  1. 2024年の中国NEV(新エネルギー車)市場では、中国・比亜迪(BYD)や米Tesla(テスラ)といった垂直統合を強みとする自動車メーカーに、異業種が水平分業型の事業モデルで挑む構図が見られそうだ。

  2. 現在、NEVへの移行が急速に進む中国市場で覇権を争うのは、BYDとテスラである注1)。調査会社のマークラインズによると、2023年上半期(同年1~6月)の中国におけるNEV販売台数は、首位がBYDの119万1400台、2位がテスラの47万6500台だった。EVだけでなくプラグインハイブリッド車(PHEV)でも高い価格競争力を持つBYDが、中国では抜け出しつつある。 EVにおけるBYDとテスラの競争力の源泉は、中核部品を内製している点にある。リチウムイオン電池や電動パワートレーンのほか、その周辺のパワーエレクトロニクス部品、統合ECU(電子制御ユニット)などを手の内化し、半導体の設計・開発能力も持つ注2)。これによりEVのコストを低減し、自動車メーカーの中では数少ない“EVで利益を生み出せる体制”を構築している。 両社を追うように、EVの基幹部品の内製化にかじを切る中国メーカーも出てきた。代表格が中国・浙江吉利控股集団(Geelyグループ)である。傘下の高級EVブランド「Zeekr(ジーカー)」は2023年12月、自社で開発した新型のリン酸鉄リチウム(LFP)系リチウムイオン電池「Golden battery」を発表した。同電池は、2024年1月1日に納車を始めた新型セダン「007」に搭載している。 Geelyグループは、電動アクスルや一部の半導体の内製化も進めている。ジーカーとして1車種目となる「001」では、一部グレードにニデックの電動アクスルを採用していた。だが、2車種目の「009」以降は、全面的にGeelyグループの中国Viridi Energy Mobility Technology(VREMT)製に切り替えた。 半導体については、Geelyグループで車載半導体を手掛ける中国・湖北芯擎科技(SiEngine)が開発を進める。GeelyグループのNEVブランド「Lynk&Co(リンク・アンド・コー)」は、新型SUV(多目的スポーツ車)「08」のコックピットにSiEngine製の7nm世代プロセスを使った車載SoC(System on Chip)「龍鷹一号」を採用した。

  3. 中国では現状、こうした垂直統合型を志向する自動車メーカーが優位に立つが、水平分業型の事業モデルを採る異業種も勝機を探る。2024年は両者による競争が激化しそうだ。 異業種勢で台風の目となりそうなのが、通信機器大手の中国・華為技術(ファーウェイ)とスマートフォン大手の同・小米(シャオミ)である。車両の製造は自動車メーカーに任せ、先進運転支援システム(ADAS)/自動運転システムやスマホとのOS(基本ソフト)の共通化、連携といったソフトウエアでの強み、広く認知されたブランドなどで差別化を図る。

  4. 後は会員専用ページだから参照は控えるが、水平分業陣営が低価格帯に進出してくれればいいものを競合するようなカテゴリーで製品を出すから・・・。

  5. まあ、低価格帯も既にレッドオーシャンなんだが・・・。

[4] 焦点:テスラのサイバートラック、新型電池の量産難航で本格展開に暗雲 (msn.com)

  1. この件、既に取り上げたんだが・・・改めて。

  2. [オースティン(米テキサス州) 21日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラが先月に出荷を開始した電動ピックアップトラック「サイバートラック」は、最新型のリチウムイオン電池「4680」の生産増強が計画通りに進まない恐れがあり、本格展開に暗雲が垂れ込めている。事情に詳しい関係者9人の話で明らかになった。 テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は今年10月、サイバートラックの年間生産台数が2025年中に25万台に達するとの見通しを示した。だが、生産台数を予定通りに増やしていくにはかなりの困難が予想される。主な問題の一つは、最新の電極のドライコーティング技術を採用した4680電池の生産ペースにある。ロイターが公開情報と独自に入手した非公開データから推計したところ、テキサス州オースティンにあるテスラの「ギガテキサス」工場では現在、年間約2万4000台に搭載する分の4680電池しか生産できていない。これは年間に25万台のサイバートラックを生産するために必要な能力の約1割にとどまることを意味する。 テスラが2020年に打ち出した計画では、ドライコーティング技術を使った電極による電池の大量生産が重要な前提条件となっていた。計画には水分を使わずに電極を塗工することで電池の製造コストを半分未満に抑えるとともに、投資を大幅に削減し、より小さく、環境に配慮した工場を建設する方針が盛り込まれていた。

  3. 水分って言うか溶剤全般をな。

  4. 9人の関係者は、テスラは、生産目標の達成に必要なペースで4680電池を製造するために必要なドライコーティングの大量処理のノウハウをまだ構築できていないと話した。バッテリー技術コンサルタントのユアン・ガオ氏によると、ドライコーティング技術によるアノード電極とカソード電極の製造は実験室では立証されており、比較的小さなエネルギー貯蔵装置や一部の小型バッテリーでも実績がある。同氏は「だが、大量かつ十分に速いペースで大型のEV用バッテリーを製造することについては、これまでに誰もやったことがない。この商用化を試みるのはテスラが初めてだ」と指摘。「テスラにとっての試練は、生産規模を拡大して処理速度を速めるだけではなく、独自の機器とツールを開発しなければならないことにある」と語った。テスラにこの件について詳細な質問をしたが、返答はなかった。

  5. まあ、難しいことはわかってやってんだろうからいいけど。

  6. <難問解決> 関係者のうち3人の話では、サイバートラックに搭載される4680電池には1360個のセルが組み込まれていると推計されている。これに基づくと、年間25万台のサイバートラックを供給するには年間3億4000万個、1日当たりでは約100万個のセルを製造する必要がある。テスラがこれまでに公開した情報に基づいてロイターが試算したところ、テスラのオースティン工場では現在、1000万個の4680用セルを製造するのに約16週間を要している。この試算は、関係者3人が確認した。この製造ペースでは年間のセル生産は3250万個となり、サイバートラック2万4000台分にとどまる。テスラはまた、4680電池を他の車種にも搭載する方針であり、2020年代半ばまでに発売する価格が2万5000ドル程度の小型車への搭載も検討されている。

  7. $25,000も諦めてはいなかったんだね。

  8. テスラはカリフォルニア州フリーモントの工場でも4680を限定的に生産する能力があるが、同工場は試作品の生産が中心だ。テスラに長期にわたって電池を供給してきたパナソニックは米国内に少なくとも2つの工場を建設する計画だが、まだ1カ所目に着工したばかりだ。また、米国の新工場でテスラ用の4680電池を生産するかどうかは同社は発表しておらず、初期的には日本国内で4680の量産を立ち上げる計画だとしている。関係者のうち2人は、1本の生産ラインで製造ノウハウを確立して安定的に生産できるようになれば、テスラによる4680電池の生産拡大は加速すると考えている。同じ関係者2人は、テスラは支障なくバッテリーを生産するノウハウの確立に重点的に取り組んできたと指摘。その1人は「いったん難題を解決すれば、安定的に生産できるようになり、生産量は飛躍的に増える」と話した。テスラの技術担当シニアバイスプレジデント、ドリュー・バグリーノ氏は今年10月、同社はオースティン工場の2本の生産ラインで4680用セルを製造しており、合計で8本の生産ラインを2つのフェーズに分けて設置する計画だと明らかにした。最後の4本は2024年終盤に稼働する予定。ただ関係者の1人は、1本の生産ラインで確立したノウハウを次の生産ラインに応用することは容易ではないと指摘。収益を生み出せる生産ラインでは、廃棄されるセルは全体の5%程度にとどまるが、新たな生産ラインが稼働する際、廃棄率は30-50%に跳ね上がり、数カ月にわたってその状態が続く可能性があると話した。関係者の1人は、テスラのドライコーティング技術によるカソードは、旧式のウェットコーティング手法よりも生産ペースが速いノウハウが確立されていないと指摘。ただ廃棄率は10―20%に低下しているという。バグリーノ氏はこの件に関するコメント要請に返答していない。

  9. うわぁ・・・。

  10. <どろどろの塊> この関係者によると、テスラはリチウムとマンガン、ニッケルなどの材料をバインダー(接合材)と混ぜ合わせて金属箔に付着させ、水分を使わずにカソードを製造する工程で壁にぶつかっている。関係者のうち2人によると、小規模なパウダー生産では問題は発生しなかったが、テスラが規模の拡大を試みたところ、大量の熱が発生して接合材が溶けてしまったという。関係者の1人は、テスラは接合材としてポリテトラフルオロエチレン(テフロン)を使用しているとみている。「接合材が溶ければ、やがて全部がどろどろの塊になる」と、上記の関係者は説明した。

  11. PTFEを剪断力でフィブリル化するってことだが、乾式でやってっからPTFEが溶けるくらい(300℃近いかな)まで温度が上がってるってことね。

  12. 前にも書いたんだが、乾燥することにはセルを組む前に水混入を極力減らすってメリットも有るので(塗工は普通ドライルームに入る前にやって、乾燥してからドライルームに入れてアセンブリする。)、溶剤を減らすくらいにしといて乾燥無しってのは諦めたほうがいいとも思うんだよね。

  13. マンガン乾電池は水系だからってことも有るがPTFEの水分散液を使ってたものも有ると思う。ほぼドライだ、水少ないから。

  14. まあ、既に完全ドライは諦めてんじゃないのかなって推測してるけど、ドライって言い張るから(笑)。

  15. あと、負極の話が出てないが、負極のカーボン系の充電電位ではPTFEが分解されるので使えない。したがって、PVDFかSBRを使うと思うんだが、いずれもフィブリル化はしない材料だし、SBRなんて水分散液だ。黒鉛だとつぶれやすいからあんまりせん断力をかけるわけにもいかない。溶剤使ってんだろ、たぶん。

  16. 同様に問題となっているのは、金属箔を塗工して電池の電極を生産するための、巨大なローラーが付いた輪転機のような機械だ。テスラはセルの生産を加速するため、複数の金属箔に高速で同時に電池材料を塗工しようとしている。これには、巨大な幅広ローラーを使って高圧で材料を金属箔に付着させる必要がある。だがローラーが巨大で幅広になると、圧力を均等にかけるのが困難になることが判明したと、複数の関係者は話す。圧力が均等に加わらないと、電極の表面に凹凸ができたり厚さが均一ではなくなり、電池セルの電極として使い物にならいため廃棄せざるを得なくなるという。

  17. 電解液を使うので電極には電解液を染み込ませる空隙も必要だ。これもあってそんなにガンガン圧延するわけにもいかない。うまくやるには日本ゼオンみたいなやり方するしか無いんだろうね・・・。

  18. ちなみに硫化物全固体電池だったらガンガン圧延してもいいんだけどね・・・。

  19. さらなる問題点も指摘されている。テスラのバグリーノ氏は3月に開催された電池カンファレンスで、塗工に欠陥があるセルを排除できるようにするための新しい品質評価システムをいまだ構築中だと話した。事情に詳しい関係者の1人によると、これにはテスラの電池開発と製造、そして実際の使用をカバーするデータインフラを構築する必要がある。塗工の欠陥は、使用開始から数カ月後に現れる場合もあるためだ。この関係者は、テスラはいまだにどのドライ電極が優良で、どれが不適合品かを完璧に見分ける術を持っていない、と指摘した。

  20. 結着の弱いとこが剥がれちゃうんだろうね・・・。

  21. 圧延ではなくバインダの分散の問題のような気がするが・・・。


ところで、落雁ってお菓子有りますよね:日本の伝統菓子「落雁」って?和三盆や干菓子と一緒?違う? - macaroni (macaro-ni.jp)

  1. 口の中でとろけるような品のよい甘さがたまらない「落雁(らくがん)」。

  2. とろけるっていうか、ボロボロ崩れていくんですけど・・・。

  3. 落雁とは、穀類の粉に砂糖や水あめなどを入れて練り、木型に押して乾燥させたお菓子です。

  4. 「穀類と砂糖」が活物質と導電剤みたいな感じね。で「水あめ」がバインダを溶かした水溶液ね -- 現在では、デンプンにシュウ酸を加え、加水分解した酸糖化水あめ、でん粉を酵素により加水分解した酵素糖化水あめも製造されている。 シュウ酸は有毒なうえ酸味があるので、炭酸カルシウムを加えて水に不溶なシュウ酸カルシウムとしたのち、濾過して取り除く 。「木型に押して」がプレス成型ね。

  5. お菓子としてはこれでいいんだが、電池をこんな感じに作られたら使いづらくてしようがねえって話なんだよね、ドライ電極とか。

  6. しかも水あめすら使わないっていう・・・。

[5] 【名城大学】リチウム-コバルト酸化物が水を分解して水素を生成することを世界で初めて発見ー使用済みリチウムイオン電池のリサイクルが水素社会の実現を後押しする可能性ー(2024年1月5日)|BIGLOBEニュース

  1. これでいいんだろうか・・・。

  2. 【概要】 研究チームは、若狭湾エネルギー研究センターが保有するタンデム加速器を利用した大気雰囲気型反跳粒子検出法により、水分解によって生成された水素がリチウム−コバルト酸化物中に吸収されることを、その場で観測しました。また、第一原理計算を用いて、水素導入による欠陥形成エネルギーを求めることで、吸収された水素はリチウム空孔位置付近に最も安定に占有することがわかりました。さらに、室温で水浸漬されたリチウム−コバルト酸化物を250度以上に加熱すると水素が発生することを発見しました。 以上の実験結果を基にすると、添付の図に示したように、①リチウム−コバルト酸化物が水中に浸漬されると、バルク内のリチウム原子が表面へ偏析してリチウム空孔を形成する。その際に酸素空孔も電気的中性を保つために形成される。 まあ、Li2MnO3の活性化もこんな風にされてたな。 ②水が表面に偏析されたリチウム原子、あるいは酸素空孔と反応して水素と水酸基に分解する。 ③生成された水素はバルク内を拡散してリチウム空孔、水酸基は酸素空孔を占有する。 ④加熱によってリチウム空孔から脱離した水素は、他の水素と結合して水素分子、あるいは水酸基と結合して水を形成して放出される。その際に、酸素分子が水酸基同士の結合により放出される。 というような水分解および水素の吸収・貯蔵・放出におけるメカニズムが考えられます。リチウムイオン電池を構成するリチウム−コバルト酸化物および身近にある水を原料に使い、環境への負荷が少ない温度(250度)での水素の生成の発見は、世界で初めてとなります。この結果は、使用済みリチウムイオン電池を再利用して水素を作る技術開発の第一歩となります。リチウム−コバルト酸化物は水中において安定であるため、水素吸収・貯蔵・放出特性は劣らず、何回でも利用することが可能です。即ち、使用済みリチウムイオン電池は、水を分解して水素の吸蔵・貯蔵・放出を繰り返す再生利用可能なエネルギー供給源となることが期待されます。 LiCoO2を回収して、熱処理して、また戻すのか・・・。

  3. 【背景】 現在、二酸化炭素を排出しない地球環境に調和した水素エネルギー社会の実現に向けて多くの研究が進められています。燃料となる水素は、メタン、アンモニア、エタノール等の水素化合物から取り出すことが一般的ですが、水素エネルギー社会の実現を達成させるための理想的な水素生成方法の1つとして、地球上に無尽蔵に存在する安全な水から常温で取り出すことが挙げられています。本研究では、水を室温で吸収する優れた特性を有するリチウム−コバルト酸化物に注目し、低エネルギーで水から水素を取り出す研究を試みました。このリチウム−コバルト酸化物は、スマートフォンやノートPCなどのバッテリーとして搭載されているリチウムイオン電池の正極材料として幅広く利用されています。今後、さらに大量に放出される可能性がある使用済みリチウムイオン電池の処置は喫緊の課題となっています。 リサイクルされるんじゃないのかな?

  4. 【意義】 研究チームが室温で水浸漬されたリチウム−コバルト酸化物から生成した水素は、既存の発電用プラントや家庭用燃料に適用することができるため、社会コストの抑制が可能であり、効率的な脱炭素手段として大きなポテンシャルを持っています。この水素製造手法は、土屋教授が特許を保有するリチウム複合金属酸化物の常温水分解技術「水素貯蔵体、及び水素の製造方法」(特許第6993686号)の新たな展開と位置付けられます。

  5. 【今後の展開】 実用化に向けては、空気中の水蒸気を効率よく吸収し、水素を大量に作り続けることが求められます。そのためには、より表面積を増やすために粉末状のリチウム−コバルト酸化物を作製し、水蒸気から水素生成を実現することを目指しています。

[6] 【名城大学】全固体リチウムイオン電池材料の展開に期待!低温プラズマプロセスで1次元Si/Snナノ材料負極のシングルステップ作製に成功~高容量Liイオン電池を実証~(2023年9月9日)|BIGLOBEニュース

  1. 研究の背景 高エネルギー密度のLiイオン電池を実現するためには、Liイオンを大量に取り込める高容量負極の開発が必要不可欠です。Si材料は、カーボンの理論容量372 mAh/gの約10倍の理論容量4,200 mAh/gを持ち、高容量負極の最も有望材料です(利点)。しかしながら、Liを取り込むことで合金化し、その際、体積が4倍近くにまで膨張する特性を持っています。充放電で膨張と収縮を繰り返すことで、亀裂や集電体となる銅電極からの剥離が起こり、高い容量が急激に低下する短寿命という問題があります(欠点)。この問題を解決する究極の高容量材料として1次元構造をもつSi材料が注目されています。これを電極に利用するためには、ナノ材料を凝集なく均一に分散させて電極を作製することが重要です。研究例として、Siナノワイヤー材料を様々なプロセスで作製し、その後、電極膜を作製する例が多数報告されています。電極膜の作製は、ナノワイヤー材料を接着材と混合してペースト化し、それを銅電極上に塗布し、最後に焼成するという多段階の工程となります。この全ての工程で、Siナノワイヤーを凝集なく均一に分散させることが重要なポイントとなります。

  2. 研究内容及び本成果の意義 上記の従来法に対し本研究の利点は、独自のプラズマプロセスで直径150 nm程度のSiナノワイヤー負極を簡易な単一ステップ工程で作製できる点です。接着剤を利用しないことからLiイオンを取り込めるSi材料のみの電極膜となります。さらに本研究ではSiナノワイヤーの表面を電子伝導性の良いSn金属でコートすることに成功しました。これによりLiイオンの充電・放電反応を促進することができます。実際に繊維状に生成したSi/Snナノワイヤー負極でLiイオン電池を試作し評価したところ、1,000 mAh/g以上の高い容量を50サイクル以上劣化なく維持できることを実証しました。低温プラズマプロセスは半導体作製にも多用されている高品質膜を大面積に作製できる制御性に優れたドライプロセスです。今回の開発した高圧低温プラズマプロセスでは、高品質に加え1次元のナノ構造の制御にも成功しました。今後は、次世代の全固体Liイオン電池材料にも展開していくことが期待できます。

  3. Heスパッタでつくってるんだが、成膜速度が遅いので(He+イオンはAr+イオンよりずっと質量が小さいのでターゲットからSiをたたき出す速度が遅いんだよ。遅いので、Heが堆積物に取り込まれてスカスカな膜とかナノ構造物ができやすいんだよ。)、量産適合性のあるプロセスを検討するってことになってたんだと思うが・・・。まあ、ナノワイヤができたってのが嬉しいのか。

  4. まあ、溶射とかは無茶だとは思いましたが・・・こうやってつくるしか無いのか・・・。

  5. 合金系負極は当分無いな、たぶん・・・。

[7] ヒズボラ司令官、レバノンで死亡…車で移動中にイスラエルの攻撃受けたか (msn.com)

  1. 【エルサレム=梁田真樹子】AFP通信によると、イスラム教シーア派組織ヒズボラは8日、ウィサム・タウィル司令官が死亡したと発表した。レバノン南部を車で移動中、イスラエル軍の攻撃を受けたという。タウィル氏はイスラエル国境に近いレバノン南部での作戦を統括していた。地域の緊張がさらに高まる可能性がある。 イスラエル軍のヘルツィ・ハレビ参謀総長は7日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸を視察した際、イスラエル北部への攻撃を繰り返すヒズボラについて、「参戦の代償は高くつく」と述べ、反撃を強化する方針を示していた。

  2. 代償は高くつくことを教えるには、テロリスト指導者全員の殺害、ハマスの初日の急襲で失われたイスラエル人1,200人の100倍である120,000万人くらいが必要だと思う。たぶんそれくらいやるつもりだ、イスラエル。

  3. で、その次の報復にも備える。

  4. 今後の課題は効率を上げて民間人への被害を極小化することだが、市民を盾に取るのがイスラム系テロリストの常とう手段なので、どう出るでしょうか、イスラエル。

[8] インド最高裁、集団レイプ事件11人の釈放無効に (msn.com)

  1. 先進国への階段を一つ上った可能性が有る。

  2. 影響力を増しているイスラム世界への配慮とも取れるが。

  3. 【AFP=時事】インド西部グジャラート州で2002年に起きた宗教暴動でイスラム教徒の女性たちが集団レイプされ、14人が死亡した事件で、同国最高裁は8日、終身刑を科されながらおととし釈放されていたヒンズー教徒11人を再収監すべきとの判決を下した。 2022年8月、同州政府委員会の勧告を受けて釈放されていた11人について、最高裁は2週間以内の再収監を命じた。 11人は釈放された際、親族や支援者らから英雄的な歓迎を受ける様子が動画で公開された。またその釈放は、ナレンドラ・モディ首相が演説で女性の安全について語ったインド独立記念日の祝賀とも重なり、全土で怒りを巻き起こした。

  4. 事件はヒンズー至上主義を掲げるモディ首相が、グジャラート州首相を務めているときに起きた。モディ氏は宗教暴動を見て見ぬふりをしたと非難されたが、2012年に非はなかったとされた。 野党・国民会議派は最高裁の判決を歓迎。与党・インド人民党の「女性に対する冷淡な軽視」が暴露されたと批判した。 同党広報担当のパワン・ケーラ氏はX(旧ツイッター)への投稿で、「犯罪者の違法な釈放を進めた者たち、受刑者を花輪や菓子で歓迎した者たちに平手打ちが食らわせられた」と述べ、「インドは犯罪の被害者および加害者の宗教やカーストによって、司法運営が左右されることを許さない」と強調した。(c)AFP

[9] イスラエル軍、陸軍・空軍を縮小 ハマス幹部に狙い定める作戦 (msn.com)

  1. イスラエル軍のハガリ報道官は8日、パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエル軍の陸軍と空軍の規模を徐々に縮小し、イスラム組織ハマスの幹部らに狙いを定めた「新たな段階」の軍事作戦を始めたと明らかにした。米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューに答えた。ガザの死者数は2万3000人を超えており、民間人の巻き添えを減らし、国際社会の批判をかわす狙いがあるとみられる。 ハガリ氏によると、イスラエル軍は今月に入り、陸軍と空軍の兵士を減らし始めたという。軍は6日、ガザ北部におけるハマスの軍事力を「破壊した」としており、今後はハマスの拠点があるとされるガザ中部デルバラーや南部ハンユニスに兵力を集中させる。

  2. また、国際司法裁判所(本部オランダ・ハーグ)は近く、イスラエルのガザ攻撃が「ジェノサイド(集団殺害)」にあたるか調査を始めるが、ハガリ氏は軍が攻撃対象地域の市民に避難を事前に要請していることなどを挙げ、「ジェノサイドにはあたらない」と主張した。

  3. 市民を盾に取ることで市民に犠牲者を出し、敵のジェノサイドを主張するという方針が正当化されるかどうか、見守りたい。

  4. 欧州との付き合い方を判断するうえでの参考になる。

  5. イスラエル軍の攻撃によるガザ中部、南部の死者は増え続けている。ガザ当局は8日、過去24時間で249人が殺害されたと発表した。デルバラーでは空爆で20人以上が死亡し、ハンユニスでも多くの死者が出た模様だ。イスラエル軍は8日、中部ブレイジでハマスの長距離ミサイルの製造工場を発見したと発表。地下トンネルを使ってミサイルを搬送していたとみられるとしている。 一方、北部でもイスラエル軍の活動は続いており、世界保健機関(WHO)は8日、安全が確保されていないため、昨年12月下旬からガザ北部の病院に薬を届けることができていないと明らかにした。

  6. イスラエル軍とレバノンに拠点を置くイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘も激しくなっている。ヒズボラは7日、多くの対戦車砲を発射し、イスラエル空軍の拠点を破壊。イスラエル軍は8日、報復としてレバノン南部で車を空爆し、ヒズボラの幹部司令官を殺害した。

  7. イスラエル軍は戦闘が始まった昨年10月7日以降、ハマスを支援するヒズボラの戦闘員を130人以上殺害しているが、この司令官は最も高位の人物とみられ、ヒズボラの反発は必至だ。

  8. またイスラエル軍は8日、シリア南部でイスラエルに対するロケット弾攻撃を指揮していたハマスの幹部戦闘員も殺害した。【エルサレム三木幸治】

[10] 中国の新興EVメーカー「超急速充電池」を自社開発 吉利系「極氪」が新型車に搭載、電池外販も検討 (msn.com)

リン酸鉄系リチウムイオン電池は中国メーカーによる改良を経て、EV向けに十分な航続距離を確保できるようになった。写真は極氪が発表した金磚電池(同社ウェブサイトより)
  1. 中国の新興EV(電気自動車)メーカーの極氪(ジーカー、正式社名は極氪智能科技)は2023年12月14日、超急速充電に対応したリン酸鉄系リチウムイオン電池を自社開発したと発表した。同社が「金磚電池(金のレンガ・バッテリー)」と名付けた新型電池は、15分間の充電でEVの航続距離を500キロメートル伸ばすことができるという。極氪は2021年3月、中国の民営自動車大手の吉利汽車(ジーリー)から分離独立して発足。現在は「極氪001」、「極氪009」、「極氪X」の3車種を販売しており、2023年11月に新型車「極氪007」の販売予約を開始した。金磚電池は、この極氪007に搭載される予定だ。同社は自らを「ハイエンドのスマートEVブランド」と位置付けており、既存車種の車載電池はすべて(高価だがエネルギー密度が高い)三元系リチウムイオン電池を採用していた。リン酸鉄系リチウムイオン電池の搭載は、極氪007が初めてとなる。

  2. LFPでもハイエンドを十分カバーできるでしょう。

  3. 体積利用率は「トップレベル」 リン酸鉄系リチウムイオン電池は、正極材にコバルトやニッケルなどの高価な金属を使わないため、三元系電池に比べて製造コストが安く、安全性の面でも優れているとされる。だが、(従来のリン酸鉄系電池は)単位質量・容積当たりのエネルギー密度では三元系電池にやや劣り、充電スピードも及ばなかった。そんななか、極氪は金磚電池の電極と電解液の組成を改良し、三元系電池に迫る充電速度を実現した。

  4. まともにつくればLFPのほうがむしろ充電スピードは速いはずなんだが、たぶん導電性付与に不適切な部分が有ったんでしょう。

  5. さらに、金磚電池は電池パックの内部構造を見直し、超薄型の断熱材や液冷式の一体型冷却パネルなどを採用してコンパクト化を図った。極氪の副総裁(副社長に相当)を務める謝世浜氏によれば、金磚電池の体積利用率(訳注:電池パックの体積に占める電池セルの割合)は83.7%に上り、世界のトップレベルだという。中国の電池メーカーは過去数年、リン酸鉄系リチウムイオン電池の改良を競い合い、大きな成果を上げてきた。電池セル単体のエネルギー密度は三元系電池に及ばずとも、電池パックに組み上げた状態では、EVユーザーが求める必要十分な航続距離を確保できるようになっている。

  6. ここはホントに中国メーカーよく頑張りました。

  7. そんななか、中国のEVユーザーの関心は(航続距離の長さから)充電速度に移りつつある。中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)も、超急速充電に対応したリン酸鉄系リチウムイオン電池の「神行超充電池」を2023年8月に発表した。

  8. CATLも三元系に力を入れていたのでひょっとして元々はLFPが不得意だったのかもしれないんだが・・・まともにつくればLFPのほうがむしろ充電スピードは速いはずなんですよ。

  9. CATLとの協力関係は継続 極氪の安聡慧CEO(最高経営責任者)の説明によれば、金磚電池の工場は第1期プロジェクトの年間生産能力が24GWh(ギガワット時)。同社は生産した電池を自社製EVに搭載するだけでなく、吉利汽車のグループ企業を中心とする社外への販売も検討している。注目されるのは、安CEOが今後の電池の研究開発について「わが社はリン酸鉄系リチウムイオン電池にフォーカスし、三元系電池の研究開発や生産は手がけない」と明言したことだ。この発言は、極氪と(電池サプライヤーの)CATLの関係に配慮したものと受け止められている。同社の既存車種が搭載する三元系電池は、全量をCATLが供給してきたからだ。「CATLは非常に重要な戦略パートナーだ。わが社は今後も(三元系の)電池を供給してもらう」。安CEOはそう強調した。(財新記者:安麗敏)


リチウムイオン電池用電極材料 (sigmaaldrich.com)

  1. 2012年の記事ですわ。

  2. 1997年に、正極材料としてオリビン型LiFePO4が初めて報告されました26。この斜方晶構造にはFeO6八面体とPO4四面体が含まれ、互いにネットワーク化して1Dチャネルを形成することによってリチウムはb軸に沿って拡散します(図3)。理論的な比容量は約170 mAh/gであり、放電特性は3.45 V付近で平坦な曲線になっていますが(図2)、これは二相共存反応(LiFePO4 ↔ FePO4 + e- + Li+)の特徴です。当初報告された電気化学的電池での低い利用率およびレート容量27,28は、電子伝導性と輸送特性が低いことが原因でした。粒子のナノ構造化と炭素コーティングによって性能が大きく改善され、現在では、LiFePO4は入手可能な最も優れた電極材料の1つであると考えられています29。なお、電気化学的に不活性な炭素を添加することによって実質的なエネルギー密度が低下するため、粒子へのコーティング量を最小限に抑えるように注意する必要があります30,31。同様に、ナノ粒子状粉体の充填は難しい場合が多いので、電極にバインダーや導電助剤の添加が必要となり、実質的なエネルギー密度がさらに低下します。ナノサイズの一次粒子がより大きな多孔性の二次粒子に組織化された階層構造化によって、このエネルギー密度低下を幾分防ぐことができます。図4に、優れた電気化学的性能をもつ階層構造複合物LiFePO4/Cの例を示します32。LiFePO4/C電極はエネルギー密度が比較的低いにもかかわらず、安全性に優れているため自動車用電極として注目されています。充電状態の物質であるFePO4は、高温時に酸素を発生せず、むしろ電気化学的に不活性な同じ組成の石英型構造に転移します33。また、動作電圧が低いため、電解液との反応性や関連する安全性の問題が、これまで紹介した高い電圧で動作する酸化物電極ほど懸念されません。

  3. 2014年に俺が「LFP捨てんな!」言うたときに、中国は「マテリアル劣化はあんまりないけど電極が緩むんだよ・・・」言うとったから(これ、2015年に公式にも言うてんのよ、中国。)、「日本は凝集粒子うまいことつくっとるわ!」って教えたのね・・・。で、頼まれる論文審査ではLFP/Cの案件が増えたわけ、2015年は。

  • 俺自身は電池の論文なんて一つしか出していないんだけどね。しかも、カザフスタンで「メンドクサ。アホクサ。」って思いながらやったリチウム硫黄電池だけ。

  • でも審査を頼まれた論文って①LFP/Cと②水系リチウムorナトリウムイオン電池がほとんどなのよ(笑)。

  • いろんな関わり方が有るってこと。

  • いろんなケンカの仕方も有るってこと(笑)。

  • エレクトロニクスやってた時より殺傷能力上がってると思うわ・・・。

  • ところで、水系電解液では、2015年にリチウムイオン電池で始まったが、濃厚電解液の効果が東京大学の山田から報告されたのも実にタイムリーだった。九州大学はナトリウムイオン電池で水系濃厚電解液を報告した。山田もそっちにシフトした。電解質が大量に要るので却ってコストが上がるということで今はまだ実用化に至っていないが、リチウム資源を定置型に回す余裕が無いほどBEVが増えてくればナトリウムイオンをやるだろうし、定置型ならたぶん水系でやるだろう。

[11] 日系自動車3社、前年割れ=中国販売、EV普及で苦境―23年 (msn.com)

  1. 【北京時事】日系自動車大手3社の2023年の中国新車販売台数が9日、出そろった。電気自動車(EV)の普及が進む中、ガソリン車を強みとしてきた日本勢は2年連続で全社が前年割れ。各社は苦境からの挽回へEVの投入を急ぐ。 トヨタ自動車は前年比1.7%減の約191万台と、わずかに前年実績を下回った。一方で、ホンダは10.1%減の約123万台、日産自動車は16.1%減の約79万台といずれも2桁マイナスだった。

  2. Pure ICVは落ちてもいいの。大事なのはHEV:Electrochemical Impedance Analysis for Li-ion Batteries (2018). トヨタはたいしてシェアを落として無いだろ。しかもHEVは実際にはもっと欲しいと言われている。

  3. BEVでは中国にかなわんだろう。日系メーカーがまともにやりあったら赤字になる。中国でもほとんどは倒産してんだから。残った強者は大丈夫でしょうけど。

  4. 重要なのは原油消費量をグローバルに削減すること。日本では原油が支出No.1だし、中国では半導体に抜かれたが原油も支出No.2だ。

[12] 自動車アナリスト「中国の生産能力は世界の需要の75%を満たす。西側のメーカーは夜も眠れなくなる」 (msn.com)

  1. 中国メディアの観察者網は6日、「中国の電気自動車(EV)産業は近年、目覚ましい活力と革新を見せており、外国の一部の同業者に未曾有の圧迫感を覚えさせている」とする記事を掲載。英フィナンシャル・タイムズの6日付報道を引用し、「中国のEVメーカーは世界のEV需要の75%を供給するのに十分な生産能力を確保している。これにより、西側の自動車メーカーは夜も眠れなくなるはずだ」とする自動車コンサルティング会社ダン・インサイツの最高経営責任者(CEO)、マイケル・ダン氏のコメントを紹介した。

  2. 世界のBEV新車販売シェアはやっと10%を超えたとこだ。狼狽えすぎだろ、マイケル・ダン。

  3. これから中国が世界の原油消費量削減に本格的に貢献することになるんだから、喜べ、マイケル・ダン。

  4. 記事によると、フィナンシャル・タイムズは「中国のEVの優位性は西側諸国に課題を突きつけている」と題した記事で、「価格は低廉だが高品質な中国のEVが海外市場に参入する中、米国と欧州の政府はEVの消費促進と国内自動車メーカーの保護の間でジレンマに陥っている。中国の自動車メーカーには十分な生産能力があるだけでなく、電池分野での高い技術力もある。米国や欧州は補助金や関税政策を通じて中国車の競争力を弱めようとしているが、専門家は、関税障壁を設けても欧米メーカーが中国製品に対して価格優位性を確立することは難しいと警告を発している」と報じた。

  5. その通りだね。しかもお前らが熱狂していた三元系ではない。

  6. もっとも、こうなる前から日本はLFPを車載用に使うための技術を持ってるけどね。

  7. フィナンシャル・タイムズによると、ダン氏は、価格で中国EV大手の比亜迪(BYD)に匹敵するメーカーはないとし、「時代は変わった。米国、欧州、韓国、そして日本の(自動車メーカーの)取締役会はショック状態にある」と指摘する。クライスラーの元北東アジア部門責任者でオートモビリティの創始者であるビル・ルッソ氏は「現在輸出されている中国車の4分の3はガソリンまたはディーゼルエンジンを搭載している。しかし、手頃な価格の中国製EVの台頭が、世界中の自動車メーカーを不安にさせ、保護主義政府に貿易制限の検討を促している」と指摘する。(翻訳・編集/柳川)

  8. 日本はそうでもないって。

[13] 車載電池の2024年展望、米中欧の分断に全固体“前夜”が重なる | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com) 久米 秀尚

  1. 全固体電池はゲームチェンジャーか――。この議論を進めるためにも、まずは「ゲーム」に参戦し続ける必要がある。電気自動車(EV)向け車載電池の話だ。電池メーカーや自動車メーカーにとって、電池生産量を拡大していくことがゲーム継続の条件となる。 そして、事業の成長を左右する直近の課題と向き合うことが、2024年における車載電池業界の大きなテーマになる。具体的には、米中対立や欧州の保護主義によって高まる「分断リスク」への対応だ。地政学的な問題を解決しつつ、実用化が迫る全固体電池への仕込みを進める1年になりそうだ。

  2. 中国政府は2023年12月1日、黒鉛(グラファイト)の輸出規制を開始した。黒鉛はEV用電池の負極材に使われる材料で、調達が滞ればEV生産に大きな影響が出る。中国は世界有数の黒鉛生産国で、2022年の世界生産量のうち65%を中国産が占めた。 「色々な材料でリスクがある。多方面でリスクヘッジを考えながら材料調達を進めていきたい」。SUBARU(スバル)社長の大崎篤氏がこう話すように、黒鉛以外にも中国はEV向け電池材料の供給で要所を押さえている。米エネルギー省(DOE)によると、世界のリチウム(Li)の60%、コバルト(Co)の80%を中国が生産する。 ドイツBMWの試算では、EVの車両コストの40%を電池パックが占める。低コストの電池材料を確保して安定的に生産を続けることが、EVの競争力に直結する。中国は電池サプライチェーン(供給網)の川上に制限をかけることで、対立を深める米国をはじめとする他地域にプレッシャーをかける。

  3. 欧州でもくすぶる地政学的な問題 地域分断の流れが加速する中で、米国ではインフレ抑制法(IRA)への対応が急務となっている。EV電池に使う重要鉱物の一定割合を、米国かオーストラリアなど自由貿易協定(FTA)を結ぶ国から調達することを税優遇の要件としたためだ。 例えばトヨタ自動車は、同社にとって米国初となる電池工場を米ノースカロライナ州で建設中だ。2025年の生産開始に向けて、約139億ドル(1ドル=142円換算で約2兆円)を投じる。 北米市場に注力するパナソニックエナジー(大阪府守口市)は、北米地域内での材料調達を強化する。カナダNouveau Monde Graphite(NMG)と黒鉛の長期供給契約を結び、シリコン(Si)負極材の調達について米Sila Nanotechnologies(シラ・ナノテクノロジーズ)と売買契約を締結した。 欧州でも、地政学的な問題がくすぶる。域内の産業を守りたい姿勢が鮮明になってきた。欧州連合(EU)は2023年9月、良好に見られた中国との関係性を一変させた。欧州委員会委員長のUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォンデアライエン)氏は会見を開き、「世界市場には安い中国製EVがあふれている。その価格は中国政府による巨額の補助金で人為的に低く抑えられている。これは我々の市場をゆがめている」と主張した。同年10月には、中国製EVへの補助金支援の実態調査を正式に開始した。 補助金政策で中国をけん制するだけでなく、同年8月に発効した電池規則「Regulation(EU)2023/1542」でも守りを固める。電池の性能や材料、二酸化炭素(CO2)排出量など製造過程の情報を記録する「電池パスポート」の導入や、ライフサイクル全体のCO2排出量であるカーボンフットプリント(CFP)の算出、廃電池の再資源化、リサイクル材の採用などに対応する必要がある。 車載電池の再資源化やリサイクルは「技術的な難易度が高く、欧州は産業障壁として今回の規制を設定した」(ある電池メーカーの幹部)との側面がある。リサイクル材の採用が求められるのは2031年以降だが、「技術の確立やプラントの建設など考えると時間はない」(同幹部)という。

  4. あとは会員用ページだから参照は控えるが、①硫化物全固体電池だけが性能向上につながる全固体電池だ;②トヨタはもちろんのこと、ニッサンがやるのも硫化物全固体電池だ;③クアンタムスケープはポリマーだが、たぶん性能が出なくてゲルにするのではないかと思う。つまり全固体ではないし、性能向上にもつながらない -- VWは仰向けにコケる可能性大と思う;④硫化物全固体電池も将来的にはコストダウンは可能かもしれないが、すぐには無理だ -- したがって、当面は中国の黒鉛/電解液/LFPが市場を引っ張る。活物質も電解液を使う従来型とそう大きくは変えられない。負極に関しては俺はハードカーボンのほうが好ましいと何度も書いているが、コストが上がるので今まで回避されてきたものの、中国の輸出規制で再検討されるかもしれない。

[14] ダイヤモンド半導体パワー回路 世界初の開発に成功 佐賀大 | Science Portal - 科学技術の最新情報サイト「サイエンスポータル」 (jst.go.jp) 2023.06.09

  1. ダイヤモンドを使った半導体パワー回路の開発に、佐賀大学理工学部の嘉数(かすう)誠教授(半導体工学)のグループが世界で初めて成功した。これまで難しいとされてきた高速スイッチングや長時間の動作が可能なことを実証。パワー回路が実用化できれば、次世代通信規格「6G」や量子コンピューターなど最新技術への応用も期待できるという。 ダイヤモンドはシリコンなど従来、半導体に用いられてきた物質よりも高電圧に耐えられ、高速かつ高い周波数で動作でき、宇宙など放射線量が高い場所でも使える。次世代のパワー半導体としてダイヤモンド半導体の開発が盛んになっている。 ただ、炭素でできたダイヤモンドを半導体にするため、「ドーピング」と呼ばれる不純物を添加する技術と、「パッシベーション」という保護膜を張る技術が難しい。海外勢の多くが失敗する中、嘉数教授のグループはダイヤモンドに二酸化窒素を添加する技術を確立し、真空を使う独自のALD(原子層堆積)装置で酸化アルミニウムの薄い膜を張る方法も発見。安定的にダイヤモンド半導体デバイスを作ることに成功し、2022年には世界最高の出力電力(875MW/cm2)、出力電圧(3659V)を報告した。

  2. ダイヤモンド半導体についてはパワー回路として動作させた場合、素子の劣化が早く、長時間の動作は困難との指摘があった。嘉数教授のグループは実用化を考えたパワー回路の作製に着手した。ダイヤモンドが電極の金属と付着力が弱いという性質のため、配置には困難を極めたが、ダイヤモンド半導体デバイスの電極と外部のプリント基板との間を金線ワイヤーの張力をコントロールして結線する方法を開発し、実用回路として動作させることに成功したという。これにより実用に必要なスイッチング特性や寿命を測定できるようになった。

  3. スイッチングは半導体が電子やホールが流れることで電流を流したり(ターンオン)、電圧がかかった状態のまま遮ったり(ターンオフ)する動作のこと。スイッチング特性を高めるには電子やホールを流し始める時間と、流れている電子やホールを半導体内部から引き抜くための時間をいかに短くするかにかかっている。スイッチング特性を測定したところ、10ナノ秒(ナノ秒は10億分の1秒)、100メガヘルツと、これまでのパワー半導体より速いことが分かった。これはダイヤモンドの静電容量が小さいという性質に由来すると考えている。ダイヤモンドパワー回路のエネルギー損失が低く、効率が高いことを表しているという。

  4. さらに、ダイヤモンドパワー回路を動かしてみたところ、190時間を超える連続動作でも劣化しないことが分かった。190時間でも劣化は見られないため、さらなる長時間動作は可能だと考えており、どこまで動かせるか挑戦していく考えだ。

  5. ダイヤモンド半導体パワー回路のスイッチングや長時間動作の特性が実証されたことで実用化に向けた研究開発が進む見込み。佐賀大学はダイヤモンド半導体デバイスで世界最高の出力電力、出力電圧を達成した成果などにより、半導体の業界紙・電子デバイス産業新聞が選ぶ「半導体・オブ・ザ・イヤー2023」に選ばれた。嘉数教授は5月31日に都内で行われた授賞式で「産学連携で、なるべく早く実用化の軌道に乗せたい」と話した。嘉数教授によると、宇宙や次世代通信、電気自動車、高放射線量の環境下など使える場所が多いゆえに、どの分野で製品化すれば一番良いのかまだ決められていないという。

  6. 今回の一連の研究は特許を申請している。研究は日本学術振興会の科学研究費助成事業を受けて行われ、2本の論文が米国の電気電子学会の「エレクトロン デバイス レターズ」5月号と6月号に掲載された。成果は4月17日と5月25日に佐賀大学が公表した。

  7. ウエハがまだ2インチではあるがね。8インチを目指しているところだ。サファイア基板上へのヘテロエピなのでそう遠くない将来にできるでしょう。

  8. ダイヤモンドだから高いと思ってはいけない。ただのカーボンだ(笑)。原料はメタンだ。

まあ、こいつは横型なんで高周波用ってとこだが。

2インチ超えダイヤモンドウエハー製造にアダマンド並木が成功  | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com) 2021.09.10

  1. アダマンド並木精密宝石(東京・足立)は2021年9月9日、世界最大となる直径2インチ以上(55mm)のダイヤモンドウエハーの製造に成功したと発表した。同社の従来技術では直径1インチ(約25mm)サイズが上限だったが、階段状のサファイア基板にダイヤモンドを成長させる「ステップフロー成長」を適用したことによって大口径化を可能にした。同社によると、パワー半導体の研究開発を効率的に行うには少なくとも2インチ(約51mm)の基板が必要であるという。今回それを達成したことによって、「ダイヤモンド半導体」の企業研究に拍車がかかる可能性がある。

  2. 今回採用したステップフロー成長法は、GaN(窒化ガリウム)などで用いてきた技術であり、階段上の基板に目的物質を成長させるというものだ。今回は7度に傾斜したサファイア基板に、イリジウム(Ir)のバッファーを挟んでセ氏1000度の成長温度でダイヤモンドを育成した。同社によれば、ダイヤモンドのヘテロエピタキシャル成長にステップフロー成長を適用するのは世界初となる。 これまでダイヤモンドウエハーの大型化を阻んでいたのは、ダイヤモンド層の剥離時の破断であった。この成長法では、基板が階段状であるために冷却時の応力が基板の水平方向に働く。したがって、力を加えなくてもIr層とサファイア層を自然に剥離できる。そのために、55mm径という従来より大きなウエハーでも破断なく作製できるようになった。工程がシンプルになりコストの低減も見込めるという。今後、最大8インチ(約203mm)まで大型にしていく。さらに、この方法でつくった結晶のX線回折のスペクトル測定を実施したところ、この成長法が結晶品質の向上をもたらすことも確認した。

  3. 佐賀大学 理工学部 教授の嘉数誠氏は、このダイヤモンドウエハーでダイヤモンド半導体と呼ばれるパワー半導体デバイスを作製した。従来技術によるダイヤモンドウエハーを使ったパワー半導体では出力電力が179MW/cm2だったが、今回はその約2倍で世界最高となる345MW/cm2の出力電力を記録した。嘉数氏によれば、ウエハーの高純度化とデバイス技術の改善が性能向上の要因であるという。ダイヤモンド半導体は、出力や放熱性で優れたパワー半導体物性を持ち、6G基地局や宇宙での使用に適合性がある。嘉数氏は、「5年以内に、まずはニッチな分野からダイヤモンド半導体を実用化していきたい」という。

ステップフロー成長法の概要

究極のパワーデバイス「ダイヤモンド」、早ければ2030年に普及開始も | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com) 2022.12.15

ところで、今話題のGa2O3だが、電子移動度の低さ(飽和電子速度も低い)・熱伝導率の低さから俺はあまり推していない -- パワーデバイスの小型化には高周波化が極めて重要だからだ。 加えてp型ができない。p型ができないからSBDでまずは車載用を狙うとしているが、SiCに比べてどれほど安くできるかだけが決め手なんでしょうね。
  1. パワーデバイスとして高い潜在能力を持ちながら、長い間日の目を見なかったダイヤモンドに、ついに開花の兆しが見えてきた。ダイヤモンドベースのパワーデバイスの社会実装を目指すベンチャー企業が日本で立ち上がったのだ。大口径基板の開発やデバイス性能の向上によって、宇宙・軍事用途、ひいては車載や電動航空機などの民生用途で期待が高まっている。

  2. 2インチ基板が登場 パワーデバイス材料としてのダイヤモンドは、バンドギャップ、キャリア移動度、熱伝導率などの重要指標が軒並み高い。そのため、ダイヤモンドは「究極のパワーデバイス」と称されてきた(表1)。

  3. 卓越した物性を誇る半面、技術の成熟度は炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)のはるか手前で停滞していた(図1)。基板の高品質化や大口径化が困難、硬いために研磨も困難、ドーピング技術が十分に成熟していない、高コストなど、挙げればきりがないほど課題山積だったためだ。

  4. ところが、近年技術的ブレークスルーが相次いでおり、停滞気味だったムードは一変しつつある。ダイヤモンドパワーデバイスの研究開発を進める佐賀大学 理工学部 教授の嘉数誠氏は、「パワー半導体関係のメーカーをはじめとした各所から毎日問い合わせが来ている。まだ様子見のフェーズのようだが、スイッチング性能や信頼性が気になっているようだ」と、産業界から期待が寄せられていることを明かす。 技術革新の一例が、アダマンド並木精密宝石(東京・足立)の大型基板である。同社は2021年9月、直径2インチ以上(55mm)のダイヤモンド基板の量産技術を開発したと発表した注1)(図2)。大型基板の登場によりダイヤモンドパワーデバイスの企業研究に拍車がかかるとしている。

  5. 同社の量産技術は、階段状に約7°傾斜したサファイア下地基板にイリジウムのバッファーを挟んでダイヤモンドをヘテロエピ成長させる「ステップフロー成長」と呼ばれるもの。大型化するとサファイア下地基板との剥離が難しくなるが、ステップフロー成長は傾斜方向に合わせた横方向(基板の水平方向)に成長するので、冷却時の応力も横方向に働く。それによりイリジウム層とサファイア層が自然と剥離できるようになった。原理的に8インチの基板にも適用できるという。

  6. 注1)同社が2インチ基板を開発する以前の2016年ごろにドイツAugsburg Diamond Technologyが92mm(約3.6インチ)基板の開発に成功している。ただこちらは「品質や再現性に疑問が残る」(ダイヤモンドパワーデバイス関連の技術者)といい、量産技術の確立までは至っていないようだ。

  7. このほかに300 mmも報告されているが、たぶん放熱用には使えるだろう(笑)。どことは言わん、気の毒すぎて・・・。

  8. 世界最高出力を更新 アダマンド並木精密宝石のウエハーを使ってダイヤモンドパワーデバイスの研究開発を進める、嘉数氏と佐賀大学 理工学部 教授の大石敏之氏と同社の研究グループは、ダイヤモンドパワーデバイスとして世界最高出力となる875MW/cm2、電圧2568Vの動作を実現したと2022年春に発表した(図3)。デバイス構造は二酸化窒素(NO2)をp型ドーピングした横型MOSFETである。

  9. 高性能化の要因は、ダイヤモンド表面に平坦(へいたん)化技術「CMP(Chemical Mechanical Planarization、化学機械研磨)」を適用した点。一般に、ダイヤモンドパワーデバイスを作製する際には、あらかじめダイヤモンド砥粒(とりゅう)によって表面を研磨する。こうした機械的研磨は表面を平らにできるが、より深い位置では砥粒の押し付けによるダメージが生じてしまい、抵抗の増加を招くという課題を抱えていた。 研究グループはこうしたダメージを取り除くべく、機械的研磨後にさらにCMP研磨を施した。CMP研磨の詳細はアダマンド並木精密宝石のノウハウのため明らかでないが、「ダイヤモンド特有のエッチング技術」(嘉数氏)を使ったという。これによって抵抗の因子となるダメージがなくなり、デバイス性能を飛躍的に高められた。 GaNパワーデバイスでは、出力2093 MW/cm2とより高い例もある。それについて嘉数氏は、「ダイヤモンドだと大学の研究室がごくシンプルな構造でつくっても、高性能になることが魅力」と語る。つまり物性のポテンシャルが極めて高いので、GaNをも上回る伸びしろがあるということだ。ただCMP研磨には200時間かかるなど、コストや時間に課題が残るのも事実だ。

  10. 硬いから。

  11. たぶん少しずつCO2にして飛ばしながら研磨するんだろう。少しずつやらんと研磨にならんから時間がかかるんだろう。

  12. Damage-free highly efficient plasma-assisted polishing of a 20-mm square large mosaic single crystal diamond substrate | Scientific Reports (nature.com)によると"Various polishing methods that combine mechanical, chemical, and thermal actions have been proposed for highly efficient and damage-free polishing of diamond substrates. Ultraviolet (UV)-irradiated polishing was proposed and applied to a 3 mm × 3 mm × 1 mm CVD diamond. The material removal rate (MRR) of the SCD (Single Crystal Diamond) (100) substrate was promoted by the photoexcitation effect of UV irradiation. As a result, an MRR of 0.5 μm/h, 1.7 times as high as that without UV irradiation, was achieved5. Kubota et al. demonstrated a polishing technique using a chemical reaction with an H2O2 solution. The diamond substrates used as samples were fabricated by high-pressure high-temperature (HPHT) method, and the size was 3 mm × 3 mm × 1.5 mm. The hydroxyl radicals generated by the decomposition of H2O2 were considered to be a factor that improved the MRR of the SCD substrate. An MRR of 216.7 nm/h, 3 times as high as that without feeding of H2O2 solution, was obtained6. Dynamic friction polishing (DFP) using a metal disk was proposed and applied to polish an φ12.7 mm × 4 mm polycrystalline diamond (PCD) specimen. In this method, it is assumed that the non-diamond component, which is converted by the reaction between the diamond surface and the catalytic metal at high temperature caused by friction, is mechanically or chemically removed. A large amount of non-diamond components is detected by Raman spectroscopy on the surface of diamond polished by DFP. Furthermore, the high polishing pressure and high sliding speed tend to cause the diamond substrate to crack7. Plasma-assisted polishing (PAP) was proposed by our research group as a novel technique for efficiently polishing diamond without introducing any damage. When an SCD (100) substrate with an area of 93 mm2 was polished by PAP using an argon plasma containing water vapor and a polishing plate made of quartz glass, a polishing rate of 2.1 μm/h was obtained. When the SCD substrate was polished by PAP using a sapphire polishing plate, a surface roughness of 0.13 nm Sq was obtained. Furthermore, micro-Raman spectroscopy showed that the crystallinity of the SCD surface before and after PAP did not change; therefore, polishing of diamond by PAP was found to be damage-free8. In the present study, we describe the PAP polishing characteristics of 20-mm square mosaic SCD substrate made by the clone method."とある。


ホモエピ(全面ツルツル)も一応ある:産総研、大面積ダイヤモンドウエハー実現可能に:マイクロ波プラズマCVD法で - EE Times Japan (itmedia.co.jp) 2019年03月26日

左はガスから作製した1cm3級単結晶ダイヤモンド、右は市販中の高温高圧法を用いて作製した単結晶ダイヤモンド基板 出典:産業技術総合研究所
マイクロ波プラズマCVD法の概要 出典:産業技術総合研究所
ラマンスペクトルの半値幅と成長膜厚の依存性を示す図 出典:産業技術総合研究所


  1. まあ、特殊な高性能品向けにはなるだろうが。

  2. 産業技術総合研究所(産総研)は2019年3月、マイクロ波プラズマCVD法を用い、クラックがない体積1cm3級の単結晶ダイヤモンドの作製に成功したと発表した。この製造方法はガスを原料としており、インチ級サイズの単結晶半導体ウエハー作製も可能とみている。 次世代パワー半導体の性能向上や省電力を可能にする新材料として、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)、Ga2O3(酸化ガリウム)、ダイヤモンドなどが注目されている。 特に、ダイヤモンドは耐圧や熱伝導率などに優れているため、実用化が期待されている材料の1つである。しかし、これまで製造に用いてきた高温高圧法だと、コストや技術の点で大面積ウエハーの作製は極めて困難だといわれてきた。厚膜にするため結晶成長を繰り返し行う必要があり、これがひずみや結晶性の劣化につながり、クラックを引き起こす要因となっていた。

  3. 産総研は今回、ガスを原料とするマイクロ波プラズマCVD法を用いて、ダイヤモンド合成に取り組んだ。「マイクロ波のパルス化や結晶保持構造の最適化による試料周辺の熱平衡性の向上」「試料位置の精密制御による長時間成長中のプラズマ/試料表面間距離の維持」そして、「原料ガスへの微量酸素添加による結晶ホルダーや試料周辺における異常成長の抑制」などを行った。これにより、一度の合成で厚み2~5mmまで、クラックを発生させずに結晶を連続的に成長させることが可能となった。

  4. 開発した作製方法を用いると、結晶成長のための作業回数を減らし、厚膜化によるひずみや結晶性劣化を抑えることができるため、品質の高いダイヤモンド結晶をミリ単位で作製することが可能となる。試作したダイヤモンド結晶の品質を示すラマンスペクトルの半値幅(ピーク強度の半分の強度となる波数幅)と成長膜厚の依存性についても調べたところ、従来品に比べて開発品は高い品質であることが分かった。

  5. 産総研は今後、インチ級の大面積単結晶半導体ウエハー作製に取り組む。また、大面積のダイヤモンドウエハーを用いたパワーデバイス研究開発も継続して行う予定だ。

[15] コイツが縦型:早稲田大学がダイヤモンド半導体で先行、輝く省エネ性能 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com) 2023.01.31

  1. 優れた物性から「究極のパワー半導体」と目されるダイヤモンド半導体の開発が加速している。早稲田大学発のスタートアップであるPower Diamond Systems(PDS、東京・新宿)は2025年ごろに試作デバイスを作製し、性能評価を始める予定だ。電力制御システムの小型化や高効率化が期待でき、自動車や鉄道、送電施設などで利用が見込まれる。開発競争が世界で熱を帯びるなか、デバイスのいち早い実用化を目指す。 ダイヤモンド半導体は、現在普及が進む炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)に続く次世代パワー半導体として注目されている。高周波性能や高い放熱性、高電圧への耐久性など、パワー半導体として優れた特性を持つ。インバーターなど電力システムの小型化や電力損失の低減が可能になる。将来、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの送電システム、通信インフラや量子コンピューターなどへの採用が期待されている。 PDSは、パワー半導体や高周波・高出力デバイス、それらを使ったインバーターなどの研究開発を手掛けるファブレス企業だ。早稲田大学教授でPDS取締役最高科学責任者(CSO)の川原田洋氏が開発した縦型ダイヤモンドトランジスタの作製技術などを基に試作デバイスを作製し、2025年ごろにも性能評価に取りかかる。パワー半導体として普及するのは2030年代以降になる見込みだ。


早大の開発技術を事業化、「ダイヤモンド半導体」の効果|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 (newswitch.jp) 2022年11月04日

  1. パワーダイヤモンドシステムズ(東京都新宿区、藤嶌辰也社長)は、ダイヤモンドパワー半導体を事業化する。ダイヤモンドと窒化ガリウム(GaN)などを組み合わせると電源回路を大幅に小型化できる。既存のパワー半導体を補完し、設計の幅を広げる。2025年に1アンペア、600ボルト、1メガヘルツ(メガは100万)の試作品を作り、直流を交流に変換するインバーター回路を実用化していく。

  2. 早稲田大学の川原田洋教授らが開発した技術を事業化する。事業化に当たり早稲田大学ベンチャーズ(WUV、同新宿区)から1億円を調達した。開発環境は早大のクリーンルームを利用する。大学の半導体開発設備を使い、ファブレスで運営する。実用化できれば、産業機器や通信機器の省エネ化などに大きく貢献する見通しだ。WUVは3年間の集中投資で量産を検討できる段階まで技術力を引き上げ、出口戦略としてM&A(合併・買収)を目指す。

  3. ダイヤモンド半導体はp型と呼ばれるホール(正孔)が流れるトランジスタを作れる。炭化ケイ素(SiC)やGaNは電子が流れるn型しか作れない。片方のトランジスタで構成する回路では、短絡を防ぐためにオンオフを切り替える猶予時間が必要だった。p型とn型を組み合わせると短絡しないため、猶予時間を削減でき、高周波動作が可能になる。n型のみでは数百ボルトで10キロヘルツが限界だったが、両型では1メガヘルツと100倍高速化する。交流電流の波形が精緻になりフィルター回路を小型化できる。

  4. 早大の独自技術として縦型のp型トランジスタを実現した。縦型構造は電流密度を高められ、大電流化の必須技術。ダイヤモンドの炭素をケイ素とつなげて絶縁層を形成した。パワー半導体は既存の半導体製造装置を活用しコスト競争力を高めてきた。ケイ素接続で従来のシリコン半導体の技術基盤を利用しやすくなる。

[16] パワー半導体への採用加速…6インチ酸化ガリウム単結晶、ノベルクリスタルテクノが作製成功(ニュースイッチ) - Yahoo!ニュース 2024/1/9(火)

  1. ノベルクリスタルテクノロジー(埼玉県狭山市、倉又朗人社長)は、パワー半導体の基板となる150ミリメートル口径(6インチ)β型酸化ガリウム(β―Ga2O3)単結晶の作製に成功した。基板の大口径化や高品質化の実現に貢献し、パワー半導体へのβ―Ga2O3の採用を加速させる。単結晶は、るつぼと同じ形の結晶が得られる垂直ブリッジマン(VB)法で作製。従来の方法であるEFG法よりも基板に加工する際に不要となる部分を減らせ、低コスト化につながる見通しだ。

  2. β―Ga2O3を用いたパワー半導体を広く普及させるには、基板の大口径化が不可欠で、単結晶の大型化も必要だった。VB法によるβ―Ga2O3単結晶育成技術は信州大学が発案し、開発を進めている。ノベルクリスタルテクノロジーは信州大から育成技術を継承し、6インチの単結晶の作製に成功した。

  3. 同社は板状の結晶を育成できるEFG法で単結晶を作る技術を開発済み。産業技術総合研究所においてEFG法とVB法でそれぞれ単結晶から取得した基板を比べたところ、VB法で作った結晶はEFG法よりも欠陥が少なく、品質が優れていた。

  4. ノベルクリスタルテクノロジーによるとVB法による6インチのβ―Ga2O3単結晶の作製は世界で初めてだという。炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)が次世代のパワー半導体の材料として注目されている中、β―Ga2O3はSiCやGaNと比べ、高性能なパワー半導体を製造できる可能性がある。

  5. β―Ga2O3を用いたパワー半導体は省エネ性能にも優れると考えられており、太陽光発電向けパワーコンディショナーや産業用汎用インバーター、電源といった機器の小型化にも貢献できる。電気自動車(EV)などの電気エネルギーも効率よく利用できる見込み。

  6. SBD一本ではどうでしょうか?

  7. まあ、α型より素性は良いように思うが・・・。

[17] Ga₂O₃パワー半導体、FLOSFIAが年内量産 中国EVも関心 - 日経モビリティ (nikkei.com) 2024年1月4日

  1. 京大発スタートアップのFLOSFIA(フロスフィア、京都市)は2024年内にも酸化ガリウム(Ga₂O₃)を使ったパワー半導体の本格量産を始める。酸化ガリウムは次世代とされる炭化ケイ素(SiC)のさらに次の「第3世代」と呼ばれ、現在主流のシリコン製品と比べて電力変換損失を3400分の1に減らす可能性を秘める。電気自動車(EV)の航続距離を伸ばせることから中国EVメーカーも同社に関心を示し始めた。...

  2. こいつも一応SBDで一発狙っているが・・・。

[18] 10年で70万赤字?2022年の蓄電池メリットとデメリット | ピッタリ住設 (pi-ta.com)

  1. FIT終了で注目が集まる家庭用蓄電池。でも5.6kWhの蓄電池を130万円で導入すると、単純シュミレーションでは10年で約70万円の赤字ってご存知ですか?そんな赤字になる蓄電池を導入するワケとは?シュミレーションも交えて蓄電池のメリット・デメリットを解説!

  2. かなり赤字幅は縮小されたね。

  3. 蓄電池を導入するデメリット・・・現時点では経済メリットでペイするためには10年以上かかる: 家庭用蓄電池を導入することで電気代の節約は可能ですが、現時点では正直、経済的に単純に太陽光のように10年程度で元を取れるか?という質問に対しては「NO」のケースの方が多いです。その細かい理由は後ほど述べるとしても、主流となっている定置型の蓄電池のほとんどが100万円以上の導入コストがかかるため、蓄電池のみでは電気代の節約額だけで初期費用を回収できる見込みは低いです。

  4. 不定期に電力を垂れ流されては停電を引き起こしかねないので蓄電池は必ず設置してください。

  5. 蓄電池は「電気の保険」と考えてみよう: ただし、現時点で住宅用の定置型蓄電池を導入する理由としては、単純に元が取れないから止めておこう、ではなく「突然の災害や停電に備える保険」と「多少の節約」という意味合いが大きくなります。また、「元を必ず取らないといけない」というのが太陽光発電での通例になっていますが、元々住宅設備機器は、キッチンやドアにしても「元を取れるから設置する」というものではなく、役割がありそれに価値を感じて購入することが当たり前かと思います。

  6. そもそも、そんなもん。


【FIT制度による買取価格の推移】
甘すぎるから蓄電池の設置が増えん。

北海道電力では「買取プラン」があり、卒FIT後の買取価格を8円としています。
東北電力では「ツナガルでんき」があり、卒FIT後の買取価格を9円としています。
東京電力エナジーパートナーでは「再エネ買取標準プラン」があり、卒FIT後の買取価格を8.5円としています。
北陸電力では「かんたん固定単価プラン」があり、卒FIT後の買取価格を8円としています。
中部電力ミライズでは「新たなデンキ買い取りサービス」があり、卒FIT後の買取価格を8円としています。
関西電力では「太陽光発電の余剰電力買取」があり、卒FIT後の買取価格を8円としています。
中国電力では「ぐっとずっと。グリーンフィット(買取プラン)」があり、卒FIT後の買取価格を7.15円としています。
四国電力では「買取プラン」があり、卒FIT後の買取価格を7円としています。
九州電力では「買取プラン」があり、卒FIT後の買取価格を7円としています。
沖縄電力で継続して売電を継続する場合は、卒FIT後の買取価格は7.7円です。
これでも甘すぎなのだ。
まあ、もう少しいい値段で買いとってくれる業者も有る。

[19] Microsoftがバッテリー内のリチウムの約70%を置き換えられる材料をわずか数日で発見、Azure Quantum Elementsを使ったシミュレーションとAIモデルで実行 (msn.com)

  1. リチウムイオン電池は、現代社会でスマートフォンや電気自動車などに広く使用される一方で、破裂や火災につながる危険性が指摘されています。2024年1月9日にMicrosoftとパシフィック・ノースウエスト国立研究所(PNNL)は共同で、既存のリチウムイオン電池よりも破裂しにくい可能性のある新たな固体電解質を用いたバッテリー材料を発見したことを発表しました。今回の発見には、Microsoftの量子コンピューティングサービス「Azure Quantum Elements」が用いられました。

  2. 記事作成時点で広く使われているリチウムイオン電池は液体電解質であることから、エネルギーの伝導において優れている一方で、破裂して火災を引き起こす可能性があります。また、リチウムイオン電池の需要拡大に伴い、さまざまなメーカーがバッテリー工場を建設していますが、リチウムイオン電池の生産には大量の水やエネルギーが必要なため、環境への悪影響が指摘されています。 さらに、アメリカエネルギー省によると、リチウムイオン電池の需要は2030年までに最大10倍まで高まる可能性があるとのこと。そのため、科学者の間ではリチウムの使用量が少ない次世代のバッテリーの開発が進められています。 2023年にMicrosoftはPNNLの研究チームに対し、高性能計算(HPC)や量子コンピューティング技術、AIを統合したプラットフォームである「Azure Quantum Elements(AQE)」を提供しました。PNNLの研究チームはAQEに対し、「リチウムの使用量が少ない電池の材料はどれか」と尋ねました。すると、AQEはただちに3200万通りもの候補を提案。その後研究チームは提案された候補の中から、安定して使用できる可能性のある約50万個の材料をピックアップしました。 さらに研究チームは、それぞれの材料がエネルギーをどの程度伝導するかの推測や、各材料内で原子や分子がどのように動くかをシミュレートしました。また同時に、コストや入手の容易さを含めて、各候補がどの程度実用的であるかの推測も行いました。研究チームによる選定の結果、最終的に23個までバッテリー材料の候補を絞り込むことに成功。3200万個もの候補の提示から23個への絞り込みにかかった時間はわずか80時間でした。PNNLのスタッフサイエンティスト兼材料科学グループリーダーであるヴィジャイ・ムルゲサン氏は「3200万個もの資料を人間による手作業で調べ上げようとすると、おそらく20年以上を要していました。今回の発見はAIとAQEなしでは成し遂げられませんでした」と述べています。 研究チームは最終的に残った23個の候補の中から、バッテリーとして使用できる可能性の高い候補を1つ合成し、テストを行いました。その際に製造されたバッテリーを用いて、電球や時計に電力を与えることに成功しています。今回製造されたバッテリーには、従来のリチウムに加え、ナトリウムが使用されています。Microsoftによると、今回発見された新素材は、従来のリチウムイオン電池に比べ、リチウム含有量を最大70%削減できるとのこと。また、液体電解質のリチウムイオン電池とは異なり、固体電解質であることから、安全性が向上しているとされています。 一方で、固体電解質のバッテリーは液体電解質のバッテリーに比べてエネルギー伝導性能が劣ることや、今回発見された材料は、研究チームによる当初の予測よりもエネルギー伝導性能が低いことなどから、今後も研究チームによるテストや微調整が行われることになります。そのため、今回発見された材料を用いたバッテリーが市場に登場するのは、まだ先のことです。それでも、Microsoft ResearchのMicrosoft Quantum – Redmond(QuArC)グループのリーダーを務めるクリスタ・スヴォア氏は「AIとAQEを用いることで、これまで250年必要だった化学材料研究をわずか20年に圧縮することが可能です」と述べました。

  3. 現在は電解液よりもイオン伝導度の高い硫化物固体電解質を使った全固体電池をつくろうとしている段階なんですけど・・・。


おまけ

[1] 韓国、犬肉食を禁止へ=国会で特別法案可決 (msn.com)

  1. 【ソウル時事】韓国国会は9日、食用を目的とした犬の飼育や犬肉の流通を禁じる特別法案を可決した。犬を食肉処理した場合、3年以下の懲役または3000万ウォン(約330万円)以下の罰金が科される。韓国には犬の肉を食べる文化があり、料理店など関連業者の反発が予想される。 法案には業者の廃業や転業に向けた支援も盛り込まれた。犬肉を流通させたり、食用目的で飼育したりした場合も、2年以下の懲役刑または2000万ウォン(約220万円)以下の罰金刑に処される。罰則に関しては、特別法の公布から3年間は猶予される。

  2. ペットにする人が増えたからなんだろう・・・。

[2] 韓国、犬肉食の歴史に幕 「犬食用禁止法」国会通過 市民の意識変化 (msn.com)

  1. 食用のための犬の飼育、食肉処理などを全面的に禁止する法案が9日、韓国国会を通過した。動物愛護団体の働きかけもあって、与野党が禁止の方針で一致した。韓国の犬肉文化は長い歴史があり「滋養食」として親しまれてきたが、各種世論調査でも一般市民の捉え方は変化していた。

  2. 俺も聞いたことは有るが、貧しくて牛や豚を食えない時代の食文化ってところも有るそうだ。牛や豚を食ったら犬を食う気は無くなるとも・・・。

  3. 今回、国会を通過した法案では犬や犬を原料に加工した食品を流通・販売する行為も禁止している。食用目的で犬を殺せば、3年以下の懲役、または3000万ウォン(約330万円)以下の罰金などが科される。罰則条項は公布後3年後から適用される。犬肉に関連する飼育業者や飲食店への廃業支援金の給付なども盛り込んだ。

  4. 犬肉業界からは激しい反発が起きている。昨年11月には大統領府前で犬肉業界の従事者がデモを行い、大量の犬を車から降ろそうとしたため警察と衝突が発生。デモを行った団体側は「国民の食べる権利を侵害している。法律が制定されれば、犬200万匹を(大統領府のある)竜山に放す」と反発した。

  5. 200万匹、国が買い取って保護するのかね・・・。殺処分じゃ意味無いと思うんだが・・・。

  6. まあ、みものだわ・・・。

  7. 動物愛護の流れを背景に韓国国内で反対の声が大きくなり、飲食店の多くも表だって犬肉を提供していることをうたわなくなったが、聯合ニュースによると、全国で約1600カ所あるという。

  8. 「韓国固有の文化」との意見も根強くあるほか、法律で禁止することへの反対意見も出たが、2022年5月に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領政権が発足して以降、急速に犬食を禁止する議論が進んだ。

  9. 今回の法制定の動きの背景には動物好きと知られる尹大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏の影響もあると言われている。金氏は22年6月にメディアのインタビューで「犬の食用を止めなければならない」と発言。昨年4月に与党「国民の力」の議員らが犬肉を禁止するための法案を発議した。 法案は「キム・ゴンヒ法」と呼ばれたが、動物愛護団体は与野党双方に働きかけを強化。最大野党「共に民主党」も11月、法案支持の方針を打ち出した。

  10. 一般世論の変化も大きい。世論調査会社「韓国ギャラップ」の22年8月の調査結果によると、韓国内の64%が「犬肉食を否定的に見る」と回答した。犬をペットとして見る人々の増加も影響しているとみられ、KB金融グループの経営研究所の報告書によると、22年にペットを飼っている約552万世帯のうち、約7割が犬を飼っていた。 京畿道に住む大学生の曺輝珠さん(24)は、「犬を飼っている人は犬を家族と認識しているだろう。私もペットと見ており、犬肉を食べたことはない。法案には賛成だ」と話した。【ソウル日下部元美】


by T. H.



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[1] Materials/Electronics

  1. Fermi Level (2018).

  2. Vacuum Polarization, and Polariton (2018).

  3. Current Status on ReRAM & FTJ (2023).

  4. Fermi Level 2 (2023).

  5. Vacuum Polarization, Polaron, and Polariton 2 (2023).

[2] Electrochemistry/Transportation/Statioヘジンy Energy Storage

  1. Electrochemical Impedance Analysis for Li-ion Batteries (2018).

  2. Electrochemical Impedance Analysis for Fuel Cell (2020).

  3. Progresses on Sulfide-Based All Solid-State Li-ion Batteries (2023).

  4. 国内電池関連学会動向 (2023).

  5. Electrochemical Impedance Analysis for Li-ion Batteries 2 (2023).

  6. Electrochemical Impedance Analysis for Fuel Cell 2 (2023).

[3] Power Generation/Consumption

  1. Electric-Power Generation, Power Consumption, and Thermal Control (2020).

  2. H2 & NH3 Combustion Technologies (2020).

  3. Electric-Power Generation, Power Consumption, and Thermal Control 2 (2023).

  4. H2 & NH3 Combustion Technologies 2 (2023).

[4] Life

  1. Home Appliances I (2021).

  2. Home Appliances II (2021).

  3. Home Appliances III (2023).

[5] Life Ver. 2

  1. Human Augmentation (2021).

  2. Vehicle Electrification & Renewable Energy Shift I-LXXXI (2022).

  3. Human Augmentation II (2023).

[6] 経済/民主主義

  1. 経済/民主主義 I-LIX (2023).

  2. 記事抜粋1-128 (2023-2024).


Published Articles' List (2004-2005, 2008-2011, 2015)

  1. Toru HARA | Confidential | Doctor of Engineering | Research profile (researchgate.net)

  2. Toru Hara, Doctor of Engineering - Google Scholar

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