見出し画像

隣を走っていても、同じ状況とは限らない

1月3日に走ることは、前から決まっていた。鶴見中継所に続く道路が見える。風が出てきたらしく、沿道の街路樹や旗が揺れている。ランニングはフィジカルなスポーツだ。淡々と走る。

すぐ右に、ちょうど肩をならべるように並走するランナーがいる。けれど隣のランナーのほうが3分ほど私よりも先行している。すぐ隣を走っているからといって、同じ状況とは限らないのだ。

1キロあたり3秒ほどペースを上げる。少し心拍が上がるが、まだ大丈夫だ。それよりも、膝への負担が気になる。痛みはないが、かすかに疼いている。残り数キロをこのペースで続けられるだろうか。隣のランナーはまだ並走している。

さらにペースを上げる。自分のフィットネスレベルではこれが限界だ。呼吸も苦しくなる。昨年は膝を痛めたり、風邪で練習できない期間があったりした。テレビのアナウンサーはいかにも感動しそうなニュアンスを、嘘にならない程度に含めてエピソードを話しているのだろう。

隣のランナーがペースが落ち、やがて視界から消えていった。私は少しだけペースを落として、しばらく走り続ける。タスキを渡すことは叶わなかったようだ。悔しそうに中継所に入るランナーを見届ける。ちょうどきりがよい。トレッドミルの停止ボタンを押し、目の前のモニタもオフにし、今年最初のランニングを終えた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?