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「十勝」の財産はヒトでした!

今回は、5年前の十勝での話。
 
北海道のブランド牛、『神居牛』を育てている佐藤さんの牧場を訪ねました。
 
牧場の事務所でお話いただきました。
 
どれだけ私がこの肉を気に入ったか、お出ししたお客さまが絶賛していたか、いきなり初対面の佐藤さんに、力説してしまいました。
 
「なんでこんな美味しい肉ができるのですか?」
(直球すぎる質問!)
 
「なんかみんなそういうんだけど、わしにはわかんないだよな。」
(え~、なんか秘密あるんじゃないの?)
 
 
「牛って『経済動物』だべ。
だから、少しでも早く大きくなってもらって、少しでも早く市場に出したいって思うだろ。
でも、牛のお蔭でこっちは飯が食えて、牛も人間のお蔭で美味しい餌が食べられる、
っていう関係であるべきだと思うんだ。
 
だから、餌はいいのをあげてる。高いけどな。
身体を維持するための抗生物質みたいなものが入った餌は絶対使わん。」
 
その後も、牛に対する愛情溢れる話が続きます。
 
 
でも、この牛は残念ながら、全量九州の業者さんにいってしまいます。
その業者さんはどうやって、佐藤さんの牛を見つけたのか、気になります。
 
10年以上前、和牛全盛の時代ゆえに、その業者さんは、和牛以外の牛を全国で探していたそうです。
そして、十勝の牛品評会に出品していたときに、目をつけられたのだとのこと。
 
「品評会に出した牛がたまたま良かっただけかもと思われて、
『3~4頭送って』と言われて、送ったんだ。
それも良かったみたいで、でももう1回試したいと。
『もう3~4頭送って』と言うから、
『そんなに送れるか!』って喧嘩腰よ。
それからずっとそんな関係で続いてるよ。」
 
と豪快に笑う佐藤さん、素敵です。
 
でも、品評会で数ある十勝の牛の中から見出して、全て買い取ることにした、その業者さんもスゴイです。
 
こんなこともあったそうです。
 
高齢な女性からの電話で、
「大阪で食べた牛が美味しくて、これが本物の牛だと、
きいたら『神居牛』だと、ぜひ私にも売ってほしい。」
 
実は、その方は、九州で何店舗も高級料理店を経営している女性だったそうです。
 
気がつくと、日が落ちてきてます。
すっかり長居してしまいました。
 
ところが、
「せっかく来てくれたんだから、まだいいか?」
 
とどこかに電話を。
 
「うちの牛を加工してくれるところの責任者がいたから、今から会いに行こう。」
 
「すぐだから、わしの軽トラについて来い!
飛ばすから、ちゃんとついて来いよ」
 
(飛ばす軽トラ?)
 
すぐといいながら、延々30分以上、軽トラ追跡続きました。
 
 
ここから、思いがけない話になっていきます・・・。

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