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最近読んで面白かった本

ランニングの世界

 最近読んで面白かった本の紹介をしようと思う。
 podcastのReplicant.fmを聞いていた際に紹介のあった「ランニングの世界」という本だ。

 題名が気になったのと、2020年号がLSD(Long Slow Distance)特集​であり、LSDに対して知識を深めたく購入した。

 ランニングの世界という雑誌は1年に1回の4月のみ発刊されており、存在自体知らなかったが読み進めるととても面白く、あっという間に読み終えてしまった。

 本の中身は各方面で活躍されている著者の方々がエッセイ?を順に書いており、それぞれの著者がランニングの練習や生活場面でLSDの考えに沿ったセオリーを紹介していた。


 その中でLSDの提唱者であるヘンダーソン自身の言葉が印象に残った。

柔らかに地を踏み、ゆっくりと脇道を走っていく。自然と会話するのもよし、独り思いに沈むもよし。走るのに「どうやって」も「なぜ」もいらない。私はただ走る喜びに浸っている。ジョー・ヘンダーソン​

 LSDとは単なるトレーニング方法ではなく自己と向き合う時間、走る事への喜びを感じる時間、心の健康を得るものである。

 私自身、日頃ランニングをする際にはLSDが中心であるが、LSDの最中は頭の中で絶えず新しい事が思い浮かび、ポジティブな気持ちになり、挑戦を促してくれる時間である。
 
 コロナ禍でマラソン大会が連日中止になっている今、しばらくはLSDでのランニングを続けていこうと考えている。

トレーニングとしてのLSD

 トレーニングとしてのLSDにも興味深い事が書いていたのでnoteに書き残したいと思う。


福岡大学名誉教授 田中宏暁 1947~2018(日本

・スロージョギングとは歩くくらいの低速(ニコニコペース)で走ること、フォアフット(足尖)で着地する。

・フランク・シューター(1972年ミュンヘンオリンピック金メダルリスト)については全トレーニングの80%はニコニコペースのトレーニングであったと指摘している。


ファン・アーケン 1910~1984(西ドイツ)

・リズミカルなテンポで体のバランスを乱さない程度、呼吸が乱れたときには気分を楽にして持続距離を伸ばすこと。

・脈拍数は130(/分)を保つこと。


アーサー・リディアード 1917~2004(ニュージーランド)

・もっとも効率の良い有酸素トレーニングの負荷はAT(無酸素閾値)の70~100%。

・有酸素能力はレースでのパフォーマンスを決めるもの。無酸素トレーニングはこの財産を慎重に守りながら進めなければ、すべてが台無しになってしまう。

※しかし「私の勧める有酸素トレーニングはLSDではない。LSDもような低強度では循環器系に十分な負荷をかけれない」との記載もあり。


ジョー・ヘンダーソン 1943~(アメリカ)

・LSDの速さについて「トークテスト」(走りながら普通に会話ができるかどうか)が紹介されている。

・フルマラソンのタイムのそれぞれのLSDの1kmあたりの速さは、
3時間ー5分50秒、4時間ー7分46秒、5時間ー9分43秒となる。

・距離と頻度については「一週間の走距離が同じであっても、毎回同じ距離を走るよりも週末に倍の距離を走る方が、はるかに効果があがる」という記述もあり。


フィリップ・マフェトン 1951~(アメリカ)

・心拍数が「180~170-年齢」に収まるように設定する。

・MAFテストの実施を指示している。


ジャック・ダニエルズ 1933~(アメリカ)

・59~74%VO2max、65~78HRmax程度、1回の練習量30~150分としており、その効果として「ケガに対する耐性を作る、心筋を強化する、血液の酸素運搬機能を改善する、筋繊維をランニングに有意な性質に導く」と言っている。

・長い距離を走れることが自身を作ることができる。


佐々木 功 1943~1995(日本)

・目安としては全力の40~60%、脈拍で130(/1分間)以下。4時間以上もあれば1時間でもあり。

・ゆっくりと走り、走酔(一定のリズムが心地よい刺激となった無念夢想の状態を表す佐々木氏の表現)を味わっているうちに、自然とスピードが速くなっていき、精神的にもいい状態となり、「明日はよく走れそうだな」と、そういう予感に注意して、そこでやめてください。逆に言えば、体調が悪いと感じられるときは、ゆっくりと走っていて明日へのいい予感が感じられるまで続けてください。


小出 義雄 1939~2019(日本)

・負荷をかけたトレーニングの翌日は、ゆっくりと長い距離を走っておく。LSDは体の疲労を和らげるのに効果的です。

・「脚づくり」のためにウォーキングと混ぜながら90分間に到達することが目標である。


 トレーニングとしてLSDを考えるときは、これら著名な方々の理論の中から自分なりのセオリーをあてはめ実践することが大事であると考える。

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