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龍谷大学公募推薦対策!10年分の文学史ポイント解説⑥

古文の文学史が苦手という人をよく見かけますが、文学史は①コアになる知識と、②その知識の使い方を覚える事で対応できます。11月は公募推薦が近いということで、何回かに分けて龍谷大学の文学史のポイント解説をしていきたいと思います。なお、この解説は龍谷大学の問題を解くのにあたって必要な知識に絞ってまとめております。学術的な厳密性や細かな知識よりも、問題を解くための情報を優先しているので、細かなツッコミはご容赦ください。


14年一般

この『とばずがたり』を読むと、作者が各地を旅して回ったことが知られますが、次のうち、自分(作者)の記述を含まないものを一つ選びなさい。
①『紫式部日記』 ②『更級日記』 ③『海道記』 ④『笈の小文』


〈難易度〉
2/5

〈解説〉
それぞれの情報から少し洞察をしなければならないので難易度は2。
『紫式部日記』は紫式部が宮中の様子を描いたものなので、「自分の記述を含まない」に合致するのではと見当をつける。
そして他がそれぞれ旅の道中を記録していることから自分の記述が描かれていると考えるのが妥当と見当をつけ、正解は①

〈ここだけチェック〉
『紫式部日記』
平安時代に紫式部が記した日記。宮中の様子と手紙からなる。
『更級日記』
菅原孝標女が記した日記。同作品は物語に憧れる少女の日記。菅原孝標女は『浜松中納言物語』『夜半の寝覚』の作者ではないかとされる。
『海道記』
鎌倉時代に成立したと考えられている紀行文。主人公が京都から鎌倉まで向かう間を描いた旅日記で、『十六夜日記』と『東関紀行』と合わせて中世三大紀行文とされる。
『笈の小文』
江戸時代に松尾芭蕉が記した紀行文。

15年C日程

「かの序に書きたりし( A )より初めて代々の歌仙ども」の空欄を補うのに適切な人名を一つ選びなさい。
①業平 ②貫之 ③俊成 ④定家
※かの序とは『古今和歌集』の仮名序のことを指す


〈難易度〉
3/5

〈解説〉
注釈にある通り「かの序」は古今和歌集のことを指し、「書きたりし(書いた)」と連体形で繋がることから、Aに入るのは仮名序を記した人物であることがわかる。したがって答えは②
また、「代々の歌仙ども」とは「六歌仙」のこと。

〈ここだけチェック〉
六歌仙は紀貫之が古今和歌集の仮名序で当時の和歌の隆盛に大きく貢献したとして名を挙げた6人の歌人。
僧正遍照、在原業平、文屋康秀、喜撰法師、小野小町、大伴黒主が含まれる。
紀貫之は『土佐日記』の作者であり、『古今和歌集』の代表撰者。また『古今和歌集』の仮名序を記す。
藤原俊成は八代集のひとつ、『千載和歌集』の撰者。八代集とは古今和歌集から始まる八代によって作られた勅撰和歌集のことで、順に『古今和歌集』『後撰和歌集』『拾遺和歌集』『後拾遺和歌集』『金葉和歌集』(きんようわかしゅう)『詞花和歌集』『千載和歌集』『新古今和歌集』が含まれる。
『新古今和歌集』のみ鎌倉時代に成立という情報を覚えておくと応用がきかせやすい。

15年中期

『小鳥のくちずさみ』は南北朝時代を舞台とした作品ですが、南北朝より後の時代に成立した作品を一つ選びなさい。
①『蜻蛉日記』 ②『栄花物語』 ③『野ざらし紀行』 ④『大鏡』

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
積極法、消去法のどちらからも解きたい。
積極法でいくのなら『野ざらし紀行』が松尾芭蕉の作品ということで江戸時代成立と判断し、これが答え。
消去法でも『蜻蛉日記』が平安の話、『栄花物語』『大鏡』が平安時代に記された歴史物語(『大根水増』の四鏡のうち「大根」の部分は平安時代に成立したことは覚えておくべき知識。藤原氏の栄華を肯定的に描く『栄花物語』が大鏡よりも前に成立というところから判断)なので、それらを消去しても正解は③

〈ここだけチェック〉
『蜻蛉日記』
藤原道綱母によって記された平安時代の日記。一夫多妻制に悩む平安時代の女性の胸中が記される。
『栄花物語』『大鏡』
藤原氏の栄華と衰退を描いた歴史物語。ともに平安時代に成立しているが、『栄花物語』は藤原氏の権力がまだ大きかった時代に記されたのに対し、藤原氏の衰退が始まった頃に成立した『大鏡』には、藤原氏の行った出来事がやや批判的・客観的に記される。

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