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龍谷大学公募推薦対策!10年分の文学史ポイント解説⑩

古文の文学史が苦手という人をよく見かけますが、文学史は①コアになる知識と、②その知識の使い方を覚える事で対応できます。11月は公募推薦が近いということで、何回かに分けて龍谷大学の文学史のポイント解説をしていきたいと思います。なお、この解説は龍谷大学の問題を解くのにあたって必要な知識に絞ってまとめております。学術的な厳密性や細かな知識よりも、問題を解くための情報を優先しているので、細かなツッコミはご容赦ください。

2021 2月14日中期

『たまきはる』の作者は女性ですが、作者が女性ではないものを一つ選びなさい。
① 『十六夜日記』  ② 『讃岐典侍日記』  ③ 『とばずがたり』  ④ 『折たく柴の記』

〈難易度〉
2/5

〈解説〉
『とばずがたり』を押さえていないと難しいかもしれないが、③④の二択までは確実に絞りたい。『とばずがたり』は鎌倉中期から後期に後深草院二条(女性)によって記された日記。

〈ここだけチェック〉
『十六夜日記』
鎌倉時代に記された阿仏尼の日記。裁判(所領紛争の解決)のために鎌倉へ向かう日記。鎌倉までの道中と、鎌倉での出来事が描かれる。
『讃岐典侍日記』
平安時代に讃岐典侍が記した日記。堀河天皇の看護と鳥羽天皇との生活の様子を書く。
『とばずがたり』
鎌倉中期から後期に後深草院二条(女性)によって記された日記。「誰に問われるでもなく自分の人生を語る」という自伝形式で半生を描く。
『折たく柴の記』
江戸時代中期に新井白石が書いた随筆。

2021 1月31日前期

『しのびね』は、擬古物語の一つとされる作品です。擬古物語の説明として、最も適当なものを一つ選びなさい。
① 平安時代に、多くは神話や伝説を題材として書かれた作品群。空想的・伝奇的で虚構性が強い傾向を持つが、徐々に当時の現実の生活習慣や、実在した人物の履歴などを取り込んだ作品が書かれるようになった。
② 平安時代後期に、僧侶によって書かれた短編作品群。当時としては自由な行動をとる人物が出て来たり、素朴な挿絵の入った本や絵巻物の題材となったことで、庶民に多く知られるようになった作品が多い。
③ 鎌倉時代から南北朝時代に、平安時代の物語の影響を受けて書かれた作品群。王朝を回顧する傾向が強く、多くは『源氏物語』を模倣するが、文体や言葉に、室町時代以降の説話文学に共通する要素を含む作品もある。
④ 江戸時代中期に、平安時代の文学作品を模した雅文体で書かれた作品群。当時世間で知られた実話、特に敵討ちや恋愛に関わる事件を題材として脚色したものが多い。

〈難易度〉
2/5

〈解説〉
擬古物語は鎌倉時代から近世初頭に成立した、平安時代の王朝貴族を主人公にする物語のこと。したがって③。『松浦宮物語』(97センター試験)、『住吉物語』(12センター試験)、『松陰中納言物語』(13センター試験)、『小夜衣』(20センター試験)、『石清水物語』(23共通テスト)などが含まれる。

〈ここだけチェック〉
①「平安時代」「空想的・伝奇的」は作り物語の説明。
②「僧侶によって書かれた短編作品群」は説話集を示唆するものか?
④「雅文体」は中古(平安時代)の仮名文に擬した文体のこと。

2021 1月30日前期

『栄花物語』とは成立した時代が異なるものを一つ選びなさい。
① 『後拾遺和歌集』  ② 『金槐和歌集』  ③ 『金葉和歌集』  ④『後撰和歌集』

〈難易度〉
2/5

〈解説〉
『金槐和歌集』が鎌倉時代に成立した源実朝の私歌集であるという具体的な知識を覚えておいて解きたい問題ではあるが、同時に「八代集」が『新古今和歌集』だけが鎌倉時代に成立したという知識をもって、①③④が平安時代の作品という知識からも正解を導きたい。

〈ここだけチェック〉
『栄花物語』
平安時代に成立した歴史物語。藤原家の栄華と衰退を好意的に描く。
『金槐和歌集』
鎌倉時代に成立した源実朝の私歌集。私歌集に関しては西行の『山家集』とともに押さえておきたい。
八代集
古今和歌集から始まる八代によって作られた勅撰和歌集のことで、順に『古今和歌集』『後撰和歌集』『拾遺和歌集』『後拾遺和歌集』『金葉和歌集』『詞花和歌集』『千載和歌集』『新古今和歌集』が含まれる。『新古今和歌集』のみ鎌倉時代に成立という知識を覚えておきたい。

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