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新たな家族。ラビットS301Aがやってきた!

2024年3月8日の夜。
ラビットS301としては3台目、公道走行前提の個体としては2台目の「サンマル」が相変わらず狭い我が家にやってきました。

なお車輌搬入時、あまりの興奮に下ろす手を離し撮影を行ってしまい
今回のお迎えの仲介をしてくれたサンマル子前オーナーさんから
「ラビット下ろすの忘れて撮るとかフーチさんらしいな!」との
盛大なツッコミを頂いてしまった。正直スマンカッタ…

実は既にサンマル子とは別にS301B(3速MT)のジャンク個体(愛称:サンマル美)を入手してはいたのですが、大きく破損していた外装のみならず過去のトラブル起因かクランクが大きく歪みクラッチも痛んでおり…
サンマル子の改修わび子(YB-1)のエンジンチューンナナ美(YB125-A7)の再起動・スクランブラー化…と作業がてんこ盛りな現状では、後回しにせざるを得ませんでした。
 
しかし、(ラビットS301に限った話ではないのですが)もっとバイクへの知見と理解を深めるのであれば、やはり実機に向かい合うのが一番です。

富士ラビットS301A(愛称:サンマル江)、お迎え。
A型シャーシでありながら事実上のBH4型なサンマル子と異なり
初の純然たるA型である。

そういう訳で、サンマルA型が作業部屋入りしました。
実はサンマル子もシャーシと一部パーツのみはA型なので登録上はA型なのですが、今回は登録上も中身もぜんぶA型です。
そもそも、サンマル通常モデルの歴代ほぼ全部が混ざってるサンマル子という存在がおかしいだけなんですが…
 
しかし、このサンマルA型こと「サンマル江」も完全オリジナル状態という訳ではありません。
来歴としては2オーナー車という事もあり、各部にA型オリジナルパーツが多く残っている素晴らしい個体なのですが、過去にフロントカウルを破損したのか
 
何故かフロントがS301ツーリングのものに変わってます。
この謎のアップグレード、当初は通常のA型のフロントへの再換装も検討していたのですが…これはこのラビットの「歴史」でもあるので、このままいく事にしました。
なお、フロントをクラッシュした影響か、フロントフェンダーは中で針金によって吊られていました。ここはサンマル子と同様、スチール製の強化フェンダーを入れて補修します。

さっそく状態チェック開始!

ともあれ、個体の状態をくまなくチェックするのが先です。
サイドカバーとバッテリーカバーを外し、できる範囲で各部の状態や動作をチェックしていきます。

S301A型のエンジンとキャブレター、レギュレーター

ラビットS301としては最初期型にあたるA型は開発時期が1950年代後半だった事もあり、現在よく見るサンマルの殆どを占めるB型とは各部が大きく異なります。
 
まず、そもそもエンジンが別物です。
B型ではクランクウェブ・ロータリーバルブを採用してパワーアップを果たしましたが、このA型では単純なピストンバルブ式が採用されており、その関係上キャブレターも普通のホリゾンタル(水平)式のものが付いています。
 
更に、B型ではフロントに位置しているレギュレーターもキャブレター上方にしがみ付いています。つまり、A型とB型とではハーネスの構成が全く異なるという事でもあります。
このレイアウトは同時期に登場した上位車種のS601(ロクマル)にも通じるものがありますが、バッテリーも車体後部に搭載しているロクマルと異なり、サンマルは最初からフロントにバッテリーを積んでいます。
この辺りに、ラビット一族の設計コンセプトの変遷を感じられます。

エンジン左側

また、S301A型には3速グリップシフト式MT+自動遠心クラッチ仕様しか存在せず、B型のような4速MT+マニュアルクラッチ(ツーリング)やトルコンAT(スーパーフロー)といった変速機のバリエーション展開はありません。
従って、A型ツーリングも3速MTのままです。
 
もっと細かい事を書けば、上記の通りエンジンもキャブも別物なので
・燃料ホースの取り回しがB型とは左右逆(A型:右側、B型:左側)
・燃料コックの出口の向きもB型とは左右逆(A型:左側、B型:右側)
・つまり、燃料タンクもB型とは別物

と、燃料系についても完全に別物です。
中古パーツ購入の際には特に注意したいポイントでもあります。

シートカウル周りはオリジナルパーツが多く残っている

外装はもちろん完全に別物で、A型のシートカウルに生えているフックは左右非対称です。左側の取手も印象的です。
但し、トランクカバーに生えているフックについては…仕様なのかオプションなのかが情報不足のため、詳細が分かり次第当ブログ内にて追記いたします。

メーター回りはA型のかわいらしさが最も感じられる

そしてA型といえば、何といってもこのかわいらしいメーター回りに尽きるでしょう。
 
特にメーターは、無機質というか平凡なB型のものと異なりレトロチックなデザインで非常に人気が高い逸品です。
本来はハンドルカバーにもオシャレな樹脂製エンブレムが付属しているのですが、パーツ換装時点でなかったのか後で外して売却されたのかはわかりませんが、サンマル江にはありません。
 
筆者の場合は「自作」という選択肢もあるので、気にしてません。

何故かツーリングのフロントカウル

フロント破損時に換装されたと思しきツーリング用のフロントカウルも、フロントキャリアとフロントバンパーが揃って外されており、ハンドルカバーと同じく飾りネジで穴を塞がれています。
このせいで好みの分かれるフロントになってしまっていますが、筆者としては昔の戦闘機のリベット留め(沈頭鋲が登場する前)のようで嫌いではありません。
 
ただ、かわいそうではあるので、その内キャリアとバンパーを探してあげようと思います。高いけど…

おや?

…といった感じで内外装をみっちりチェックしていると、サイドカバーを支えるゴム製モールの外側に、後から灰色に手塗りされたと思しき奇妙なディテールが。

サイドモールだ!サビたせいか塗られてるけど…

よく見ると車体両サイドにも同じものが。
 
実はこれ、A型のレアなオプション「メッキモール」です。
元々はメッキ処理されており銀色に輝き、とてもゴージャスにサンマルの横側を彩ってくれる素晴らしいものなのですが、この個体ではサビてボロボロになったせいなのか、フロントカウルのアルミ製モール共々灰色に再塗装されており、一見しただけでは存在がわからなくなっていました。
 
再塗装の是非についてはオーナーさん各人のセンスによる所が大きいのですが、んまぁボロボロになってたら塗りたくなるのが普通ですし、(結果論ですが)再塗装によってメッキモールの更なる腐食が阻止されているようなので、全然アリです。
なお、筆者はメッキモールの輝き(とわびさび)を復活させる方向でいきます。

何とA型オリジナル状態のシート!

流石は2オーナー車、何とシートは元のまま弾力性を保って現存しています。
正直いって乗るのがもったいない!
 
暫くはこれで乗りますが、ここは代替品を探そうかな…と思います。

サンマル江は生きている

見所の多いサンマル江…もといA型ですが、B型よりも販売期間が短かかったせいで中古個体・パーツの弾数が少なく、しかもB型と混ざって売られている事も多いので、B型でやれるような「直しながらガンガン乗っていく」スタイルには向きません。
しかも、サンマル好きからは人気ではあるもののツーリング程のプレミアが付く事もなく、ちょっと地味な存在であるのもまた事実です。
 
とはいえ、そんな事情は筆者には全く関係ない話です。
本来A型だったサンマル子にはA型用の予備パーツもストックとして付属しており、サンマル子を蘇生させる際にA型についての勉強もした関係上…純然たるA型に触れる機会に恵まれたのは非常にありがたく、また、更なる勉強にもなります。
 
何より、サンマル江は生きてます。
各部操作系も灯火類もセルモーターも動き、既にプラグから火花を飛ばしているこのラビットを早く再起動させ、気持ちよく走らせてあげたい!
今の筆者の胸中はその気持ちで一杯です。
 
「旅するラビット」に特化し、既に実績を重ねているサンマル子。
 
で、サンマル江とは何して遊ぼうか?
 
それは、サンマル江でのんびり走りながら考える事にしました。

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