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相棒 〜season4〜

 大学生時代、人形劇サークルに入っていた私には、主に低学年を担任するときに、tagを組んでいる相棒がいる。もちろん、あのドラマと同じで、代替わりはしているが。まさに、私の片腕!として助けてくれている。ちなみに相棒は、決して喋らない。私の耳元で囁いてくれるので、通訳している。

 一代目は、「ちび先生」。
2年目ではじめて1年生の担任をしたとき。
 この子は、こんな造りだった。 モデルは、自分自身だ。

 学生時代からウレタンを丸くハサミでカットするのは、苦手だった。でも、頑張って作った。身体は、軍手なので、動きは、私の思うままだ。子ども達は、この相棒を大層気に入って、クラスメイトにしてくれた。下校する前には、特製ベッドに寝かせ、布団がわりのタオルをかけてやっていた。遠足の時も、一緒に電車に乗せて連れて行った。授業中は、ちび先生に頭をなでなでしてもらうのが嬉しくて頑張っていた。あの子達も、もう30歳くらいになるはずだ。きっと素敵な大人になっているに違いない。

 二代目は、「カエルくん」。
 この人形は、息子が生まれたときに、お祝いでいただいたものだ。3年前、1年生を担任したときに登場した。この子もたくさん可愛がってもらえた。
 ある日、帰り際に、こんなことを聞かれた。
「先生は、学校に住んでるの?」
いかにも1年生らしい可愛らしい疑問だ。
「ううん、お家に帰るよ」
「じゃあ、カエルくん、寂しいじゃん!
 ぼく、今日、お家に連れて帰ってもいい?」
 かくして、お家に連れて帰ってお世話?をする「カエルくん当番」が誕生した。中には、連れて帰りたいけど、犬が噛むかも、弟が噛むかもと我慢する子もいた。持ち帰りたいという自分の思いをただ押し通すのではなく、大丈夫なのかなと考え行動する姿に、自己中心的な幼児性からの成長が感じられた。
 また、おうちの方から、こんな手紙もいただいた。
「いつもは、なかなか次の日の支度をしなくて困っていたのですが、今日は、カエルくんのパパだから頑張る!と張り切っていました。」
のんびり屋のあの子がねぇ。叱咤激励ではなくとも、物言わぬ一体の小さな人形が、心を動かしたのだ。その子に合った声がけやアプローチってすごく大切なんだな。教員生活20年超えても、まだまだたくさん発見できる!子どもの可能性は、未知数だ。だからやめられない!
 3代目は、2年前、3年生で登場させた黄色い鳥のパペット。これは、某300円ショップの人気商品だ。今までより大きな子たちだったけど、男女を問わず大人気で休み時間に取り合いが起きることも。思わず嫉妬?するほどだった。また、クラスみんなで頑張ったことを賞賛し、共有するために、お尻?から星⭐️を産むという特技を持っていた。
「本当は、先生が動かしているの?」
こんなことを真顔で聞いてくるのには、驚いた。キミたち、3年生だよね?なんて純粋なのだろう。
 この相棒は、某大型ショッピングモールに売っている。あまりにかわいがられすぎて、くたくたよれよれになってきたので、スペアをと思って見たのだが、なんと!どれも顔が可愛くないのである。量産だよね?何で?と思いながらも幾度となく店に足を運ぶのだが、やっぱり可愛くない。不思議なお話で、いわゆる髪の伸びる人形的な発想なのだが、みんなに可愛がられていた(当時の価格で)324円の相棒は、子ども達からの愛情をたっぷりと注がれた結果、優しい目元に変化したのでははいか、と本気で思っている。

 まもなく4月がスタートする。実は、この中の相棒の一人を再登場させる予定である。少しだけバージョンアップさせて。そして更なる相棒も!(通称…博士)
 子どもたち、どんな反応してくれるかな?

 相棒、また一年間、よろしくね。

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