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Atomic Heartストーリー徹底解説

Atomic Heartのストーリーを書きます。もし英語に抵抗なければ、

こちらのIGNという海外サイトの記事がいいなと思いました。

日本語情報としてはまだそんなに充実してないと思うので、今のうちにがんばって書きます。ただそんなに長くならないようにしたいので、なるべく簡潔に書こうと思います。

もしもっと詳細が知りたい方は、冒頭のIGNの記事を当たってください。

前半はストーリーの核心は避けてますので、「ネタバレ注意」表記の後はエンディングの内容に触れるくらいのガッツリネタバレになるので、注意してください。

あと実況動画もあげてるので、良かったら見てください。


まず世界観

舞台は1955年のソビエト連邦ですが、現実の歴史とは異なっています。

「ポリマー」という物質の発見によって、ソ連の科学は一気に進歩します。人類を労働から解放するロボット、空飛ぶ車、思考をそのまま他人に飛ばせるソートデバイスなど、様々な発明が生まれました。また現実の冷戦期のアメリカvsソ連と同じように、宇宙開発も盛んです。

ソ連の科学研究の中心になったのが、施設3826と呼ばれる研究施設でした。その施設のトップが、サチノフ博士。彼は1948年に、コレクティブ1.0というロボットをコントロールするネットワークの構築に成功。ソ連市民を労働から解放しました。

サチノフ博士はコレクティブ2.0を構築しようとしており、ゲーム開始時はその2日前、という設定です。1955/6/13がコレクティブ2.0の開始予定日でした。

空中都市チェロメからスタート

ここからがゲーム開始となります。

主人公P-3は、KGB(ソ連版FBI)の隊員で、サチノフ博士の直属のエージェントでもあります。P-3はコードネームで、本名はセルゲイ・ネチャイエフ。作中ではたびたびネチャイエフ少佐と呼ばれます。

彼の相棒、チャールズは手袋から生えたケーブルのような見た目の人工知能です。チャールズはサチノフから託されたもので、基本的にはアドバイスをくれるキャラなのですが、P-3は常にケンカ腰で話しています。

DLCをやるまで誤解していましたが、手袋とチャールズは一体型ではないようです。P-3はポリマーを操る手袋の使い手という設定のようです。

彼は空中都市チェロメに、サチノフのオフィスを訪ねるために来ました。街はコレクティブ2.0の開始を祝うパレードで賑わっています。

結局サチノフはコレクティブ2.0の開始準備で忙しく、直接会うことはできませんでしたが、ソートデバイスを使った会話で、施設3826の調査を命ぜられます。

ロボットの反乱と裏切り者ペトロフ

空飛ぶ車に乗って、チェロメから地上の施設3826に行く途中で、P-3はロボットに襲撃され、施設3826のヴァヴィロフ・コンプレックスという施設に墜落します。

ロボットの反乱を企てたのはペトロフという研究員でした。彼は優秀なプログラマーで、コレクティブのアルゴリズムを知り尽くした男でした。墜落したP-3はサチノフから、ペトロフを生け捕りにするというミッションを指示されます。

※以下、ストーリー中盤のネタバレ注意※

ここからはストーリーの核心部まではいきませんが、ゲームのストーリーの流れを書くことになるので、お気をつけください。

ペトロフを追え

P-3はペトロフを追いながら、ヴァヴィロフ・コンプレックスの奥へ進みます。ヴァヴィロフ・コンプレックスは本来は食糧研究のための研究施設でしたが、ロボットの反乱後はそこら中に死体が転がっている地獄と化していました。

P-3は道中でジナばあさん、フィラトヴァといった人物の助けも得ながら、ペトロフを追い詰めます。しかし最終的にP-3が発見したのは、彼の死体のみで、「生け捕りにしてくる」というミッションには失敗します。

サチノフに報告すると、「次はVDNHに行ってくれ」という新たなミッションを命じられます。

VDNH

VDNHは全ロシア博覧センターという実在の施設で、ロシアの文明の高さをアピールするための博覧会場です。

ただAtomic Heartで出てくるVDNHは、その実在の名前を借りた別施設という設定みたいです。この記事によると、3826施設はカザフスタン山脈のあたりにある設定らしいですし。

P-3がヴァヴィロフ・コンプレックスから地上に出ると、ロボットによる監視網が張り巡らされて、簡単には進めなくなっていました。しかしそこでジナばあさんと再会し、VDNHへの行き方を教わります。

また同時に彼女がなぜかアクセスできる政治放送を見て、モロトフという共産党議員がサチノフを追い詰めているシーンを目撃します。サチノフは「ロボットの反乱は些細な不具合で、もう解消した」と報告していましたが、モロトフは納得しておらず、調査に入ることを宣言しました。

なんやかんややって、VDNHの最寄駅に着くと、サチノフの部下であるシュトクハウゼンから「VDNHを演習モードにしろ」という指令を受けます。そこからまたなんやかんややって、VDNHの演習モードを発動させます。

儀式

演習モード中のVDNHにモロトフが調査に来ます。サチノフは最初ビデオ電話で通話していましたが、モロトフの激しい追求に追い詰められて、現地で話すことにしました。

サチノフを待つ間に、P-3は気を失って、彼の意識はファンシーな精神世界に飛ばされました。この世界はゲーム中では「リンボ世界」と呼ばれます。

Limboは辺獄という宗教用語に由来しています。「キリスト教の洗礼を受けずに死んだ善人が行く場所」です。信仰がないので天国には行けないが、地獄に落ちる罪もないから、辺獄に留まるとされたそうです。なお聖書にこの記述はないそうです。また英語で「in limbo」で宙ぶらりんの状態を表せるそうです。そしてこの辺獄についての説明はわからなくても大丈夫です。

長々書きましたが、リンボ=宙ぶらりんの状態ぐらいの認識でいいんだと思います。

意識が戻ると、サチノフとそのボディーガードの双子ロボが到着していて、モロトフとその護衛は全員殺されていました。サチノフは「死者への儀式」と称して、モロトフの死体を消滅させます。「データバンク」と呼ばれる、不気味な赤い人型のポリマーに、モロトフの死体を吸収させました。

ここで「データバンク」と呼ばれている謎の存在はその後たびたび出てきて、「ジェリーマン」とも呼ばれます。これが何なのかは本編では謎のままです。

チャールズの話では、サチノフと一緒に研究をしていたザカロフという博士も、同様に死体が発見されないまま失踪しており、モロトフの殺害方法はそのエピソードを想起させます。

サチノフはモロトフの殺害シーンをアメリカに流そうとしている電波に気づきました。そのことで、死んだと思っていたペトロフが実はまだ生きているのではないかという疑惑が生じます。

プリセツカヤ劇場

ペトロフはフィラトヴァと一緒にサチノフの研究施設に潜んでいました。P-3はペトロフに背後から殴られて気絶して、ベッドに縛りつけられます。が、フィラトヴァにペトロフがこのロボットの反乱を起こしたことをバラしました。

フィラトヴァは実はペトロフの恋人で、彼に協力していましたが、ロボットの反乱を起こしたことまでは知らされていなかったため、P-3の暴露によって、彼を置いてどこかに行ってしまいます。ペトロフは彼女を追いかけます。一人になったP-3は、拘束されていたベルトを自力で切って、ペトロフを追跡します。

ペトロフはプリセツカヤ劇場に逃げていました。劇場はロボット技術の実験場の側面もあり、ペトロフが元々働いていた場所でした。劇場に到着したP-3は、彼を追い詰めます。

ペトロフはP-3と対面した時点ですでに精神的に錯乱していて、ロボットとともに踊っていました。P-3に向けて、2つの金のリングを投げつけて、「ソ連製の民間ロボットはコンバットモードを搭載していて、元々兵器として使えるように設計されていた」とP-3に暴露します。そしてペトロフは、自らプログラムを書き換えた劇場のロボットに自分を殺させて、最期を遂げます。

パブロフ・コンプレックスへ

またもペトロフの生け捕りに失敗したP-3でしたが、サチノフに連絡すると、ペトロフの頭部だけ持って、パブロフ・コンプレックスに行くように命じられます。

ペトロフの死の間際に受け取った2つの金のリングは「ベータコネクター」と呼ばれる装置でした。これはたびたびゲーム中で言及されて、いかにも重要アイテムっぽかったんですが、結局ストーリーが少し進むとP-3が海に投げて捨てて終わりの捨て設定みたいな扱いでした。

パブロフ・コンプレックスは施設3826の中で最も僻地にあり、生物実験をしている施設でした。施設の奥で、P-3はシュトクハウゼンと双子ロボットと会います。ペトロフの頭に対して、また「データバンク」を使おうとしたところで、フィラトヴァが乱入してきて、手榴弾を投げこみます。混乱の中、P-3は再び意識を失って、精神世界をさまよいます。

P-3が目を覚ますと、シュトクハウゼンが死んでいて、フィラトヴァはいませんでした。P-3が地上に戻ろうとしたところで、フィラトヴァから連絡が来て、「アカデミー・オブ・コンセクエンス」という場所で彼を待つと伝えてきました。

※「アカデミー・オブ・コンセクエンス」は、日本語ローカライズだと「コンセクエンスアカデミー」になっていますが、個人的に「アカデミー・オブ・コンセクエンス」の方が好みなので、そっちで表記します。

※以下、ストーリー核心部のネタバレ注意※

ここから、ストーリーの核心のネタバレとなります。ゲーム未プレイの方は見ないでください。

アカデミー・オブ・コンセクエンス

アカデミー・オブ・コンセクエンスで会ったフィラトヴァは、コレクティブ2.0の真実をP-3に伝えます。アカデミー・オブ・コンセクエンスは、各研究施設の成果が保管される施設ですが、コレクティブ2.0の実験もしていました。小さな立方体の生活スペースにボランティアの被験者がいました。

コレクティブ2.0は単に人間をネットワークにつなぐだけではなく、彼らの行動を支配することができるものでした。ソートデバイスでコレクティブ2.0に接続した人間は、P-3がたびたび経験したリンボ世界に飛ばされて、自我を失います。

更にフィラトヴァはチャールズの正体に気づきます。P-3の相棒だったチャールズの正体は、かつてのサチノフの共同研究者のザカロフ博士でした。人工知能ではなく、彼の人格を移植した手袋でした。

その後資料室に行き、P-3は自らの過去を知ることになります。

P-3の過去

P-3は元々KGBのエージェントでした。ゲーム中ではずっと独身と自分で言ってましたが、実はエカテリーナという妻がいて、彼女もまたKGBのエージェントでした。ともにアルジェントゥム部隊(Argentum unit)に所属していて、コードネームは「ブレスナ」。

ブルガリアのミッションで、エカテリーナは死亡、P-3は重傷を負いました。サチノフはP-3の治療のために、ヴォスホートという器具を彼の脳に埋めこみました。

P-3は失った妻への執着でたびたび暴れたため、サチノフは彼の中の妻の記憶を消しました。またサチノフは妻のエカテリーナのバレーと格闘技の能力を、双子ロボットに移植しました。移植したモチベーションはよくわかりません。

ヴォスホートという器具は、サチノフの命令一つで、P-3を精神世界に飛ばして、彼をコンバットモードに変えることができる、というものでした。たびたびP-3が経験した現象は、この器具によるものでした。

決戦チェロメ

真実を知ったP-3は、サチノフを直接問い詰めることにしました。

フィラトヴァとともに帰りのエレベーターに乗ったところで、彼は再び精神世界に飛ばされます。

目を覚ますと、P-3はジナばあさんに助けられていて、チェロメの上空に浮かぶ小島にいました。フィラトヴァはやはり意識を失った彼に殺されてしまい、P-3は激しく後悔します。しかしジナばあさんの叱責を受け、彼は最後の戦いに臨むことになります。

結局、Atomic Heartプロジェクトとは

サチノフのオフィスに入ったP-3を待ち受けていたのは、双子ロボのレフトでした。

エレベーター前での戦闘を終えて、エレベーターでサチノフのオフィスフロアに向かいます。その道中で種明かしがあって、Atomic Heartプロジェクトの説明がされます。

Atomic Heartはソ連共産党の中枢しか知らない極秘プロジェクトで、サチノフも関わっていました。

まず民間用ロボットを全世界に普及させます。そして普及率が高くなったところで、ロボットを一斉にコンバットモードに切り替え、原子力発電所を制圧します。このゲームの中のアメリカは現実より原発への依存が高い設定になっているので、原発の制圧によってエネルギー源を奪われる形になるようです。これによって、西側諸国を制圧して、共産主義を世界に広める……というのがAtomic Heartプロジェクトの真相でした。

エンディング

双子ロボットとの激戦の後、P-3はサチノフを追い詰めます。

しかし、サチノフはP-3の脳のヴォスホートは既に彼がコントロールしていないことを告白します。それをコントロールしているのはチャールズことザカロフだと告げます。

ザカロフは、人間というのは不完全だと考えていて、次の種として進化すべきだと考えていました。彼はデータバンクと融合して、究極の生命体として生まれ変わりました。そしてサチノフの机の上にある器具を破壊します。

この器具がなんだったのかは明かされないのですが、たぶんアルファコネクターなんだと思われます。

そしてP-3の薄れゆく意識は、再び精神世界をさまようことになり、そこで双子のライト(ジャケット着てる方)と会います。それはおそらく、彼の妻、エカテリーナが移植されたのを暗示していると思われます。

命の恩人として慕っていたサチノフに最愛の妻の記憶を奪われ、相棒だったチャールズには裏切られたP-3が、精神世界の中で束の間の救いを見た……というエンディングでした。

エンディング分岐

このゲーム、チェロメに乗り込む直前で、エンディング分岐があります。

上記で書いてきたのは、「戦闘エンド」の方のストーリーで、「逃亡エンド」もあります。

逃亡エンドを選ぶと、手袋からチャールズを引き抜いて、その場に捨てて、そのままP-3はバカンスに向かい、ゲームはエンディングを迎えます。

戦闘エンドの終わりを考えると、ある意味ではこちらがグッドエンディングなのかもしれません。

DLCに続く。

(了)

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