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甘納豆と三味線

昨日、京都の若手職人の会(わかば会)のご縁で、大先輩の三味線独演会へ伺った。

先日、お笑い芸人の東野さんが津軽三味線をはじめたら、店頭から津軽三味線がなくなったというニュースを思い出した。

ステイホームで、ウクレレも人気なんだとか。

東京で三味線のメーカーが廃業したというニュースもあった。

どんなきっかけでもあれ、三味線が身近になることは、伝統産業から見れば良いことだと思った。

そんな三味線、私は生で聴くのは30年生きていて初めてだった。

まず、三味線は津軽三味線だけではないということを教えて頂く。

竿(ギターでいうネック)の部分の太さで3種、細、中、太があり、音色が異なること。

御座敷では、細竿で弾くこと。

ほんとに知らないことばかり。

さてタイトルの内容、忘れないうちに書き残しておこうと思った次第。

甘納豆と三味線には共通点があることに気づきました。

それは、どちらも庶民の知恵(ハレに対してケ)から生まれ、今はハレ(非日常的なもの)になってきていること。

甘納豆は江戸時代末期、まだ手が届きにくかった甘いものを、より手軽に皆が楽しめるようにと、畔に生えていて菓子に誰も使っていなかったささげ豆を使い考案された。

一方の三味線も、生まれは江戸時代だそうで(思っていたより新しい)、お琴や琵琶がいわゆる貴族の楽器であるに対して、中国から入ってきたものを琵琶奏者たちが、日本オリジナルの形にアップデートした楽器なんだそう。

基本的には3つに分解が可能で(今でも)、昔の人たちが、三味線を持ち歩いて、どこでも演奏したいと気軽に思っていた様子が目に浮かぶ。

弦楽器で分解してしまうと、弦をそのたびに貼り直さないといけないし、それで音色も変わってしまうが、音の厳密さよりも手軽に持ち運びたいニーズが強かったんだろう。

御座敷など非日常的な、敷居が高い三味線だったが、大先輩(写真の方。本当は三味線の竿をつくる職人であるが、ご自身でも御座敷で演奏されたりもしているプロ)曰く、神社では三味線NGのところもある。なぜなら、三味線は庶民的なもので、平たく言うとカジュアル過ぎるから。お琴や平安時代からあるような楽器が、よりフォーマルだということ。

確かに、神社で三味線聴いたことない。

甘納豆と三味線、関係がないようで、どちらも江戸時代の庶民の知恵から生まれたもので、ものは違えど、元にある人の想いは似たものがあり、大変興味深かった。

江戸時代の良さを現代に生かそうという”エドノミー”という言葉があり、個人的にとても興味がある。

甘納豆が生まれた江戸時代を知ることで、甘納豆の未来も見えてくるように思う。

貴重な機会、そのご縁を頂いたわかば会と、そのように近くに色々な職人さんがいる土地柄に感謝したい。



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