部品配置の手順
基板設計の順序として部品配置→配線はよく知られることですが、部品配置自体の手順はあまり知られていないように思います。
その基本を紹介します。
(1)回路ブロックをまとめる
CAD上、基板領域の外で回路ブロックをまとめます。具体的にはリファレンス回路、または推奨レイアウトをデータシートで確認します。
たとえば下図の推奨レイアウトではチップ部品を近接配置する必要があるとわかります。その意味を考えながら、がポイントです。
もっと広義の意味、たとえばICとICの組み合わせ、ICとコネクターの組み合わせを回路ブロックと考えるのも良いです。
(2)コネクターを配置する
基本的にコネクターの位置は製品デザインによって決まっています。
ただし厳密には決められていないものや、製品内のI/Fが目的でまったく位置の決められていないものもあります。
それらのコネクターに対して、現時点では「このあたりに配置する」というイメージを持ちます。ケーブルの行き先を考える、基板上の配線が短くなる位置を考える、などです。
作業性を考えると基板端が良いですね。
デジタルとアナログが交差しないように気を付けてください。
デジアナ分離の観点で、明確にデジタルとアナログは分けます。
コネクターのみではどちらの回路に属するものか分からないので、回路を読み解く必要があります。
(3)大きな部品を配置する
マイコンは基板中央に「とりあえず」配置します。
マイコンの角度は、位置が決まっているコネクターとの配線が短くなる角度や、他の大きな部品(メモリーや位置の決まっていないコネクターなど)を配置する場所を考慮します。
(4)他の部品を配置する
ここまでの作業で他の部品、たとえばロジックICやバッファーIC、コンバーターやレギュレーターなどをどこに配置するべきか自ずと決まってきます。
最初の作業で配置ブロックをまとめています。(4)の作業では品質を守った上でブロックを崩しつつ基板内に配置していきます。
「入らない!」という問題はここで起きますね。(3)ではマイコンを「とりあえず」配置しただけなので、必要に応じて左右上下にマイコンを少し移動してスペースを作ります。
冷却にFANを使う場合は流路からずれないように気を付けてください。
同一電源同一GNDにある部品はまとめて配置します。
もし配置の都合で異電源が交差する場合は設計する基板の層数を考えます。
(5)その他
配線を可能にするために、バス配線や高速シリアル配線があればそのスペースを確保することも重要です。
また部品の用途によって注意するべき点は多々ありますので、データシートや回路を読み解いてください。
基板設計はルールを変えることのできるパズルです。
自身にしかできない設計をどうぞ!
(2023.2.24)
続編を投稿しましたのでそちらもどうぞ。
https://note.com/toroa_catch_me/n/ndc257c12f781
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?