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志村けんの死が人々の感情に与えた影響は一週間くらいしか継続しなかったかもしれない話

緊急事態宣言から一週間が経過しました.在宅勤務にもだいぶ慣れてきて,環境も整ってきました.しかし,4月15日現在感染者が減る様子もなく,なかなか厳しい戦いです.

志村けんさんの死去によってだいぶ人々の心に恐怖心が戻ってきたはずなのに,接触率80%減はまだまだ実現できていないようです.

というわけで,4月に入って2週間,人々の感情がどうなったのか再調査してみました.ここでは,恐怖の感情だけについてだけ見てみましょう.

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厭の感情は上昇しているようですが,怖の感情はほぼ3月上旬のレベルまで戻ってしまっています.およそ4月8日あたりから大きく減少してしまっていました.

では4月2日から4月13日の間に恐怖心はどのように変化したのでしょうか.「怖」の感情語が含まれるツイートに出てきた単語数を調べてみました.

まず,3月20日,4月2日,4月13日で恐怖とともに語られた単語のトップ10を見てみます.

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​3月20日と4月13日では,ぱっと見大きな差はないような気がします.ただ4月13日のほうが病院,自粛,影響などの言葉は増加しているようです.特に,新型コロナウイルスなどの言葉がトップ10から消えていることから,恐怖心の対象が単にコロナウィルスを怖がるというところから,他のことに移ってきているのかも知れません.
4月7日に緊急事態宣言が出たことから,コロナウィルスは日常となり,それに伴って生じる問題に対する恐怖心が大きくなった可能性があります.

次に,4月2日に出現割合上位50単語の,4月13日での出現割合を見てみましょう.

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ほとんどの言葉で出現割合自体が減少していることがわかります.つまり,恐怖の感情語が減少しただけでなく,4月2日の時点で恐怖の対象となっていた単語が,4月13日の段階では恐怖の対象として出現しづらくなったということになります.つまり,これらの単語に関連する内容を怖がらなくなったといえるでしょう.

数少ない上昇した単語の中には,病院,自粛,検査,大変,終息,患者などがありました.病院,患者,検査などは4月2日までにはあまり出現していなかった単語ですから,病院関係の状況を怖がるツイートが増えてきたということかも知れません.これには,病院内クラスターがあちらこちらで見受けられるようになったことが影響していそうです.

このような,恐怖感情のツイートに含まれる数が上昇した単語の数は少ないです.ここにはデータの取り方が関係しています.今回とっている単語は,出現数ベスト100です.つまり数多く出現する単語の割合が減っているということなのです.逆に言えば,恐怖の感情とともに出現する単語が多様になってきたと言えそうです.つまり,恐怖の対象が色々なものになってきたということではないでしょうか.

さて,ここで少し気になったのが,マスクという単語の出現率が大幅に減少していることです.ここで,マスクや手洗いなどの感染症対策にかかわる単語がどの程度出現しているのかを確認しました.

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いずれの単語についても,3月20日はあまり出現していなかったのが,4月2日にはその数が増加してにもかかわらず,また大幅に減少してしまっていることがわかります.4月2日にこれらの対策語が大幅に増加していたのは,新型コロナに対する恐怖心から対策を取ろうという思いが出たと考えられます.しかしながら,志村けんさんのショックから2週間ほど経過し,恐怖の感情と感染症対策が同時に出現する量が大幅に減ったのは,やはり恐怖心を持続させるというのは難しいのかもしれません.

一日ごとにどんな単語が「怖」の感情と出現しているのかを見る場合は以下のページをご覧ください.

3月20日と4月13日で比較するとこんな感じ.

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「心配」「不安」という単語が多いのはもちろんですが,仕事,病院,自粛などが増えていることが確認できます.

緊急事態宣言後も新型コロナ感染者数があまり減少していない状況下,もしかすると在宅勤務や外出自粛が長期化する可能性もあります.そんな時,人々がどんな心理状態で日々を過ごすのか,ソーシャルメディアからわかるところを今後も分析して行ってみたいと思います.

もし,「自分ならもっとうまくできる!」という方がいたら,是非ご連絡を.一緒に研究をしてくれる仲間を募集しています.


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