見出し画像

セ・リーグ2024順位予想

 今年もプロ野球の季節がやってきた。

 昨季は38年ぶりに阪神が日本一を達成。岡田監督の下で選手たちが自分の能力を十二分に発揮した中で掴んだ栄光だった。

 今年も最年長の岡田監督や、チームの顔であった三浦監督や新井監督、ミスタードラゴンズ・立浪監督などの面々に、今季から新たに巨人の黄金時代を大黒柱として支え阿部監督が就任。個性豊かなチームが揃う2024年のセ・リーグを占っていくことにしよう。

 また今季の順位予想ではチームの順位を左右する、今季の活躍に特に大きな期待がかかる選手を「キープレーヤー」として、逆に今年が一軍の出番を守ることができるか正念場の選手を「崖っぷち選手」として紹介する。

1位 阪神

【個人的ベストオーダー】
8近本
4中野
9森下
3大山
5佐藤輝
7前川
2坂本
6木浪
1村上

【総評】
 昨季優勝チームの実力は今季もやや抜きん出ているか。
 上位打線はやや破壊力に欠けるものの、1,2番が塁に出て掻き回し、クリーンアップが走者を返す昨季同様の得点の仕方が出来れば着実に勝利を収めることが出来るだろう。「6番・レフト」「7番・キャッチャー」のレギュラー争いが加熱しているが、現状前川と坂本がリードか。
 自慢の投手陣は今季も健在で、先発ローテーション・勝ちパターン・守護神いずれの争いにおいても若手のアピールが続いている。特に目を見張るのが先発の1枠を争う高卒2年目のサウスポー・門別啓人だ。自慢の直球を活かしたクロスファイヤーは岡田監督のお墨付き。変化球の精度はまだまだ発展途上で、今後の成長に期待が集まっている。また、トミージョン手術から復帰を目指す「ガラスのエース」こと髙橋遥人の復帰も待たれる。和田二軍監督も今季の髙橋の投球を絶賛しており、一軍のマウンドに帰ってくる日もそう遠くないはずだ。

【キープレーヤー】前川右京

 先述したが今季の打線の重要なポジションを担うのは前川右京である。
昨年の「6番・レフト」のポジションはノイジーが担っていたが、今季は若手や外国人などが熾烈なレギュラー争いに挑んでいる。
 その中でここまで実戦でアピールを続けているのが高卒3年目の若武者・前川である。サムスンとの練習試合ではホームランを放つなどここまで安定して結果を残しており、野口や井上、ミエセスらといったライバルにはややリードしている形か。以前から定評があったバッティングに加えて、2年ぶりに練習を再開したレフトの守備でもまだまだ伸びしろを感じさせる前川。彼の見せるエネルギッシュなプレーに虎党が酔いしれるのもそう遠くないかもしれない。

【崖っぷち選手】島田海吏

 本当は中堅選手を多数挙げたかったが、その中でも今季出場機会を奪われる可能性が特に高いのが島田だと個人的には考えている。
 2022年シーズンは打率が安定し、スタメンでも代走でも起用され21盗塁を記録し、層が薄かった外野陣を支えたが、昨季は打率が低迷し、守備でもミスが見られるなど目立った活躍を残すことができず、今季は二軍キャンプでスタートすることになった。
 その一方で、島田と同じく俊足が武器の育成2位ルーキーの福島圭音が一軍キャンプに追加招集されており、首脳陣から注目を集めている。勿論まだまだ二軍でプロのレベルに慣れていく必要があるとは思うが、脚力は既にチームトップクラスであり、盗塁のコツなどを掴むことができれば早期での支配下登録・一軍昇格も見えてくる。島田は先輩の意地を見せることができるか。

2位 巨人

【個人的ベストオーダー】
8佐々木
6門脇
5坂本
3岡本和
9秋広
2大城
7丸
4吉川尚
1戸郷

【総評】
 新生ジャイアンツは即戦力の補強で今季の飛躍に繋げることができるか。
 昨季リーグ最多本塁打を放った豪快な打線は、得点効率を重視した緻密な打線へとモデルチェンジした。特に阿部監督が重視するのがバントで、確実に1点を取りに行く野球を目指しているがその結末はどうなるだろうか。きっと今年の順位がその考えが正しかったかを証明してくれることだろう。
 さらに昨季に比べて大きく変わったのが投手陣。首位阪神から新たに馬場皐輔とケラー、さらにトレードでソフトバンクから泉圭輔と高橋礼、ドラフトで西舘勇陽や又木鉄平など即戦力を多数獲得。捕手出身で投手の事情にも精通している阿部監督が連日アドバイスを送り、少しづつ実戦でもその効果が見られつつある。打線の強みに投手陣の活躍が加われば、王座奪還も見えてくるはずだ。

【キープレーヤー】佐々木俊輔

 現状未定のリードオフマンの最有力候補となっているのが、ドラフト3位ルーキーの佐々木である。
 日立製作所の出身で社会人日本選手権でホームランを打ったこともある豪快なバッティングに、俊足・強肩を兼ね備えた選手であり、レギュラーが未定の中堅手候補として松原やオコエらとそのポジションを争っている。
 阪神・近本光司のような活躍を期待する声もあるが、もし同じような結果を残すことができれば間違いなく大きな戦力アップであり、優勝にも近づくだろう。

【崖っぷち選手】吉川尚輝

 逆に今季一軍での出番が減ってしまう可能性があるのが吉川である。現状、二塁レギュラー最有力候補となっている一方、守備は抜きん出ているがバッティングに関してはここ数年安定した結果を残すことができていない。
 しかし今季新たにルーキーの泉口友汰がここまで高評価を残しており、吉川を押しのけて二塁で試合に出る可能性も示唆されている。他にも増田陸・中山などライバルは少なくない。副主将として迎えた昨季は結果を残すことができなかったが、その名に恥じない活躍を期待したい。

3位 ヤクルト

【個人的ベストオーダー】
8塩見
7西川
9サンタナ
5村上
3オスナ
4山田
2中村
6長岡
1小川

【総評】
 チーム全体で故障に苦しんだ昨季からの王座奪回を誓う。
 昨季はリードオフマンの塩見泰隆、主将の山田哲人など打撃陣に故障が相次ぎ、元三冠王の村上宗隆も本塁打数が大幅に減少するなど、自慢の打線が鳴りを潜めた。今季は新たに楽天からスピードスター・西川遥輝が加入し、チーム全体で走って打てる野球の浸透を目指す。
 さらに投手陣では流出が懸念されていた守護神・田口麗斗の引き止めに成功。さらにドラフトで複数の即戦力投手を獲得。大ブレイクが期待されていた奥川恭伸は復帰にまだ時間がかかりそうだが、なんとか打線の援護を生かしきることができる投手陣を形成していきたいところだ。

【キープレーヤー】西川遥輝

 先述したように自由契約で加入した西川がヤクルト打線の新たなスパイスとなるだろう。
 前所属の楽天からは加入から2年で退団することとなったが、二軍では打撃面で結果を残しており、その実力はまだまだ健在だといえる。
 ポジションの兼ね合い上、本職の左翼に加えて守備に難があるサンタナ次第では右翼での出場も見込まれる。2018年にMLBから復帰した当時の青木宣親のような、走攻守全てに秀でた2番打者となることができれば、1番の塩見とともに脚で掻き回し、クリーンアップにチャンスで回すことが出来るのでは無いだろうか。強打のヤクルト打線に、西川が新たな風を吹かせる。

【崖っぷち選手】山田哲人

 主将を務める山田だが、ここ数年は安定した成績を残すことが出来ていないのは事実である。
 史上初の3度のトリプリスリーを達成したスーパープレーヤーも、2021年頃から自慢の打撃に翳りが見え始め、率と本塁打の両方を残すバッティングが出来なくなってきた。その後打撃成績は下降を続け、昨季は故障の影響もあり規定打席に達することも出来なかった。さらに、若手ではポジションの被る北村恵吾が満塁弾となるプロ初本塁打を放ち、赤羽由紘や武岡龍世などもファームでアピールを続けている。さらにドラフトでは大型ショートである明治大・宗山塁を獲得し二塁にコンバートさせる構想も。山田だけでなく、守備に定評こそあれど打撃に難がある若手遊撃手の長岡秀樹も背筋を正す思いでいることだろう。スターの復活を野球ファンは待ち望むばかりだ。

4位 中日

【個人的ベストオーダー】
4田中
8岡林
9細川
5石川昂
3中田
7鵜飼
2木下拓
6龍空
1髙橋宏

【総評】
 立浪ドラゴンズは2年連続最下位からの逆襲を狙う。
 得点力不足に喘いだ打線に巨人から中田翔が移籍。さらに、昨季固まらなかった二遊間もドラフトで補強。レギュラー未定の外野両翼を固めるべく新外国人・ディカーソンも補強し、オーダーの選択肢が大幅に増えた。長打力にはやや欠けるものの、流れが良く、得点を重ねられる打線を目指す。
 元々盤石だった先発陣にも若い芽が出始めている。昨年のWBCにも出場した髙橋宏斗が更なる飛躍を目指してフォームを変更するほか、投手に転向して3年目のシーズンとなる根尾昂や、トミージョン手術から復帰した梅津晃大らもローテーション定着を狙う。さらに中継ぎ陣も齋藤綱記が球の出どころが見えにくいフォームを習得し、松山晋也や清水達也、R・マルティネスらと若い勝ちパターンの形成を狙う。投手王国を築き、長い暗黒時代の夜明けを告げるようなシーズンにできるか。

【キープレーヤー】中田翔

 先述したように、クラッチヒッターで実績のある中田の加入は打線に大きな影響をもたらすことは間違いないだろう。
 昨季、ファーストのレギュラーは主にビシエドが務めたが、打撃成績の衰えは隠せなくなっており、チャンスで打てない場面が数多く見られた。
 そんな場面を減らすべく、打点王の獲得経験もあり、打率こそ低いものの勝負強さに定評のある中田の獲得に踏み切った。立浪監督も5番を任せる構想を明らかにしており、契約交渉の場にも直接出向くなどかなりの期待をかけている。新天地での再起を願うファンの期待を一身に背負うヒーローが燃えないわけが無い。

【崖っぷち選手】高橋周平

 中田と対照的にここ数年若手の台頭に苦しんでいるのが高橋周である。かつての三塁のレギュラーは地元出身の大砲候補・石川昂弥にその座を追いやられ、今季は二塁での守備練習も。元々打率を残せるバッティングが特徴だったが近年は打率も低迷し、昨季はついにホームランが0本に。二遊間を本職とする若手もチームに増えてきただけに、持ち前のバッティングを活かして何とか一軍での出場機会を確保したいところだ。

5位 広島

【個人的ベストオーダー】
9野間
4菊池
8秋山
3シャイナー
2坂倉
7田村
5林
6小園
1床田

【総評】
 幾多の戦力の流出で欠けた穴を埋められるか。
昨オフにFAで西川龍馬(オリックス)が移籍、さらに一昨年4番を打ったマクブルーム、昨季19本塁打を放ったデビッドソンが退団。打撃陣に大きな打撃を与えたことは間違いない。ただ、希望の光もある。高卒3年目の田村俊介が猛アピールを続けており、西川の穴を埋めようとしている。さらに内野では、二人の新外国人(シャイナー、レイノルズ)を獲得。やや長打力が弱点ではあるが、脚を生かした繋ぐ野球で着々と得点を重ねていく。
 さらに中継ぎ陣では、昨季22ホールドを記録した高速左腕・ターリーが自由契約に(のちに楽天へと移籍)。新たな勝ちパターンの確立が課題ではあるが、新たに若手投手が芽を出しつつある。先発陣ではドラフト1位・常廣羽也斗などのルーキーに、先述した西川の人的補償で入団した日髙暖己や昨年のドラフト1位・斉藤優汰など将来のエース候補も多く、また中継ぎでもドラフト3位・滝田一希などの若い即戦力も揃う。投手力を活かした締まったゲームを繰り広げていきたいところだ。

【キープレーヤー】田村俊介

 先述したように、今季大きな期待を背負う若武者が田村である。
愛工大名電高時代は二刀流として活躍した田村だったが、プロ入り後は外野手一本で勝負。それからというもの、田村のバッティングセンスは知れ渡るようになり、実際に二軍でも結果を残していった。昨季はシーズン終盤の一軍10試合の出場にとどまるも、持ち前のセンスを思う存分見せつけた。
 西川にとどまらず、「孤高の天才」と称される球団OBの前田智徳を超えると期待されており、3月に招集される侍ジャパントップチームのメンバーにも招集された。田村が広島の救世主となるのはもはや時間の問題だ。

【崖っぷち選手】宇草孔基

 そんな田村と対照的に出場機会の減少が見込まれる選手の一人に宇草が挙げられる。
 田村とは外野のポジションが被っており、さらに守備に難があるため試合途中からの起用が計算しにくい。またライバルは田村だけではなく、大砲候補の末包昇大や中村貴浩、守備に定評のある中村健人、さらには脚力が武器の大盛穂や本職は内野だが外野も守れる羽月隆太郎など個性豊かな選手が揃っており外野のポジション争いは熾烈である。即戦力として入団して5年目を迎えるだけに、そろそろ結果を残せないと厳しいオフを迎える可能性もある。

6位 DeNA

【個人的ベストオーダー】
8桑原
9度会
7佐野
4牧
5宮﨑
3オースティン
2松尾
6石上
1東

【総評】
 昨季に比べて大幅な戦力ダウンは否めない。
打撃陣では、本塁打王を2度獲得したソトが退団(ロッテへ移籍)。かねてより下位打線の弱さが指摘されていたが、それがさらに深刻化してしまった。
ただ捕手陣では山本祐大が打率を残せるようになり、また松尾汐恩も二軍で猛アピール。ハイレベルな正捕手争いが下位打線を盛り上げていく。
 さらに野手陣に比べてさらに戦力ダウンしたのが投手陣で、エース・今永昇太がポスティングでMLB・カブスへ移籍。さらに元サイ・ヤング賞投手のバウアーがMLB復帰を目指し現状浪人状態となっている。中継ぎでも、長年ブルペン陣を引っ張ってきたエスコバーがMLB・カブスへ移籍。投打ともに、新しいパターンを作っていくところから始める必要がある。

【キープレーヤー】度会隆輝

 暗いニュースばかりが続くばかりのチームに新たな光が差し込んできたとしたら、おそらくそれは度会のバッティングだろう。ENEOSからドラフト1位で入団した度会は、ミート力の高さが魅力で、その実力は六大学の天才・高橋由伸に例えられるほど。
 昨季はライトのポジションは主に関根大気が守ったが、非力な打撃と随所に見られる守備のミスでレギュラーの座は安泰ではない。その座を奪い取ることができるか。

【崖っぷち選手】大田泰示

 度会と対照的に苦戦を強いられている外野手を挙げるとすれば大田泰示になるだろう。
 日本ハムから「ノンテンダー」で移籍してから2シーズンを終えたが、レギュラー獲得には至っておらず、蛯名達夫などの若いライバルに出場機会を奪われる日々が続いている。そんな状況でさらに度会が加入。出番の減少は必至と言えるだろうか。
 同じ経緯で日本ハムから楽天に移籍した西川遥輝は昨オフに退団となったため、来季もこのような状況が続けば大田がリリースされる可能性もゼロではないだろう。豪快なバッティングと華麗な外野守備が取り柄だが、今のところそれらを完全に発揮できているとは言えない。厳しい立ち位置からのスタートになることは間違いないが、背番号にも込めた「0」からのスタートで横浜のファンに全力プレイを見せつけてほしいものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?