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「二塁・佐藤輝」で広がる可能性

矢野監督が大胆なスタメン変更を行った。

開幕4番に内定している佐藤輝をプロ入り後初となる「4番・セカンド」で先発させた。

"佐藤輝のセカンド守備はここ数日前に練習を開始したばかり"という報道だったが、まさか開幕を控えたこの時期に本当に試してくるとは思っていなかった。

しかし、翌日にはオーダーを元に戻したあたり、あくまでサブとして考えているのだろう。

今回は、仮に「セカンド・佐藤輝」が定着した場合、チームに与える影響について考えてみよう。

メリット

・糸原を本職三塁に回せる

現在二塁のレギュラーである糸原は守乱が酷く、12球団の二塁レギュラーと比べて守備指標では軒並み最下位を記録している。
しかし、糸原の元々の本職は三塁であり、平均的には守れ、かつある程度安定はしている。
本来なら三塁守備に定評のある佐藤輝を起用したいポジションだが、こうして起用の幅が広がるのはチームにとってプラスとなるはずだ。

・ドラ1で大卒二遊間を獲り損ねた時の被害減

今年のドラフトの目玉は、大卒野手だと言われている。
上位指名されるような大卒野手は1年目からそれなりに結果を残すような選手が多く、また稀に牧秀悟(横浜DeNA)のようにクリーンナップに定着するような選手もいる。
阪神が今年指名したい選手は、二遊間を守れる選手だ。
主な候補は、山田健太(大阪桐蔭高ー立教大)、奈良間大己(常葉大菊川高ー立正大)の2人である。
山田はパワーヒッターといった感じであり、セカンドの守備は普通という評価。浅村栄斗(東北楽天)のような姿が完成系となるだろう。
対して奈良間は走攻守三拍子揃っており、本塁打こそ多くはないがフルスイングから放たれる外野への強烈な打球が魅力的である。俊足を活かした走塁や遊撃守備(サブとして二塁も守れる)も魅力的で、菊池涼介(広島東洋)のようなプレースタイルだと個人的に感じている。
どちらも非常に魅力的な選手だが、おそらく競合が予想される。万一外した場合、阪神にとってこれは大きな痛手となる。こうした最悪の事態が起こっても、佐藤輝が二塁を守れれば被害は最小限に抑えられるのではないだろうか。

デメリット

・コンバートが原因で不振に陥る可能性も

環境の変化に人間は弱いといわれているが、それはもちろん野球選手も同じである。
三塁から二塁へのコンバートとなると守備負担は増えるというのが通説であり、このコンバートで実際に鳥谷敬(元阪神)は不振に陥った。
解説者の今岡誠氏(元阪神)は「(内野全ポジションの中で)二塁が一番守りやすかった」と言っているが、吉と出るか凶と出るかは誰にもわからない。

・ドラフトで二遊間獲らない可能性もある

先述した通り阪神は即戦力のセカンドが不足している。しかし、このコンバートに首脳陣が味をしめたら、ドラフトで二遊間の競合に割って入ることが無くなる可能性もある。
あくまでも大きすぎる穴を一時的に埋めるだけなので、さすがにその穴は何とか埋めて欲しいが…

メリットかデメリットか分からない

・糸原が守っていた頃より守備力がUP or DOWN

佐藤輝はまだ1試合しか実戦でセカンドを守っていないため、これだけで守備力が向上したか否かを測るのはできないだろう。
ただ、今日の試合では3回の打球処理も、うち1回の5-4-3の併殺の中継も全て難なくこなしており、また肩も強くスローイングも落ち着いており、今後も安定して併殺を取れる能力はあるだろう。
次期監督候補と目されている今岡誠氏は、併殺が取れない糸原の二塁守備を間接的に批判しており、氏が監督に就任した際はセカンドのレギュラーの座も揺らぐ可能性が高い。今岡政権が始まったらすぐにでも一度コンバートしてみてほしいものである。

ドラフトやFA戦線にも影響?

先述したようにセカンドを守れる大卒や社会人の選手が今の阪神には最優先で必要だと思われるが、このコンバート次第ではその悩みがなくなる可能性もある。
実際のところ、阪神は近本の後継者としてセンターを守れるリードオフマン候補が欲しいというチーム事情もある。ハズレ1位や2位以降で優先的にそれに該当する選手を指名する、という選択肢が持てると余裕があって良いのではないだろうか。
また、最悪先述した1位候補の2人が獲得出来なくても、阪神の補強ポイントにとても合った中村奨吾(ロッテ)が今季中にFA権を取得する予定だ。ここで中村を獲得出来れば非常に大きい。もし移籍から5年程度で衰えが見えてきたとしても、遠藤や高寺などといった若手の二遊間候補が大成するまでの穴埋めとして活躍してくれればいい、というのが本音だろう。

今後もタイガースのセカンド争いに目が離せなさそうだ。

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