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今こそ若手を使う時

夏に入り、一軍メンバーに変化が現れてきた。

6月に入り、島田がスタメンに定着してきた。まずまずの成績を残しているが、それでもやはり打線の強さが戻らない。

4番の佐藤輝は甲子園では約3ヶ月間アーチを描いておらず、またその代わりとして期待されたマルテも故障で再度リハビリ組へ。そんな中で陽川、北條などの中堅組がスタメンに連日名を連ねているが、これに「待った」をかけたい。

体たらくな中堅野手組

金本政権時代から本格的な若手育成に舵を切った阪神だが、その当時「金本チルドレン」と呼ばれた若手組の現在は決して良いものでは無い。

特に、投手陣はかなり整備されてきた感はあるが、問題は野手陣である。

圧倒的な守備走塁と細身な身体に秘められた強烈なパワーが持ち味の江越も、バットにボールが当たらず、永遠に二軍でボールと友達になる訓練を続けている。

鳥谷から正遊撃手を奪取し、持ち前の長打力で次代のレギュラーと期待されてきた北條は、18年、19年こそ好調だったがどちらも大半を怪我で棒に振っており、なかなか安定した活躍ができないまま中野に完全にレギュラーを奪われ、その後は一軍の枠潰しと化している。

金本政権最終年に4番を任されるなど飛躍が期待された長距離砲候補だった陽川も、20年以外は一軍での成績が安定せず、二軍に甘んじる日々が続いている。

また、「打てる捕手」として台頭した後に代打の切り札として活躍した原口も、がんから復帰した19年こそ代打で好成績を残したものの、それ以降代打でも打てなくなる日々が続いており、また怪我で捕手を守ることも出来なくなり、陽川たちと共に永遠の"二軍調整"をしている。

この辺りから分かるように、熊谷、島田、植田など自分の脚で役割をしっかりと果たしている中堅がいる一方で、打撃を売りにしている中堅が軒並み二軍で過ごしている。これでは打線が弱くなるのは自明だろう。

今年は育成にシフトするべき

今季は開幕から最下位を走っていたがいつの間にか5球団で毎日順位が入れ替わるところまで来た。ここまで来たらCS、あわや日本シリーズまで狙いたいところだが、正直今季はヤクルトが独走している以上難しく、諦めるべきではないかと思う。

と同時に、中堅に最低限の仕事をさせてまでして得たAクラスに意味は無いと思う。

それなら、若手に今は一軍での経験を積ませて、来年以降の飛躍に期待する方がよっぽど価値のあるシーズンになると思う。


ここで、ベンチに是非とも置いて欲しい若手を、替えて欲しい中堅の名前と共に紹介する。

①井上広大(↔陽川尚将)

ここで紹介するまでもない、未来の4番である。
ただでさえファンは一刻も早く井上を一軍で固定して欲しいと願っていたところだが、ここにきて二軍でかなりバッティングの調子が上がってきた。また一軍では、外野ではレフトが固定し切れない状況で、かつライトの島田も調子が下がり目ときた。
本当は前川(故障中)や豊田などにも固定の機会を与えたいところだが、今のチームに足りないのは長打力というところを考えると、外野両翼を守る大砲タイプである井上を優先して固定していきたいところである。

②高寺望夢、遠藤成(↔北條史也)

2人とも主に二遊間を守る選手であるが、タイプはまるで違う。
高寺は主に卓越したミート力が売りの選手。ただ守備走塁やパワーなどにはまだまだ伸びしろがあるといったところか。
一方の遠藤はパワフルなバッティングが持ち味だが、打率の安定感とホームランの数には課題が残る。しかし圧倒的な肩を生かした守備が魅力的である。
2人とも2年目、3年目とまだ若いが、既に小幡というライバルには1歩リードされており、また今オフには二遊間を主戦場とする即戦力の選手がドラフト候補に多数居るだけに今季中にアピールをしておきたいところ。
北條が現状不調ということもありぜひとも入れ替えて山本や糸原と同様に度々スタメンで使っていきたい。

③小野寺暖、豊田寛(↔板山祐太郎)

共に攻守にバランスのとれた外野手である。
そしてなぜ板山が今一軍に居るのかも正直よく分からない。おそらく二軍で調子が良かったからだと思われるが、それなら彼より打率が高い小野寺を上げるべきではないかと思う。
2人とも今年で25歳の年。今オフは有望な外野手がドラフト候補に多く、また筒香嘉智、西川龍馬などの獲得に動く可能性もあるだけに今季ぜひ一軍で見ておきたい。

オフの補強次第では今後に暗雲も

今回、主に二遊間と外野について述べたが、これらは今季穴となっているポジションであるとともに、今オフ補強に動く可能性のあるポジションであることを忘れてはいけない。

二遊間では、ドラフトでは山田健太(立大)、奈良間大己(立正大)などの大型即戦力の上位指名に動くと思われ、またここで彼らを獲得出来なかったとしても、FAで外崎修汰(西武)、中村奨吾(ロッテ)の獲得に動く可能性もあり、決して安泰なポジションとは言えない。

また外野では、浅野翔吾(高松商)など高卒の有望株がドラフトを迎えるのに加え、筒香嘉智(パイレーツ)、西川龍馬(広島)の獲得に動く可能性もあり、またドラフト候補である「四国のドカベン」こと兵頭英斗(大洲農)やFA権の取得が見込まれている森友哉(西武)といった大型捕手を獲得し、もしかしたら外野にコンバートさせる可能性も0ではない。また怪我をしている前川も控えているなどライバルは多い。

彼らの今季の出来次第で、今後のチーム、また彼ら自身のキャリアに大きな変化が起こることは必至だと言える。自分自身の野球人生を賭けたサバイバルを制すのは一体誰なのだろうか。勝負の夏に目が離せない。

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