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岡田監督と選手

来たる3月31日、新生岡田阪神が開幕する。

最後の優勝監督として迎えられた岡田監督だが、現状を見る限り理想通りのチーム作りが出来ているようには思えない。

就任時のビッグマウスは影を潜めたが、その背景を振り返っていこうと思う。

戦力の過大評価

仕上がらない先発陣

 岡田監督にとって誤算だったものと言えばまずは先発陣であろう。エース青柳は直近の登板で打ち込まれ、貴重な先発左腕の伊藤将は故障で開幕アウト。ホープ枠だった西純や才木などもここまでピリッとしない結果が続き、新外国人のB.ケラーは炎上続きで二軍落ち。昨季は12球団で一二を争っていた先発陣に不安要素が多く見られる。

 挙句の果てには青柳のクイックについて岡田監督が苦言を呈し、翌日直接面談するなど選手との距離感を指摘する声も。青柳も実際に記者の質問にノーコメントを貫くなど両者の関係は決して良いとはいえない状況だ。青柳に関しては、自分の弱点をコーチと二人三脚で自己流のやり方を見つけることで克服してきた。岡田監督は青柳のエースとしての実績を認めており、口を出さないと公言していただけにこの出来事は波紋を呼んだ。

主砲への不満

 先発陣以外にも岡田監督が不満をあらわにしたのが4番、5番を打つ大山と佐藤輝だ。
大山は例年春先はあまり調子が良くなく、徐々に調子を上げていくタイプだが、数年間4番を打ってきた大山は自分の調整法を知っている。焦らなくてもそのうち打ってくれるだろうという安心感があるが、岡田監督はこの時期から結果を出すことを求めている。
というのも、ここまで大山が不調に陥っていたのは、岡田監督に秋季キャンプで教わった前捌きのバッティングが合わなかったからと考えられている。実戦の中で徐々にこれまでのフォームに直して何とか調子を戻してきているが、自分が教えた打撃理論で結果を残せていなかったのに批判していた岡田監督とは一体、と考えさせられる。

 また佐藤輝に関しても同様だ。体力の強化を掲げ、大山と同じく岡田監督に秋季キャンプで打撃理論を教わったが現状それがハマっているとはいえない状況だ。佐藤はこれまで身体の近くに引き付けて打っていたが岡田監督は前で捌くことを推奨している。しかし前で捌くということはボールを長く見ることが出来ないというデメリットがあり、パワーで押し込んでいた佐藤の打撃には合わない。
佐藤は自分の打撃を極めるべく同じ打ち方をする柳田悠岐(ソフトバンク)の元で自主トレをしたがこれにも岡田監督はチクリ。ここまで2年間結果を残してきた佐藤にとっても良い思いをしていないのは間違いないだろう。

 元々この2人を4番一塁、5番三塁で固定することを第一の構想として掲げていたものの、岡田監督は実戦での結果が良くないこの2人のスタメン剥奪も示唆しており、発言の一貫性のなさに批判が起こっている。

二遊間争い

 昨季ショートでベストナインを獲得した中野をセカンドにコンバートした岡田監督。元々セカンドは供給過多だった一方で、ショートの層の薄さが問題視されている。

 中野がWBC日本代表に派遣されている間に主にセカンドを守ったのが渡邉諒。昨オフに日本ハムからトレードで移籍してきた右の強打者はオープン戦では打率3割越えと猛アピールに成功。一方で守備が不安視されているが、ここまで打っている選手を控えにするほど野手は豊富では無い。

 その一方で開幕ショート争いは小幡が木浪に勝ったが、小幡も単打を打つ技術や強肩を持ち合わせているものの極端な長打力不足と雑なプレーの多さが問題視されるなどどうしても中野に総合力では劣る。それなら、中野をショートにしたままセカンドで渡邉やファームで猛アピールを続ける山本らを使えば良かったのでは、との声も多い。

 先述したように中野が埋まるまでのセカンドは糸原、山本、木浪、植田、熊谷など流動的であったが、彼らをセカンドに置いてショートで中野を使う方が総合力としては高いだろう。またもし中野をコンバートするにしても、一軍半の小幡と木浪がオフで一気に成長するとは考え難く、ドラフトやFAでショートを補強して欲しかった気持ちが強い。特に昨オフには田中幹也、福永裕基(ともに中日)、奈良間大己(日本ハム)など1年目からレギュラーを張れるような選手も多く、是非とも指名に踏み切るべきだったと痛感させられる。これは昨季はチームを外から見ていた岡田監督が現有戦力を過大評価していたと考えざるをえない。

 ここに挙げた選手の他にも、パンチ力が魅力の近本にボテボテのゴロでの内野安打を求めるなど支離滅裂な発言が最近続いている。

余裕はどこへ?

 岡田監督は典型的な関西人気質。元々「どうしても負ける試合は置いておいて、接戦の試合を勝てるように」と語っていたように目先の結果云々でブレるような人では無い。実際にキャンプまでは余裕の表情を浮かべていた。
 しかし、実戦が始まると勝った試合は大量リードばかりで接戦は軒並み落としている。これには余裕を見せていた岡田監督も目先の勝敗を気にするようになり、焦っているようなコメントが明らかに増えた。

 昨季までチームを外から見ていた以上どうしても戦力の見誤りは仕方ないところではあるが、逆にそこまで戦力があれば昨季もシーズンを負け越して終わることもなかったであろう。なぜそのような結果になったのかを全く考えられていないと言わざるをえない。

 ただでさえ選手とは親子どころか孫とも言える年齢差の岡田監督。考え方に違いはあれど、その違いを認めチーム力の向上に向け意見をアップデートしていくことが重要なのではないだろうか。

 人の振り見て我が振り直せと言うが、我々も岡田監督のようにならず自分の考えが正しいか否かを考え、時には自分自身が変化していけるような人間でありたいものだ。

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