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『魔の山』トーマス・マン

実際私たちが死ぬということは、死んでいく当人よりも、むしろ後に残るひとびとにとっての問題なのである。ある機知に富んだギリシアの哲人はこういっている、私たちが生きているかぎり死は私たちにとって存在しないし、死の来たるとき私たちは存在しない、したがって私たちと死の間にはいかなる現実的な関係も成り立たない、死は私たちにとってだいたい関係のないものであり、せいぜい世界と自然とに関係があるといえるだけである。ーさればこそ、あらゆる生物は死をきわめて無関心で平静な、無責任な利己的な無邪気さで眺めているのだ、と。

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