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映画『LION 25年目のただいま』

インドの片田舎である日迷子になった5歳の少年が、オーストラリアの夫婦の養子として育ちながら、故郷に帰るまでの実話を基にしたお話し。

物語はドキュメンタリータッチで淡々と進んで、決してお涙頂戴的な話ではないのだけれど、もしかしたら映画でこんなに泣いたのは生まれて初めてかもしれない。

自分でも意外なシーン(迷子になったサルーが初めて育ての親と出会う場面)から涙が溢れて最後まで止まらなかった。

以前インドを訪れた時に実際に見た、地面に横たわる親がいない子供達、親に見世物にされて片腕で物乞いをする子供たちの姿が記憶に蘇り、なんとも言えないやるせなさで胸がしめつけられた。

日本人からすると実子を敢えて持たず、文化も環境も異なる国の子供を養子にもらうという価値観はなかなか理解に難いけれど、実際私の知り合いのアメリカ人にも異国の恵まれない子供たちを育てたいという人々は沢山いる。

でも養子に引き取られたからと言って必ずしも100%幸せではないのだ、というのがサルーの目を通して語られていて様々な事を考えさせれた。
もちろん多くの人身売買される子供達や施設の悪環境で育つ子供達と比べたらとても幸せな環境なのだけれど。

とにかく子役の男の子の可愛さ、強さがこの映画のほぼ全てとも言えるほどで必見。母を探して広大な大地を疾走する彼の姿が目の奥に焼き付いて離れない。

育ての母役のニコール・キッドマンの演技もただただ素晴らしい。

親子の絆って何だろう。子供にとっての母親って?
記憶の中にいる母は、長い時を経ても揺らぎなく絶大で決して消えることなどない存在なのだ。
彼にとって実の母を探すことは、自分のルーツやアイデンティティを探す壮大な人生の旅だったのかもしれない。


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