自動車のホイール締結方法から設計者の考えを読み解く努力をする

書き直したこちらをご覧いただいたほうが有益かと思います。

twitterでホイールの締結方法についていろいろと考える機会を得たので、今回はそこから見える設計者の考え(狙い?)を読み解くべく努力するのが、今回の記事です。まあ、設計した人に訊くのが一番早いのではと言われればその通りなのですが。自動車メディア系だとこういう話題は常体で論じられることが多いので、今回は敬体で。あと、強い口調や荒い口調、罵詈雑言などは控えてください、自分に対して言われるのは嫌なので笑。指摘は受け付けます。あと、必要に応じて随時内容を更新します。数式を使ってより論理的にアプローチしたいところですが、それはまた別の機会ということで。

追記
2022/4/13(水):ハブにホイールを締結する際の本質はブレずに(センター出た状態で)回転させることで、コスト・整備性もろもろ考えることがある中でそれをどう実現するのか、を考える必要がありそう。だからハブリングなるものがあるわけで。あと、テーパーのホイールナット前提で話していたが、よくよく考えたら貫通の平ナットとか球面座とかいろいろあることを忘れていました笑。


まず、少し長くなりますが、掲題についてもう少し具体的に書くことにします。

国産車のホイールはハブユニットにあるハブボルトとホイールナットによって固定されています。しかし、海外メーカーのホイールは、ネジ穴が設けられたハブと、ナットが一体になったボルトで固定されています(ボルト式と呼ばれている)。この設計の違いの理由を考えるのが、今回の記事の目的。

まず、国産車から。

ハブ面に嵌合されているハブボルトに沿ってホイールをはめこんで、それをホイールナットで締める仕様になっています。頻繁にタイヤ交換をする人目線で考えると、ホイールのボルト穴部分を通してしまえば自身がホイールを支える必要がないので身体的に楽ですし、作業効率も良さそうです。

しかし、ハブボルトを交換するとなった場合、キャリパーやらディスクローターを外してハブまでアクセスして脱着したり、車種によってはハブユニットとナックルを分離しないと交換できないものもあります(筆者のブーンはそうでした)。その場で修理するには難易度高めです(おそらく不可能)。DIYで交換するにもある程度工具が必要になりますし、整備工場へ依頼すれば、整備に数時間、価格にして数万円かかる案件です。

いろいろな意味で整備士に優しく(タイヤを装着しやすくてなおかつハブボルトを交換する仕事を依頼される)、いざという時に所有者に厳しいです。これは推測ですが、「下手にいじるな!」とでも伝えたいかのような。

ボルト式の場合、ホイールを持ち上げながらハブボルトを締める必要があるので、ホイールナット式より装着が難しい(煩雑)です。ガイドボルトを使えば効率的に位置決めできますが、ホイールナット式のハブボルトが実質ガイドとして利用できることからもわかります。

しかし、装着に難儀するとて、ボルトのサイズはM14で国産車よりも数ミリ大きいのでホイール締結力は比べて強いです。ハブボルトを容易に着脱できる点は、ほとんどの国産車にはない便利なところ。

また、国産車の折れたハブボルトをいろいろと見ていると、根本あたりからパックリ逝っているものが多く、負荷のかかり方がよくわかります。ボルト式のハブボルトは、一体化したボルトとテーパー部分(ホールにはまる部分)でホイールを支えているようなので、ナット式のようなホイールナットとハブボルトが別個になっているものよりもボルトの強度を期待してよさそう(実際折れるとかほとんど聞かないので)。再度書きますが、ボルト径はM14が主力のようです。

ボルト式でハブボルトが折れた場合やネジ穴がなめた場合の修理方法に関してよくわからなかったのでちょっと聞いて回ってみたところ、折れたハブボルトをバイスプライヤなどで取り外せそうならそのまま外して、それが難しそうな場合にはブレーキ周りを分解するようです。そうなると工賃・時間ともにかかることになるのは、国産車と同じです。

肉体的にはキツくても、いざトラブった時の整備性はボルト式のほうが幾分か優れていて、強度的にも優れている感じですかね。

国産車は「ホイール締結しやすいけど壊れたら整備工場で修理してもらってね」で、逆に輸入車(ボルト式)は「肉体労働がんばってね!(でもほぼ折れないから)」のように筆者は解釈しました。

なお、「ほぼ折れない」というのはとある輸入車整備士から聞いた話で、普通(街乗り)に使っている限りや、長く放置されていた車両でもない限り、ボルト式のハブボルトはほぼほぼ折れることはないだろうとのこと。ハブボルトが折れたと言っている人を見かけたら、不適切なタイヤ交換をしているか、モータースポーツのような特殊な使い方をしているか、あるいは、保管状態の悪かった車両あるいはやつれた中古車なんだなと察して、冷たいあるいは温かい目で見守ってあげてください。なお私の車は先日2本折れました。

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