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なるべく明るい乳がん日記35この次のフェーズへ

〜前回のあらすじ〜
乳がん発覚から約11ヶ月。ついに初期治療をやり終えた私。これからはホルモン療法のタモキシフェンを飲みながら経過観察という、次のフェーズへと移行した。なので、いつも迷うタイトルは即決でアナログフィッシュのこの曲から。 
 "失う用意はある?それとも放っておく勇気はあるのかい"
…というドキッとするような歌詞は、タイトルにするにはちょっと強過ぎるのでしなかったけど、背筋の伸びる名曲だ。
あーライブ行きたーーい。

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【11月中旬】
2023年は多くの人が旅立って行った。なかでもKANちゃんの旅立ちは本当に衝撃だった。「メッケル憩室にがんをめっける」ってダジャレ言いながら飄々と戻ってくるもんだと1000パーセント信じてたので悲しくてひたすらラジオやネットで思い出をかき集めては泣いていた。

昔とても悲しいことがあった時に寄り添ってくれた曲がある。美しい言葉とメロディで、深い悲しみを形にしたその「月海」という曲が、当時の私にどれだけ優しかったか。それを届けてくれた人が遠い星へと旅立ってしまった。たくさんの名曲とおもしろエピソードを、これでもかと遺して。

年齢を重ねてくると、誰かを失う悲しみは、悲しいままずっと胸の中にあり続けるものだなと思う。それでもふとした瞬間に思い出しては、懐かしく気持ちが温まることも、時が優しい薬となって笑って生きていけることも知っている。笑い話をたくさん残せるのは素晴らしい人生だと思う。でもちょっと早過ぎる。がん治療はものすごく進歩しているけど、見つけにくいところにあるがんも早く見つけて治療できる世の中にもっとなればいいなと願う。

【11月下旬】
放射線治療で照射を受けて茶色くなっていた皮膚が、日焼けあとが回復していくように、少しずつめくれてまだらになってきた。処方された軟膏を朝晩せっせと塗り続ける。皮膚のザラザラした手触りも日を追うごとにだんだんなくなり、柔らかくなっていった。

右胸から右わき、右二の腕にかけて毎朝ちょっと縮んでるような感じがして毎朝伸ばす。伸びにくい厚手の皮が張り付いているみたい。気をつけをすると右わきには、固くなりかけた餅を挟んでるような感覚がある。

右胸下、脇寄りのところにはドレーンが2本刺さっていた穴の跡がペコンとへこんだまま鼻の穴のように残っている。消えると思ったのにいつまでも消えない鼻の穴。右腕を下から後方へ伸ばすと、脇に残った鼻の穴が突っ張って痛い。

右腕は同じ姿勢を続けるとすぐダル重くなる。手足はまだ痺れている。リンパ節に転移があるのとないのでは大きく違う。リンパ節を切除するとリンパ浮腫に気を付け続けなくてはならない。微妙に右腕の方が太い気がして右手を上げたり曲げ伸ばしたり、リンパよ流れろと手首から肩へ向かって何度も撫でる日々。

個人差はあるだろうけど、リンパ節を切除するかどうかで術後に大きく差が出ると思う。早期発見することがいかに大切か。
早期発見することがいかに大切かーー!!!(大事なことなので2回)

なんかおかしいな〜と思いながら仕事優先して放置していたあの頃の私よ、アナログフィッシュを聴け。
 "失う用意はある?それとも放っておく勇気はあるのかい"


幸い、日常生活は送れる。
でも、元通りにはならない。

泣いたってもう戻らないのでこれからは前を見つめて進むだけ。今、そしてこれから出来ることをやる。バランス良くしっかり食べて、よく眠って、いっぱい笑う。ストレッチと運動をする。身体は無理のない範囲で積極的に動かす方がスッキリする。動いて体温を上げる方が免疫的に良い。

腕は前からも横からも上まで上がるけど伸びにくい。
車を駐車する時に、駐車券の発券機まで手が届かないので、発券機ギリギリまで攻めた停車が出来るようになった。人は環境に合わせて進歩する。


11月末からこのnoteを公開するようになった。公開前に登場人物である夫にまず読んでもらった。「いいんじゃない?」とあっさりした返事をもらった。え?それだけ?もっと私に興味を持って。

愛する夫に興味を持ってもらえるような文章は、まだまだ遠い。

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