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鳥のきもち「病院ぎらいがなおっちゃう?」

一度行ったことがあればわかると思いますが、病院は恐ろしいところです。
私たちと同じくらい鳥を知っている人間(獣医師)が、身体の隅々まで検査します。
しかも口の奥やお尻までチェックします。
私たちは何をされるかわからないし、恥ずかしい思いをしたくないので、可能なかぎり抵抗しますが、そのほとんどが無駄な抵抗です。
こんなたいへんな思いをする動物病院なんか絶対行きたくありません。
でも、よ~く観察していると、獣医師の先生はとても鳥が大好きで、優しいことがよくわかります。
それはそうですね。動物が、特に鳥の先生は鳥が好きで、いっぱい勉強して獣医師になったわけですから。

ではなぜ鳥が好きな先生が、こんな手荒な真似をするのか考えてみると、私たちを健康で長生きさせたいと思っているからです。
たくみな技で私たちをつかみますので、飼い主さんよりとても上手です。おとなしく身を任せたほうがかえって楽なのかもしれません。そうすれば「手荒な真似」どころか、優しい診察に変わってくるでしょう。

では、どうして動物病院がこわいのか、獣医の先生が苦手なのでしょうか。
まず、ほとんどの日々を自分のお家で過ごす私たちにとっては、病院は知らない世界です。
待合室で待っていると、すでに診察を受けている鳥さんの悲鳴が聞こえてくることがあります。
あの、悲鳴を聞くだけで足がすくんで体がキュッと細くなってしまいます。
また、病院には何があって、どんな人がいて、何をするのかもわかりません。
しかも病院に行くと必ず、有無を言わさずに捕まえられます。
知らない場所で、こわそうな顔の(そう見えます)知らない人が迫ってきて、あなたを捕まえようとするのですから、これは恐怖です。
捕まえるときは素手もありますが、タオルなどでくるまれることもあります。
中、大型の鳥さんであればタオルを使われることが多いようです。
それに、ふだん家では見たことがない医療器具がたくさんあります。何をされるのかわからないのでこわいのかもしれません。

このままでは、いつまでもたっても病院嫌いは治りません。
病気を治す前にまず病院嫌いを治したほうがいいかもしれません。
どうしたら病院嫌いが治るかと言うと、まず「抱っこ」に慣れましょう。
獣医の先生は必ずあなたを、素手もしくはタオルで捕まえます。
「捕まえられる」とか、「逃げなくては」という考えを捨てて、「抱っこしてもらう」というきもちになることが大事です。
 
でも、最初からそんなことはなかなかできないものです。ですから、まずは飼い主さんに抱っこしてもらいましょう。
でも、あなたも飼い主さんもお互い慣れていないので、まだまだ上手な抱っこができません。飼い主さんはあなたを抱っこしたくてしょうがないはずです。そのきもちを尊重し、飼い主さんが抱っこしたら、そのまま受け入れてあげましょう。
もし、飼い主さんが上手ではない抱っこをしたら、手や指を軽くかむことで教えてあげます。飼い主さんにとってはスパルタ教育ですが、あなたも上手ではない抱っこをされたら、居心地が悪いですからね。
同じようにタオルでくるまれたら、周りが真っ暗になって、何も見えなくなります。
パニックになって、逃げようとすればするほど大混乱になるでしょう。
でも、飼い主さんも慣れていないので、多少大きな声を出したり、逃げ回ったりして教えてあげることは大事です。
飼い主さんが慣れてくると、あなたの頭や顔をタオルから出し、周りが見えるようにしてくれます。
ここまでできれば大丈夫でしょう。

まぁ、こればかりは回数をこなさないと飼い主さんも上手になれません。
飼い主さんの成長を気長に見守ってあげましょう。
これができれば、おおかた大丈夫です。獣医の先生は、飼い主さんより数段抱っこが上手です。安心して身を任せましょう。

次に医療器具ですが、 初めて見るものは医療器具に限らず、鳥のおもちゃでもこわいものです。
ということは、医療器具も見慣れてしまえばこわくないかもしれません。
特に医療器具って、光っているイメージがありますから、私たちの遊び道としては最高かもしれませんね。
 
例えば「お医者さんごっこ」をして遊んでみませんか。
もちろんお医者さんは飼い主さん。あなたは患者さんです。
おもちゃの聴診器を身体中に当ててみたり、シリンジで注射をする真似をしたり、羽根を広げたりなど、本物の獣医さんがしそうなことを遊びとして、普段からやっておくといいかもしれませんね。

また、病院で病気が見つかると薬を飲まなくてはなりません。
薬をお水にといて飲むのは、まだましですが、直接飲まされるのはいただけません。だって「良薬口に苦し」ですから。
こんなまずい薬は飲みたくないので、逃げ回る。すると飼い主さんはあなたの身体を案じて力づくでも飲ませなくてはなりません。
これって悪循環ですね。あなたも嫌だし、飼い主さんも心が痛いでしょう。
薬も遊び感覚で直接飲めるようにしましょう。
薬の容器に最初はあなたの大好きなジュースをいれてもらいます。これは美味しいから難なく飲めますね。これを日常的に繰り返しておくと容器に薬が入っても、つい飲んでしまうのです。
できればいつも飲んでいる好物のジュースが少し入っていると飲みやすいですね。
あらかじめ病院で容器だけ譲ってもらい、もしものために練習しておきましょう。
 
飼い主さんはあなたにいつまでも健康で長生きしてほしいと願っています。
だからこそ動物病院には自分から行きたいくらいのきもちになれるようにお互い頑張りましょうね。
でも、私たちの願いは飼い主さんにもしっかり健康管理をしてほしいです。
私たちは飼い主さんが健康でないと辛くて寂しいですから。

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