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ものやお金でつる勉強

私は「おまけ」「景品」が好きです。例えば缶コーヒーを買うにしても、缶の上にキャップ入りのミニカーなんかが付いているとそっちを買ってしまいます(そのミニカー、すぐにどこかに行ってしまってなくなるのですが)。

子どもたちも自分と同じだろうと思うのが人間の性(さが)で、景品を出したら「やる気」がでるのではないかという発想をしてしまいます。

さらに私は楽(らく)をしたがる人間です。やる気のない子にやる気を起こさせるには大変な労力がいりますが、そのエネルギーがなかなか出てこない。また、優れた指導者に必要な、言葉や態度で人を鼓舞する能力をまったく持ち合わせていません。そんなわけで、ついつい賞品をえさに子どもたちに頑張らせようという発想になる。

最後に、これが最大の理由ですが、この仕事を何十年もしているのに、自発的に勉強をしようという意欲を持つほどには成長していないであろう(おもに)小学生が、こうしたら、「休まずに毎回塾へ来る」、「遊んでいても切り上げて塾の時間に遅刻しない」「来たら最後まで必死で頑張る」、「出された宿題は必ずしてくる」ようになるという方策を、いまだ見つけることができないでいる。
それで、自分の教える能力のなさを、「代替物」を使って補おうという考えが、ことあるごとに頭をもたげてきます。

★ポイントカードで賞品

そんなわけで、今高2の子が小6の時だから今から6年前、ポイントカードを使い始めました。手製のポイントカードを作って(1枚の厚紙に80ますほど、ハンコを押す欄が印刷してあります)、そのカードの最後まで到達したら賞品を渡す仕組みです。

(余談ですが、塾の人間である私は、年を数えるのに上のような数え方をします。ポイントカードをためて初めて賞品を受取った小6の子のうれしそうな表情がまず頭に浮かんでくる、その子が今高2だから、そうだあれは6年前だったというふうに数えます。この技が使えない、例えば自分が入院したのは何年前だったかなんてのは、2年前だったか、3年前だったか、はっきりしない。)

★賞品の値段

その賞品ですが、あくまでグリコのおまけ(この比喩、相当高齢の人しかわからないだろうな)ですから、景品の値段が高くては制度の趣旨に反します。100円よりは高価で(100円以下だと、先生「百均」で買ったやろと、子どもに嫌味を言われます)、500円よりは安価(それ以上お金をかけると塾が潰れます)の商品を用意します。

★賞品を選ぶ悩み

通塾回数が多くて宿題を毎回きちんとしてくる子になると、1年間に6枚目のポイントカードにまで到達しますし、前の年に渡したものと同じ賞品は渡せませんので、景品の選択にはすこぶる頭を悩ませます。また必要になる数を厳密には読めないので、注文数を確定するのも一苦労です。

俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。