ばねの重要事項
理科にも数学にも関連する「ばね」。
今日は、ばねに関して、知っておいたほうがよいことをまとめました。
★ばねにはたらく「力」とばねの「のび」が比例
ばねの「のび」と、ばねにはたらく「力」が比例します。
例えば、100g(=1N)のおもりをつるすと1cmのびるばねは、200g(=2N)のおもりだと2cm、300g(=3N)だと3cmのびます。
注意1、ものの「重さ」とは、その物体にはたらく「重力」の大きさです。そして、ここでいう「力」には、「重力」つまり「重さ」もふくまれます。
つまり、ばねの「のび」は、ばねにつるしたおもりの「重さ」に比例すると考えてもよいことになります。
注意2、比例するのは、ばねの「のび」と、ばねにはたらく「力」です。
ばね全体の長さと、ばねにはたらく力の関係は比例ではありません(比例ではなく、中2数学で習う1次関数です)。
左の図で横軸が0のとき、縦軸は5cmですが、ここが、「なにもつるさないときのばねの長さ」になります。
したがって、ばねの問題をグラフを使って解くときは、縦軸が、ばねの「のび」を表わしているのか、それともばね全体の「長さ」を表わしているのか、しっかり注意して確認してから解かないといけません。
問題を読むときも、ばねの「のび」を尋ねているのか、ばねの「長さ」を尋ねているのか、注意する必要があります。
★ばねの問題で知っておかないといけないこと
ばねにはたらく「力」と、ばねの「縮み」も比例します
100gで1cm縮むばねは、200gで2cm縮みます。
また、ばねの「のび」とばねの「縮み」は一致します。つまり100gで1cmのびるばねは、100gの力で押すと1cm縮みます。
ばね全体の「長さ」とばねの「のび」との関係
同じ種類のばねの長さが2倍になると、ばねの「のび」も2倍になります。また、ばねを半分に切って長さを半分にすると、ばねの「のび」も半分になります。
つまり、何もつるさないとき5cmのばねが100gのおもりをつるすと1cmのびたとすると、同じ種類でなにもつるさないときの長さが10cmのばねは、100gのおもりで2cmのびます。半分の2、5cmに切ってしまうと、100gのおもりで0、5cmしかのびません。
2本のばねを直列にしたときと並列にしたとき
下図のようなばねがあって、もとの長さが5cmで、100gのおもりをつるすと1cmのびるとします。
このばねを2本、縦に連結しておもりを下げると、ばねののびはどうなるでしょうか?
それぞれのばねに100gの力が加わりますから、それぞれのばねが1cmずつのびます。
つまり、全体では2cmのびるということになります。
ばねの長さが2倍になると、のびも2倍になるのも同じ理由からです。
同じばねを2本、横に並列にしておもりを下げると、ばねののびはどうなるでしょうか?
1つのバケツを2人でさげると、1人でさげるより楽になることは明かですね。
2人で協力すると、1人にかかる力は半分ですみます。
つまり、図の場合、100gのおもりをつりさげても、1つのばねにかかる力は半分だけ、50gです。
だから、それぞれのばねののびは0、5cmということになります。
注意しないといけない問題
2本縦に連結でも、左の図のように1本目のばねの下に100gのおもり、さらに2本目のばねの下にもう1つ100gのおもりをつり下げた場合は、単純に直列と考えてはいけません。
ばねに重さがないとします。
上のばねには、その下の2個のおもりの重さがそのままはたらきますから、2個分、200gの力が加わることになります。
だから、上のばねののびは2cmです。
下のばねは違います。
下のばねに、そのばねより上にあるおもりの重さははたらきません。
下のばねにはたらくのは、自分より下にあるおもり1個分の重さ100gだけです。
したがって、下のばねののびは1cmということになります。
みんながよく間違える問題
下の2つの図でも、おもりの重さは100g、ばねは100gで1cmのびるばねとします。
上の図の場合、ばねを100gで引っ張っていることにかわりはありませんから、ばねののびは1cmですね。
下の図ではどうでしょう?
おもりが2つになり、100gと100g、計200gで引っ張っているから、のびは2cmと考えてよいでしょうか?
これが、ほとんどの人がしてしまう間違いです。
上の図の場合、左の壁に注目してください。おもりがばねを引っ張り、引っ張られたばねは壁を引っ張っています。もし、もろい壁であれば、壁は崩れるはず。ばねから力を受けている証拠です。
上の図で、壁は、崩れないようにばねを同じ力で引っ張りかえして支えているのです。
ということは、上の図と下の図、一見、上は100gの力がはたらいているだけ、下は200gの力がはたらいているように見えますが、実はどちらも全く同じことで、はたらいている力は100gだけです。
壁が支えているか、左のおもりが支えているかの違いだけで、ばねにかかっている力が100gということは同じなのです。
したがって、上も下も、ばねののびは同じ1cmということになります。
ばねの問題は、算数・数学や理科であちこちに顔を出しますが、ばねについてまとめて学ぶ機会はほとんどありません。
一度、まとめをしておきました。
俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。