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超簡単:力の合成と力の分解の基礎

★力の合成

つりあった力天井から物体を糸でつりさげたとき、物体にはたらく重力と、糸が物体をひく力とはつりあっています。

次に、2本の糸で同じ物体をつりさげたときを考えると、

左の糸にはたらく力Aと右の糸にはたらく力Bの、2つの力から生まれた1つの力Cが、重力とつりあっていると考えられます。

この場合のように、1つの点にいくつかの力がはたらいているとき(上の図だと力Aと力B)、それらの力から生まれる1つの力(上の図だと力C)を見つけることを「力の合成」といいます。

また、見つけられた力Cのことを「合力(ごうりょく)」といいます。

力の合成・・・1つの点にいくつかの力がはたらいているとき、それらの力から生まれる1つの力を見つけること

いくつかの力がはたらく場合としては、
1、同一直線上にあって向きが同じとき
2、同一直線上にあって向きが逆のとき
3、同一直線上にないとき
の3つが考えられます。

この3つについて、順に考察します。

★一直線上に、同じ向きの2つの力がはたらいているとき

同一直線上で同じ向きに2つの力がはたらいているとき、

2つの力F1とF2から生まれる合力Fはどのような力でしょうか?

2人で協力して同じ綱(つな)を同じ向きにひっぱることを考えればわかります。
2人の力をたした力になるはずです。

つまり、同じ向きで、もとの2つの力をたした力になります。
合力F=F1+F2

一直線上にある、同じ向きの2つの力の合力=同じ向きで2つ力の和


★一直線上に、逆向きに2つの力がはたらいているとき

同一直線上で逆の向きに2つの力がはたらいているとき、

2つの力F1とF2から生まれる合力Fはどのような力でしょうか?

今度は、打ち消しあった力になるはずです。

つまり、大きいほうの力F1と同じ向きで、大きい力F1から小さい力F2をひいた大きさの力になります。
合力F=F1-F2

一直線上にある、逆向きの2つの力の合力=大きい力と同じ向きで2つ力の差

なお、もとの2つの力の大きさが等しいときは、合力は0になります。


★2つの力が一直線上にないとき

理科で出てくる量には、時間や温度のように「大きさ」だけで表される量(スカラー量といいます)と、力のように「大きさ」と「向き」の2つを考えないといけない量(ベクトル量といいます)とがあります。
そして、ベクトル量である力には平行四辺形の法則が成り立つことがわかっています。

平行四辺形の法則・・・1つの点にはたらく2つの力は、2つの力を2辺とする平行四辺形対角線で表される1つの力でおきかえることができるという法則

平行四辺形の法則は、1直線上にない2つの力について例外なく成り立っている法則ですが、17世紀にニュートンが発見しました。

平行四辺形の法則を知ることで、私たちは簡単に合力を見つけることができます。

例題1:2つの力F1とF2の合力Fを作図して求めなさい。

まず、平行四辺形をかき、その対角線をかくと、それが合力です。

小学校のときに習った平行線のかきかたを使います。

1組目の平行な辺をかきます。

もう1組、平行な辺をひきます。

最後に対角線をかくと、それが合力です。

このとき、合力Fは、もとの2つの力F1とF2の和よりは小さい力になります。
合力F<F1+F2


★力の分解
「力の合成」とは逆の操作をすることを、「力の分解」といいます。

力の分解・・・1つの点にはたらく1つの力を、同じはたらきをする2つの力に分けること

求められた2つの力を分力といいます。

力の合成と同様に、平行四辺形の法則が成り立ちますから、平行四辺形をかくことで2つの力を見つけることができます。

例題2:力Fの分力F1とF2を作図して求めなさい。

この種類の問題では、力Fだけではなくて、その根もとを通る2本の直線が必ずかいてあります(かいてないと、分力は決まりません)。

その2本の直線を2辺とする平行四辺形を作図します。
作図の仕方は力の合成と同じで、定規をすべらせて平行線をひきます。
もとの力Fの先端を通る2本の平行線をひきます。

最後に、もとの力Fの根もとから平行四辺形の辺にそって2つの力をかくと、それが分力です。

力の合成・力の分解、作図のコツ・・・合力も分力も、力を表わす矢印の根もと共通の1点であることを常に意識しておく

俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。