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式による説明(3) 知らないと解けない難問2題

「式による説明」、ほとんどの問題は「(1)数の表し方」を覚えて、「(2)答えの書き方」が頭に入っていたら楽に解けます。

しかし、それだけでは解けない問題が2つ、あります。

一つは、「各位の数をたしたら3(または9)でわれる数は、3(または9)の倍数である」ことを説明する問題、もう一つは、「図形の問題で、同じものを2つの式で表す」問題です。

この2つは、それぞれの書き方を知っていないと正しい答えを書けません。

例題1:3けたの整数981の各位の数の和9+8+1=18は、9の倍数である。このとき、981は9の倍数になっている。このように、各位の数の和が9の倍数になる3けたの整数は9の倍数である。このことを説明せよ。

(答え)

・100の位の数がa、10の位の数がb、1の位の数がcである3けたの数を100a+10b+cとする。

・100a+10b+c
99a+a+9b+b+c
99a9b+a+b+c

各位の数の和が9の倍数なので、nを整数とするとa+b+c9nと表せる。

99a+9b+a+b+c
=99a+9b+9n
=9(11a+b+n)

・11a+b+nが整数なので、9(11a+b+n)は9の倍数である。
以上より、各位の数の和が9の倍数になる3けたの整数は9の倍数である。

(知っておかないといけないこと)

赤字で示した、9の倍数になるように(9でくくれるように)、100a=99a+a、10b=9b+bに変形すること、a+b+cが9の倍数なので9nと置き換えること、この2つの部分は、そうなることを理解したうえで、暗記、覚えておかないと、思いつくことなど不可能だと思います。

同じ種類の問題で、3の倍数であることを説明する問題があります。
このときは、100a+10b+c=99a+9b+a+b+cとするところは同じで、a+b+c=9nを、a+b+c=3nに変えるだけです。

例題2:おうぎ形で、半径をr、弧の長さをL、中心角をa度、面積をSとすると、S=1/2Lrが成り立つことを説明せよ。

(答え)

おうぎ形おうぎ形の面積=円の面積×(中心角/360)だから、
面積S=r×r×π×(a/360)・・・(1)

弧の長さ=円周×(中心角/360)より、
弧L=r×2×π×(a/360)・・・(2)

(ここで、S=1/2Lrをつくるために、LをSの式にはめ込むにはどうしたらよいかを考えます。(1)の式と(2)の式を眺めると、赤字の部分r×π×(a/360)が同じことに気づきます。)

(1)より、r×π×(a/360)=S/r
(2)より、r×π×(a/360)=L/2

よって、S/r=L/2

両辺にrをかけて、
S=r×L/2
=1/2Lr

だから、S=1/2Lrが成り立つ。

(知っておかないといけないこと)

まず、面積を式で表す。次に弧の長さを式で表す。
別々に2つの式を作った後、2つの式からできる等式を「むりやり」つくってしまうのがこつです。

中3の『式による説明』では、このタイプの問題がよく出ます。

この種類の問題も、練習して、書き方を知っておかないと、おそらく初見では解けません。

俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。