式の書き方は1行で一つ
(2x-3)-(3x-1)という計算問題があるとします。
どんな教科書、参考書、問題集でも、解き方として次のような模範例が載っています。
(2x-3)-(3x-1)
=2x-3-3x+1
=2x-3x-3+1
=-x-2
2行目で(カッコ)を開(あ)けるだけ
3行目は同類項を集めるだけ
4行目で答え
1行で一つの事しかしていない、これが正しい解き方です。
数学の苦手な人、計算間違いの多い人は、たいてい次のような式の書き方をします。
(2x-3)-(3x-1)
=2x-3x-3+1
=-x-2
2行目で、(カッコ)を開けることと、同類項をまとめることの2つをしています。
これは、やってはいけない解き方です。
やってはいけない理由は、
(1)人間の頭は、一つの事に集中できるとき、一番間違いをおかしません。
2つ以上の事を同時にしようとすると、頭を使わないといけない分、頭が疲れてしまってミスをしやすくなります。
(2)頭を使うということは、それだけ時間がかかってしまうということです。
書く行数は少なくて済みますが、行数の少ないほうがかえって問題を解くのに時間がかかってしまいます。
「数学は頭でなく鉛筆を使って解け」と言われるのはこのことを指しています。
また、大げさに言うと「伝統」というか、これはこうするものだとされているものには、必ず秘められた大きな「理由」があります。
過去何十年・何百年の先人の成功と失敗の積み重ねが、「これはこうしたらよい」という規則になって表現されているのです。
算数・数学の解き方も、その貴重な「伝統」の一つです。それを軽々しく踏み外すことは、「個性」でもなんでもありません。自分から、苦労する道を選択しているだけです。
数学の解き方を大きく誤解している人は、次のように解きます。
(2x-3)-(3x-1)
=-x-2
「数学の成績と、途中式の長さは比例する(途中の式の長い人ほど、数学の成績がよい)」
私が経験から見つけた、法則です。
俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。