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建築業の大変さ。一日体験を小説風に。




建築の大変さを感じることのできる有意義な一日。


おはよう。から始まる。一日


日の出手前。


空は遠くに少し明るさを匂わせるほどの色合い。


道路にはちらちらと降り積もる雪。


凍り付いたフロントガラスの車に乗り込んだ。


「寒すぎやろ・・・」


今日は後輩から来たメールで仕事の手伝いに行く日。


「お疲れっす!○○暇っすか?一緒にバイトしません?笑」


そんな薄っぺらい内容からホントに実現するなんて。

頼りになる友人を持ったものだ。


「約束の場所に朝8時に!遅刻はダメっすよ!」


そう言われたものだから調べたよりも30分早く家を出る。

集合場所は知っている。ここから1時間あれば着く予定。

家のゴミ出しをしてからでも十分間に合う。

計画では到着は20分前。ゆっくりお茶しながら待てるはずだ。

そう思って、ルンルン気分で家を出た。


「なんだこれは・・・」


確かに雪は降っていた。


多少混むとは思っていた。


けど、そんなに混む?ってくらいテールランプの列。


迂回ルートはない。Uターンも出来ない。行くしかない。



「悪い。少し遅れるかも。渋滞凄い」


「OKっす!また連絡ください!」


すまない!


結果的にはぎりぎり間に合った。


朝はこんなに混むんだということを学んだ一日の始まり。



はじめまして


建築ということは聞いていた。簡単なこととも聞いていた。


だが、何をするかは聞いていなかった。


友人に連れられて現場に行くともう一人男性が待っていた。


「おつかれ~」


一般的な挨拶はおはよう。

だがいいんだ。業界的にも間違ってはいない。


「あ、今日はよろしくお願いします!」

「こちらこそ。よろしくお願いします。」


大人な挨拶を終えて、働く現場とやらに向かった。


どうやら、今日のやることはマンションの塗り替え作業らしい。

その中も、塗った後。掃除担当というものらしい。


終わってから分かったことなのだが、「 掃除 」とは、塗料を職人が塗った後、はみ出た部分をシンナーで掃除をしていくという作業らしい。


そういう仕事があるんだ。単純にそう思った。


面倒見てくれる偉いさんを紹介され、挨拶。道具やヘルメットなどを渡される。


「一応決まりだから」


笑顔でゼッケンとヘルメットと名札的な物をつける。


あと、安全のための約款みたいなものを書く。


書いている途中で。

「はい、新規やります。」

誰だこのおっさん。急に。ってか誰だよ。

偉そうに近づいてきた。

現場責任者らしい。大手の偉いさんだろう。


俺の好きな笑顔の偉いさんは下請けの社長さんらしい。


現場席に社とやらは俺が書いてる途中の資料を奪い取り、雑にチェックを入れる。


「これ。全然書いてない」


なんやこいつ。

当たり前やん。書いてた途中なん見てたやろお前。

そう心で強く念じた。


責任者らしくねぇ。ってか民意が低そう。肩書だけか?


内心そう思った。


後から誘ってくれた後輩友人君が


「あの責任者なんっすかね?頼み方知らんのちゃいます?」


やっぱり気づいてた。

この友人は育ちがいい。僻みっぽい部分はあるけれど、若さを差し引いても十分さっきの責任者より人間ができている。


「まぁ、大手土建っぽいんよな」


「あの話で事故られたら自分ら困るのに。ちゃんと説明しやんとか。しょーもないっすね!」


建設業ど素人の俺らとは言え、人の見る目はそれなりに身につく職業。


一発であの責任者は中身スカスカだと言うレッテルを俺達は貼った。


塗装とは


ヤンキーの集まりだ。


第一印象はそうなってしまった。

もちろん、話したら普通の人なんだろう。さらに職人だ。

悪い人はいない。と、思う。


とび職っぽい服装。ペンキで汚れたつなぎ。慣れた手つき。

そしてしゃべり方は結構なオラオラ系。


悪い人はいない。と、思う。

ただ、俺があまり知らないだけ。


こういう人たちは年配の方が優しい。

若いとより尖っている感じがする。


もう一度言う。会話はしてないから実際わからん。


「はい。これで拭いて行こうか」


俺の好きな笑顔の偉いさん!癒し!!!


シンナーの入ったバケツと布切れ。あと削るやつ。

ふと見ると、新品の軍手が置いてあった。


「これ、もらっていいっすか?」


友人がそういうと


「あ、あかん。軍手するとシンナーで火傷するわ」


へぇ~・・・。


うすめ液と言われるシンナー。一昔前は吸引して中毒になる事案がたくさん勃発した例のアレ。

歯がなくなるとか、頭痛くなるとか、聞いたことがある。

火傷もするんやね。低温やけど?

確かに拭いてたら手がヒリヒリするし、冷たくも感じる。

液体窒素ほどではないけどな!


そこからはひたすら。

はみ出た塗料を拭く。



掃除


掃除


掃除


それなりの大きなマンションだった。

大きいのになぜかエレベーターは1基。


10階もあるのに。


さらに、数十室あったと思う。

エレベーター。もう一基あってもええやん。


昼休み


この現場がそうなのか、建設業全般がそうなのかはわからない。

仕事は自由に個人にまかせっきり。


決まりはあるんだろうけど、休憩は自由に取れたり。

結構ふわっとしてるなーっていう感じ。


工場とかなら休憩時間はチャイムで知らせたり、誰かの支持で休憩をとったりするんだろうけど。

その辺ははあまりストレスが感じないんだと思った。


「この仕事って結構ラフなんですね」


また、おめぇは同じことを聞いてきやがる。


「そだね」


異業種スタイルが新鮮な二人。



ご飯は謎の喫茶店に入る。

元気な店主とおそらくその奥さん。二人で切り盛り。

メニューはよくわからんけど、650円と安い。

それなりのボリュームもありそうだ。

まぁ、よくわからんからおすすめを頼もう。


「お母さん、これ3つ」


現場の人が多いのか、常連さんなのか。

それ何に賑わっている昔ながらの喫茶店だった。

しばらくすると定食がやってくる。


ほほぉ。普通にうまいやつやん。


ご飯とみそ汁。コロッケとチキン南蛮的なやつ、あと小鉢。

十分やろこれ・・・。


また隣で


「儲かってるんすかね?こんなに出して」


一緒やねん考えることホンマ・・・。


長年、同じような仕事をしてきた俺たち。場所は違うけど考えるベクトルは同じということか。

9つも年が離れているのにな。


「あ。俺。みそ汁は飲まないのであげます」


違うところ発見。。。



それから・・・



午後もひたすらシンナーで拭く。


はみ出たところを掃除する。


汚れたところを掃除する。


真冬の雪がちらつく中、掃除をする。


一通り終えて、それなりのチェックも入り。

当初の時間どおりで


「はぃ。今日はありがとね!」


時間ぴったりやん。。。

笑顔が素敵やで偉いさん!!!


まぁ、これ以上できることはなかったけど。


「また、困ったときは助けてね!」



昔。学生の頃に行ったことのある工場派遣業の建築版だった。


なるほど。こういう世界もあるんだな。


心からそう思った。



一日だったから出来たのかもしれない。


これが毎日となると嫌気がさしてくるだろう。


もしくは、何かを得て続けていくのかもしれない。


確かにしんどい仕事。


暑かったり寒かったり、危険だったりもする。


それなりに給料はもらえるのかな?


だけど、これは俺には向いてないことは分かった。


まだ、飲食店での接客の方が向いてるという再確認。


でも、もしかしたら。

マンションじゃなくて戸建や技術を必要とする仕事ならまた違うかもしれない。


塗料を塗るにも様々な技術が必要なんだろう。


左官とかになるとまた難しくもなると思う。


ただ、シンナーなどの有害とされるものを使って働く仕事。


体にもきっと負担は多いんだろう。


今時ながらもタバコはみんな吸ってたし。


そんなこんなで車に向かう途中。



「アイス食べよか」


マジか。


「食べます」


社長のおごり。断るわけにはいかん。


寒空の下。3人でアイスを食べてそれぞれ帰路についた。


単純作業だったので体力的にはそれほど疲れなかった。

寒かったけど。

かえって風呂入ろ・・・。


そんな中。


思ってた通り


帰り道も帰宅ラッシュに巻き込まれ、ものすごく時間がかかった。


あとがき


今回は小説風にお届け。

いかがでしたか?

ただ、今日の日というものを綴ってみました。

お読みいただきありがとうございました♪


今回はあえて写真無しの構成でした!


それでは。

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